コンテナ建築におけるパターンランゲージの表現の可能性に関する研究
- 新建築データとArchdailyに掲載された建築を事例として -
- 譚建良 / 九州大学 芸術工学府
- Tan Jianliang / Kyushu University
Keywords: Pattren Language, Container Architecture
- Abstract
- In this research, through the research of pattern language, draw out the non-descriptive vocabulary related to container architecture. By researching the compositional forms, details, etc. of 95 container architecture projects collected from the famous architectural weibsite Archidaily and Shikenchiku Data, summarised the possibilities for the expression of the drawn out pattern language in container buildings. By Comparing and analysing these expression possibilities' characteristics, propose a new suitable design process for future container architecture design.
目次
背景と目的
コンテナ建築とはコンテナを主要な構成要素として使用した建築形式である。低コスト、環境フレンドリー、モジュール性などの利点により、コンテナ建築は世界中で、住宅、商業施設などに幅広く利用されている。日本でも、国土交通省の「コンテナを利用した建築物の取扱いについて」で、コンテナハウスは建築基準法が規定する建築物とみなされている[1]。つまり、コンテナ建築は建築のひとつのタイプとして認められている。コンテナ建築のデザインは、ベースから発想する伝統的な建築デザインプロセスとは異なり、既存のコンテナの組み合わせに基づいて、機能を満たす空間を生み出すプロセスで生み出される。このようなデザインプロセスは建築家クリストファー・アレグサンダーが提唱するパターンランゲージとの共通点が見出せる。パターンランゲージのデザインプロセスは、人々が心地よいと感じる建築や環境要素をランゲージとして使用し、それらを組み合わせて街から建築細部までのデザインを構築する。コンテナ建築とアレグザンダーのパターンランゲージの両者とも、デザイン手法を通して、モジュー単位を組み合わせ、 建築全体を構築するところが共通している。修士論文の研究は、パターンランゲージの理論を踏まえ、コンテナ建築の構成形式とパターンランゲージの表現を照合し、コンテナ建築のパターンランゲージの表現可能性を明らかにし、コンテナ建築デザインの新たなプロセスを提出することとする。そのため、修士研究の前提として、パターンランゲージとコンテナ建築の関係性を明らかにするのは重要だと考えられる。今回の学会発表はパターンランゲージとコンテナ建築の関係性を明らかにした上に、コンテナ建築のデザインに応用できるパターンランゲージ体系の構成を目的とする。
研究の方法
まず、アレクサンダーの著書「パターンランゲージ」の概要と含まれるデザイン理念をまとめ、マクロの視点でパターンランゲージとコンテナ建築の関係性を分析する。次に、「パターンランゲージ」における253種のパターンランゲージを分析し、コンテナ建築に応用できるパターンランゲージを抽出し、新たなパターンランゲージ体系を構築する。
結果
パターンランゲージの概要
アレグザンダーが提唱するパターンランゲージ体系によれば、範囲の大きさによって地域や町、近隣、建築群体、単体建築、建築の細部の253種のパターンランゲージが含まれている。パターンランゲージごとに、従うべきルールや解決すべき問題が提示され、それに対してルールの説明や問題に対する解答が示される。そして、敷地や人間のニーズに応じて、異なるパターンランゲージを組み合わせることで、快適な住環境を作り出すことができる。
パターンランゲージのデザイン理念
パターンランゲージ体系の核となる理念のは人間生活を中心とする柔軟性である。アレクサンダーはパターンランゲージに対して、「詩意」という言葉を提出している。異なる人間に対して、同じのパターンランゲージに対する理解が違い。例として、「お風呂」というパターンランゲージを想像する時に、人々が想像するシーインが違い。至福の入浴をひとりで思い浮かべる人もいれば、家族との入浴を思い浮かべる人もいるだろう。このような生活シーンに対応する空間形態は「詩意」空間である。つまり、空間は人間生活のベクターだけで、重要のは「詩意」生活に対する理解である。 アレクサンダーはパターンランゲージの使用方法について、デザイナーは自分のニーズに合った適切なパターンランゲージを選ぶや増加することができるし、独自のパターンランゲージを作ることもできると述べている。また、パターンランゲージにおいても、建物の階数は4階建てを超えないことや住居は通りに面していることなどアレクサンダー自分の価値観が反映されるデザインルールがある。そのため、デザイナーはパターンランゲージを利用する時に、自分で採否する必要があると考えられる。 つまり、パターンランゲージは、人間中心という価値観を前提として、柔軟性がある。
考察
パターンランゲージとコンテナ建築の関連性
コンテナはモジュール性、施工が容易のため、一般的な建築よりも増改築が簡単である。竣工後でも、利用者の日常生活に応じてパターンランゲージを変更することができる。つまり、マクロの視点ではパターンランゲージに含まれるデザイン理念人間生活を中心としてと柔軟性と一致する。 また、コンテナ建築を分解すると、コンテナとパターンランゲージの関係性は下記の図面のように示す。具象的な面では、コンテナ建築はコンテナを基本要素として構成される。抽象的な面では、パターンランゲージを基本要素として構成される。コンテナを相互に組み合わせ、処理するというプロセスによって、コンテナは工業製品から建築へと変更を遂げる。そして、パターンランゲージの相互的組み合わせによると、パターンランゲージも単一の要素としてを完全な建築にになる。両者の構成プロセスから見れば、論理的な類似性がある。しかし、複数のコンテナを組み合わせることで、複数のパターンランゲージの表現を一気に実現することができるため、予想以外のパターンランゲージを出現することがある。これは、コンテナ建築におけるパターンランゲージの表現の特徴的な所である。
コンテナ建築のためのパターンランゲージ体系の構築
前述のように、パターンランゲージにおいて、多くのアレクサンダーの個人の価値観を反映される。また、コンテナ建築に適用されないパターンランゲージも存在している。そのため、まずパターンランゲージを抽出する際には、これらの設計ルールや問題解決方法などを省略し、純粋にランゲージパターンを単語として抽出する。また、抽出された単語が繰り返されたり、論理的に順序が逆転したりすることがあるため、抽出した単語は、パターンランゲージのデザインプロセスに従って、再度構築する。
今後の展望
今後の研究では、コンテナ建築事例を通して、新たなパターンランゲージの表現可能性を考察する。以上研究を踏まえ、コンテナ建築におけるパターンランゲージ表現の可能性を論理的に整理し、コンテナ建築デザインの新たなプロセスを提案する。
脚注
- ↑ 「コンテナを利用した建築物の取扱いについて」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000058.html(2023年10月07日 閲覧)
参考文献・参考サイト
- A Pattern Language(1977)Christopher Alexander 建築模式語言(2002)Wang Tingdu&Zhou Xuhong(訳) 知識産権出版社
- コンテナを利用した建築物の取扱いについて https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000058.html(2023年10月07日 閲覧)