空間演出における多様性を持つ照明器具のデザイン開発

提供: JSSD5th2019
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杜君杰 / 崇城大学芸術研究科デザイン専攻
Art research design /Sojo University

Keywords : Product Design


Abstract
Lighting is indispensable in our life, but in addition to brightness, few people realize that in many cases, the type of lighting (desk lamp, ceiling lamp, etc.) can only produce such a lighting effect correspondingly. With the change of society, this kind of lighting is not satisfied with the life style of modern society. I think the style of lighting appliances in the future will be more diversified and enriched.



研究動機・背景

 照明は私たちの生活の中で不可欠のものであるが、明るさ以外に意識されることは少ない。産業革命以前は、蝋燭などを使っていたが、産業革命以後照明は急速に普及していった。個人の家だけではなく、工場、病院、車、など様々な場で使われるようになり、今では照明がない場所を見つけるのは難しい。  近年照明器具は、単に照明としてだけではなく、他の機能が付加されるようになってきている。例として、スピーカやプロジェクタなどが内蔵されるようになった。しかし、光のコントロールに関しては色の変化と明るさの調整だけであり、照明器具が変化し、光をコントロールし空間を演出するものはほとんどない。  夜間、パソコン使用から手もと作業に移る場合、これまでの照明器具では光源の角度が広く光の照射角度が大きく、手もと作業時は、暗くなり目の疲れや違和感を感じる。このように一般的な照明器具は光源の照射角度が決まっているので手元で作業をする時には近づける必要がある。デスクライトの場合は光源を移動させて対応することができるが、ペンダントなど固定された光源の照明器具では対応させることができない。また雨の日は部屋の中が暗くなるので照明をつける必要があるが、一般的な照明器具は夜に使用することを前提に設計されているので昼間着けると明るすぎて違和感がある。

研究の目的

 照明の光源やシェードの変化による新しいプロダクトデザイン提案が可能と考えた。例えばモーターでシェードの角度と位置を変化さ。光源の角度をコントロールすることで直接照明、間接照明として使用することができる。さらにフィルターやシェードの厚みや色みを調整することで光を変化させることが可能である。食事を楽む場合では食べ物の美味しさを感じる照明、様々な作業で集中力が落ちない照明、リラックスする場面は光の調整で睡眠を促進する照明、昼と夜の雰囲気を演出するる照明など新しいプロダクトデザイン提案が可能である。

市販している照明器具についての調査

 調査は、市販されている照明器具について行った。『変化する』照明を対象として生活における問題点を実験・分析する。また今市販されている照明器具の材料・光源・照射角度など各項目について分析し今後、実験を行う。

調査過程

  • ニュイタ

 調査はまず市場と使用環境調査を行ない、そこから得られた結果を収集し分析する。分析から研究の方向を決め、試作を行う予定である。 調査の中で一番大切なのは現地環境調査である。今年5月から9月までの間に日本全国のショールームや一般の1人暮らしいの部屋を訪れ、現場で照明器具を見たり分析することを通して市販している照明器具の情報を把握することができた。今まで訪れたショールームではキッチン照明、ダイニング照明、オフィス照明、家庭用照明で動く照明及びそれ以外様々の照明を調査対象とした。まずyamagiwaショールームは生活照明を中心として展示をしていた。yamagiwaは住宅への用途だけでなく、ホテルや美術館などのプロジェクトに上質なあかりを提案していた。照明には上質なデザインと機能が必要である。スタンド・ペンダント・シャンデリア・シーリングライト・ブラケットライトなどの中でNYTA(ニュイタ)の本物を見ることができた。図1で NYTAは、Fabian Maier ファビアン・マイアー(建築家/照明デザイナー)、Johannes Marmon ヨハネス・マルモン(プロダクトデザイナー)、Johannes Muller ヨハネス・ミュラー(プロダクトデザイナー)が2012年に設立したドイツの照明メーカーである。  ニュイタの特徴・図2(使用方法)はスリットにあわせてシェードを動かすだけで、照射方向を変えることができるペンダントライトである。ダイニングのペンダントライトとして、角度を変えて壁などを照らす間接照明として、使い方は様々である。設置高さとシェードの角度を変えて、複数個で使用すると色んな雰囲気を生み出す可能である。ニュイタの動き方は上図のように動き仕組みは簡潔で照明のシェードとソケットだけしかないがシェードのスリットのデザインはこの照明一番巧みであるどころと思われる。動く仕組みは簡潔にデザインされ照明の製作、材料のコストが低くなっている。購入後のメンテナンスが安くなり、若者向けとして入手しやすいと思われる。  そして『ニュイタ』・図2の欠点もいくつがあり、例えばシェードのスリット一つしかないので、動くの角度、方向に限界がある。  『ニュイタ』のメリットとデメリットを抽出し本研究の参考としたい。『ニュイタ』で参考にできるところとしては、シェードは簡潔な形状なので、本研究のデザインとしては、丸に限らず生活の中で使う場所により、正方形になったり三角形などに変換することも考えられる。そしてシェードのスリットを増やすことで照射角度は多様になり様々な空間の雰囲気を演出することができる。

  • コッペリア&ヘラクレウム

 トーヨーキッチンで照明器具『コッペリア』図3を見ることができた。これはシャンデリアで新しいLED技術を運用し、外観は極細のワイヤーに電極を通すことで、ワイヤーそのものが本体としてコッペリアのフォルムを形成している。繊細で複雑に見えるワイヤーパターンも、よく見ると実は秩序だった規律の元に構成されている。『コッペリア』図3のフレームは自転車スポークような感じでひと重になっている形となっている、このような形は本研究の参考となる。また、『ヘラクレウム』・図4という照明、これは 花のイメージを花びらのような薄い反射板によって表現している。マルセル・ワンダースのアイデアElectrosandwichという新しいテクノロジーが、空間に花を咲かさせる。ヘラクレウム・図4の光源はLEDを採用するので光源は昔の白熱電球や蛍光灯より点光源をなっているからLEDは花びらに被られて光源を拡散することができる。これも本研究としてLEDの光源を使うとした場合、光源を拡散するためシェードのデザインを考える参考となる。

  • inMOOV

 研究を進めるため現地調査の結果を分析する必要がある。現段階は現地で得らた情報とネットの調査を行なっている。調査対象は『変化する照明』を中心として、そのほか一部は『動かない』照明も含んでいる。理由としては『動かない』であるが、照明の形(構造・機能)は動く照明として活かす可能性もある。  ドイツ発の「inMOOV」・図5この照明はリビングライトと間接照明の機能を合わせるペンダントライトで、三角形のパネルで構成されている。ブラインドのひもを引っ張る要領で傘を開くと天井が照らされて間接照明になり、閉じるとテーブルの下が照らされリビングライトになる、という仕組みでこの照明の動き方もアイデアが面白い。下向き上向きの変化による実用性もあるが動く仕組みは複雑で、購入後のメンテナンスは大変かもしれない。時間が経つとほこりが多くなり清掃することが面倒であったり、学生や新社会人に向けとしたら値段が高くて購入するのも難しい。

 「inMOOV」・図5のメリットとデメリット。「inMOOV」・図5で参考されるどころは上向きと下向きの切り替えで、日常生活の中で照明に関する問題を照明が動くこよにより解決している。「inMOOV」の動く仕組みはもっと改善が可能で、構造がより簡潔で制作できると思われる。

  • PH アーティチョーク

 ポール・ヘニングセンがデザインした。図6でPH アーティチョーク、ヨーロッパではポピュラーな野菜にこのカタチがそっくりなことから名前が付けられた。PHアーティチョーク・図6は72枚すべてのシェードに光源の光が正確にあたり、器具自体を照らす美しい間接光と、グレアのない良質な光を生み出している。ヘニングセンの魅力的な光とタイムレスなデザインは家庭をはじめ、レストランやカフェなどでも格調高い雰囲気を生み出している。PH アーティチョーク・図6は、72枚銅のシェードで構成され銅は光沢があり反射性が良く光源が反射して柔らい光となっている。本研究での材料選択や光源の位置関係の参考となる。また、銅以外の材料や塗装も考えられる。例えばステンレス、アルミなど異なる材料で作られるシェードによって光源の異なる反射効果を得ることができる。本研究で照明器具の設置場所、使用目的によって新しいシェードの動きや組み合わせ方の参考となる。PH アーティチョーク・図6のシェードは一枚づつ手で調整するしかない。これは大変労力が必要となる。このことはモーターを付け自動で動く仕組みを考えれば解決することでき、部分部分をコントロールすることで使用場所の演出を変化させることが可能となる。

  • NobleSpark ペンダントライト

NobleSpark ペンダントライト・図7は海に浮かぶ巻き貝をモチーフとしたユニークなランプである。細かく分けられたシェードは自由自在に動かすことができる。天気によって光の強さを調節したり、好みの形に変えて楽しむこともできる。遊び心あふれるライトで。折りたたみが可能で、収納やお引越の際も便利である。

  • Rising light fixture

 Rising light fixture・図8は天然竹で作られている。中にはゴムが挟まれていて、活動部品のヒンジとして使われている。そのため、ランプ全体は一つの面から磨くことができる。 竹の梁に巧みに溶け込んだLEDランプをつけると・図9は発光する電球が格子から反射して部屋に明るく壮観な光を放つ。形状を変化させると、光が上に向けて照射され、構造全体がも明るくなる。

  • AIR PANEL LED

 パナソニックは、直射用LEDと拡散用の導光クリアパネルを備えたLEDシーリングライト「AIR PANEL LED」・図10シリーズを'16年より展開。LEDの光を均一に発光・拡散して部屋の明るさを向上させつつ、生活シーンに合わせた多彩な配光パターンにも対応するのが特徴で、'17年には従来の円形デザインに加えてスクエアフォルムの「角型タイプ」をラインナップしている。AIR PANEL LED THE SOUNDは、この角形タイプにBluetooth機能とステレオスピーカーを新搭載。スマートフォンなどの音楽をワイヤレス再生可能になり、明かりと音が部屋全体に降り注ぎ、カフェのBGMのようなサウンドをリビングで楽しめる。

調査まとめ

 本調査では、市販している照明器具の属性、デザイン、使用環境調査など分析することにより照明器具の特徴を把握することが目的としている。得られた情報から図・11の表を作成した。内容に関しては、動く照明であるかどうか、動く仕組みの構造、どう動くか、光源の交換が可能か、空間演出性など今後の研究に関わる内容を分析した。表図・11により今市販している動く照明はほとんどが手動で動かす必要があり、また構造も複雑である。光源を交換できる照明もあまりなく、今後の製品デザインでは重視すべきである。

まとめ

 今後の研究は使用環境調査と、日常生活を観察する必要がある。例えば生活の中で仕事、食事、作業、料理を作るなど、日常生活で身の周りで使うものを調査し、部屋の照明と連動する可能性も見当しなければならない。また、生活の各場面で光の明るさ、照射角度、色味などの調査分析が必要である。生活の中で勉強、食事、パーティ、少人数、多人数などの場合でどんな空間演出が必要であるかを検討する必要もある。使用者をセグメンテーションし生活中での照明のあり方をデザインし、今までない動く照明デザインをおこないたい。

参考文献