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平塚海登/卒業研究IIプレゼン

New sign system

九州産業大学のサインシステムを再設計する

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1.研究の背景と目的



九州産業大学は国家試験への試験会場として貸し出しや、学会やオープンキャンパス、子育て支援室、大楠アリーナ2020など学外からの訪問者が多く存在する。また、自分自身も学内の移動に迷った経験がある。また現在のサインが計画された頃と、取り巻く環境は大きく変化し、現代にあわせたわかりやすい案内体系を目指す。







2.調査



現在のサインシステムについて調査を行い、建物・施設の表記方法や、ルールについてまとめ、問題点・改善策を見出した。

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案内表記は、日本語と英語の二ヶ国語で構成

フォント

九州産業大学の CI デザインの指定フォントと共通である。

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方向指示に使用されている矢印は、上下左右の4方向に限定して使われているが、設置場所によっては、適切な案内がなされていないことがある。矢印は、上下左右の4方向に限定せず、柔軟に表記していく必要がある。





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建物・施設名の表記は、このように行われており、建物・施設が所属する学部ごとにまとめられている。内包する主要施設も併せて表記されている。九州産業大学美術館と、臨床心理センター (2 号館 ) については、通常の案内サインとは別に専用の独立した案内サインが用意されている。





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現状のサインシステムにおいて、色覚タイプにおける見え方の違いの調査も行った。日本人では男性の 20 人に 1 人、女性では 500 人に 1 人の割合で色覚異常であるといわれている。画像は、正門や北門など主要出入口付近に設置されて
いる広域キャンパスマップである。一般型色覚以外では、グレーと重なる部分では著しく視認性が低下していることがわかった。色覚の個人差を問わずできるだけ多くの方に見やすいよう「カラーユニバーサルデザイン (CUD)」に基づいた配色・工夫が必要であることがわかった。






今回の調査からの改善策として

などが挙げられる







3.コンセプト


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をテーマにサイン制作/研究を行った







4.制作


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サインの種類



九州産業大学では建物ごとに造形が異なり、建物や景観によって空間の個性化が図られていることから、サインごとの個性化は行わないものとし、連続性・統一性を重視

1号館、2号館など建物のナンバリングの数字を大きく表示し、従来に比べて視認性を高くした

また、外部からの利用者が多い公共的な施設(図書館、大楠アリーナ2020、美術館など)についてはピクトグラム(案内用図記号)を表示

キャンパスマップも既存のものをベースに配色を新しくした
色が誘導の材料とならないようにし、シンプルなグラフィックとした



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欧文は和文における1/2の比率で表示
既存のサインよりも欧文のウェイトやサイズの向上を図り視認性・可読性を確保
表示については、世界で最もユニバーサルな言語として、原則英語を併記


フォント

和文フォントには、九州産業大学のCIデザインマニュアルの指定フォントであり、既存のサインと同一である「ロダンPro」を使用する。欧文には、建物の号数を強調して表示するという新しいサインの方針から、数字における視認性・可読性・判読性が高い開放的な造形である「Frutiger」を使用することとした。





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新しい指示サインでは、歩行中に立ち止まることなく、短い間に視認できることを目的として、「メインエレメント」と「サブエレメント」の2つの構成要素に分けて表示

既存のサインでは、建物名の下に付随する形で内包する施設について表示があるが、途中の指示サインについては極力不要な要素を排除したシンプルな内容にすることで、文字の表示スペースや余白を確保し、歩行しながらでも視認できるように配慮する目的から排除した





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主導線から外れる場合には、青地で、エレベーター、または、
スロープでアクセス可能なアクセシブルルートを表示





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動線の主要な結節点には通常の指示サインに加えて
可変式案内サイン(デジタルサイネージ)を併設する



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可変式案内サイン(デジタルサイネージ)では、
時間帯や人感センサーなどによって表示内容が切り替わるスマートチャネル方式とする







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災害発生時に情報弱者になりがちな、外国人の方、耳の聞こえ方に不自由がある方へ視覚情報で情報提供が可能となる

福岡市と九州産業大学は、大楠アリーナ2020など大学の施設を臨時避難所等として利用することに合意し、「利用協力に関する協定」を締結している
災害時、外部からの利用者にとってもスムーズな経路案内にも役立つ





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九州産業大学では、多目的トイレでは、一部でオストメイトを設置(計27ヶ所)し、人工肛門や人工膀胱(ぼうこう)保有者の方への利便性向上を図り、また、小さなお子様連れでの来校者向け配慮として、ベビーシートやベビーチェアを設けている
令和元年には多目的トイレをだれでもトイレのサインを全学的に見直し、表記の統一化を図ると共にトランスジェンダーなど多様な利用者向けの表記も併せて行うなど多様な方への配慮を実践している
こうしたバリアフリー設備の情報(アクセシブル情報)を一次情報として提供し、活用を促し、誰もが利用しやすい風土を醸成する





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ビームプロジェクターで実寸台に投影し
文字の視認性や、サイズの検証も行った





5.まとめ

今回の研究では、現状の案内サインシステムの改善を中心に行い、わかりやすいサインシステムの提案ができたと思う。調査を進める過程では、サインシステムの歴史などを知り、世界の一体化が進む中、多様な人々が行き交う公共空間において、サインシステムが空間の質を左右する極めて重要なものであると再認識することができた。今後もサインシステムの可能性について模索していきたい。







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Last-modified: 2021-12-04 (土) 10:32:13