Fever Dream
リミナルな体験ができる動画
- 岡部 明日香
- Keywords:3DCG, Liminal, 非日常感
- 完成作品
概要
これは何?
- 高熱の時に見る夢のような不思議体験ができるVR動画
- 日常に限りなく近い非日常を味わい、楽しむことができる動画
日常の景色に違和感を感じた時、人は不気味に感じたりワクワクしたりする。例えば、私がいつも利用する駐車場は昼は車も人も多く出入りが多いが、夜になると雰囲気が一変する。蛍光灯は青く光り、車はおろか人気すらなくなる。消火栓の赤い光だけが灯る空間は、不気味そのものである。これをリミナルスペースと名称するらしい。
リミナルスペースを高熱の時に見る不思議な夢と絡め、VRで体験できる動画を制作する。
背景と目的
前期の研究のテーマであるVaporwaveを調べているとき、よく使われている定番のビジュアルがあった。それは、人がいないショッピングモールのフードコート、薄暗いホテルの廊下、誰もいない教室やプレイルームなど、よく知った見慣れた場所だがどことなく不安になるような、ゾクっとするような印象を受ける写真である。
これらの空間のことを海外では『Liminal Spaces(リミナル・スペース)』と呼ぶらしく、日本語に直訳すると「(知覚できるギリギリの)境界に位置する場所」という意味になる。
つまり、リミナルスペースとは「日常的ではあるが非日常的でもある空間」のことである。
人は日常や通常に違和感を感じた時、不安な気持ちになる。
なので、日常と非日常の境界の位置にあるリミナルスペースに行くと、
奇妙だったり、不思議だったり、不気味だったり、不安な感覚を覚える。
だが同時に、その日常に潜む非日常に触れた時なんとも言えないワクワク感を感じることがある。
リミナルスペースにを介し非日常に触れて楽しんでもらえたら良いなと思い、
リミナルスペースをVRで体験できるコンテンツの制作に至った。
コンセプト
- Liminal
- 高熱の時の夢
成果物の仕様
- 3DCGで制作した1〜2分のVR動画
メンバー
個人
制作ツール
- blender
- Premiere Pro
プロジェクトの期間
プロジェクトの期間|2021.09.22 - 2021.12.08
まとめ
VR作品を通してリミナルスペースを擬似体験できるコンテンツを制作できた。音の出方や出現させるオブジェクトによって工夫することで、現実世界(駐車場)と非現実世界(演出されたもの)を自然に組み合わせることができたと思う。
VRの動画にするまでのレンダリング時間がかかりすぎるので、サイズなどを調整し、改善しようと思う。
調査
現状調査
リミナルスペースという考え方
Liminal ……《心理》閾(しきい)の、(光や音などを)感知{かんち}できるか否かの境目{さかいめ}にある
簡単にいうと
リミナル→検知できるギリギリの知覚のこと
(よく聞く、サブリミナル効果は知覚できない潜在意識に働きかける効果)
これを踏まえ
Liminal Spaces(リミナルスペース)とは何か境界に位置する場所
という意味になる
馴染みがあるのに違和感がある場所に対して、人は不安感や不気味さ、気持ち悪さを感じる。
一定数の人間はこれに対し、懐かしさや非日常的であることに対しての高揚感、オカルトに触れるときのようなワクワク感を感じる。(自分がその一人)
知覚できるリアルと、どうにか知覚できるリミナルを融合することで、日常生活に潜む非日常に触れることができる。
リミナルスペースという考え方を理解するために実施。
ネットの文献、単語の意味などを参考に文章を制作。
先行事例
Youtube、ネットの記事での調査
- VR動画
VRを用いた動画
自分がその場所にいるかのような臨場感があるものが多く、音も立体的なものが多い
- リミナルスペース
舞台にするワールドのイメージ
本当に存在する場所から3Dで作られたものが存在する
技法・技術情報
blender
- 3Dメイキング】室内モデリング【blender(b3d)】
- FAKE LIMINAL SPACE - Blender 2.9
- TextureBox
- YouTube 360° CG動画の作り方【3D作成から効果音追加までの流れ】
- 360度VRビデオの編集
VR動画制作方法
- blenderの設定
レンダープロパティ
→レンダーエンジン「Cycles」に設定
出力プロパティ
- 解像度→アスペクト比 2:1(YouTubeヘルプ-ステップ1より)
- 開始、終了フレーム数を入力
- 「立体視」にチェック
- ファイルの出力先を指定
- ファイルフォーマットを「FFmpeg動画」
- エンコーディングを「MPEG-4」
カメラの設定
- レンズタイプ:パノラマ状
- パノラマタイプ:正距円筒図
- 立体視モード:軸外
- プレミアの設定
書き出し方法
→ビデオの項目の中の「VRビデオとして処理」という項目があるのでそこをチェック
プロジェクト管理
スケジュール
ToDo
2021.12.06
作業
背景を宇宙、空にする方法
2021.11.30
作業
警報、配管、蛍光灯モデリング続き
テクスチャを設定
2021.11.23
作業
警報、配管、蛍光灯モデリング
モデルの駐車場の写真をもとに制作
2021.11.17
作業
レンダリング設定等
レンダリング画面
2021.10.26
作業
VR動画にする試作
参考動画
2021.10.19
作業
- メインビジュアル(仮)
高熱の時に見る夢の景色が歪んだ感じをイメージ
モデリングしている景色
- 駐車場モデリング(続き)
駐車場内にある消火栓の製作など 骨格はできたので細部や小物を追加途中
蛍光灯(青)を今後追加
2021.10.18
作業
- 駐車場のモデリング
用意した写真から駐車場を制作、ある程度の形と雰囲気がわかるようにテクスチャを貼る
テクスチャの無料サイト - TextureBox
2021.10.05
3DCG試作
動画を参考にお部屋の試作
ある程度操作はできるようになったので、写真をみながら制作できそう
モデルにしようと思う写真の候補
- 車のいない広めの立体駐車場
- コンクリートの階段
無機質な建造物をモデルに空間を作る
この駐車場は夜になるといつも青色の電気がつき、消火栓の赤色の光が気味悪く光る
2021.09.28
テーマ決定
Fever Dream(高熱の時に見るような夢)をモチーフにした体験型(VR)動画
- 高熱を出した時に見る夢の舞台をLiminal spacesとした動画の制作
夢は記憶の統合と感情の処理に役割を果たす。
現実×夢、日常的な場所×日常的な場所に対する違和感を結びつけ、動画を制作する。
- 3DCGで製作し、実際にそこに来たかのような感覚になる動画を制作する
- リミナルに対し感じる気持ち悪くもどこか懐かしくソワソワする感覚を味わうことができる
- 簡単に非日常体験をすることができ、遊園地に来た後のようななんとも言えない満足感に浸うことができる
Liminal Spacesについての考え方
Liminal ……《心理》閾(しきい)の、(光や音などを)感知{かんち}できるか否かの境目{さかいめ}にある
簡単にいうと
リミナル→検知できるギリギリの知覚のこと
(よく聞く、サブリミナル効果は知覚できない潜在意識に働きかける効果)
これを踏まえ
Liminal Spaces(リミナルスペース)とは何か境界に位置する場所
という意味になる
馴染みがあるのに違和感がある場所に対して、人は不安感や不気味さ、気持ち悪さを感じる。
一定数の人間はこれに対し、懐かしさや非日常的であることに対しての高揚感、オカルトに触れるときのようなワクワク感を感じる。(自分がその一人)
知覚できるリアルと、どうにか知覚できるリミナルを融合することで、日常生活に潜む非日常に触れることができる。
2021.09.21
テーマ設定(仮)
3DCGを使った不思議なフォトリアルな空間の(Liminal spaces)を作る
現実とバーチャル、現実と幻想(不思議)の中間をテーマにする(今の所)
できれば、その作った空間を使って映像作品、またはVR映像を作りたい
- Liminal spaceメイキング映像
blenderを使った3DCG
- 3DCGでの部屋作り
夏休み中に少しだけ勉強したので基本的な操作は覚えた
物理演算あたりの理解はまでなので作れるようにする
2021.09.15
興味のあるもの
Liminal Spaces
数ヶ月前から海外で流行りつつあるもので、誰もいない夜の街やショッピングモール、写真にある空き部屋を見ると何とも言えない感覚になるその場所のことを指すらしい。少し不安になる感じの景色の写真。
Vaporwaveの動画などに多く使われていたことがきっかけで知った。
実際の景色の写真から3DCGで作られた写真などがあり、現実と架空の間の感じが面白い
画像のイメージ
SCP
SCP財団とは架空組織の名称であるとともに、それについての共同創作を行う同名のコミュニティサイトである。簡単にいうと、不思議な物体、現象についてをまとめている創作の文章を読めるサイト。
オカルト、ホラーの感じが強いが不思議なものが多く、興味をそそられる。
不思議だけど統一感のある世界観が魅力的で、この現実と架空の間という感じを取り入れたい