「音と形に基づく発想によるネーミング及びロゴデザインの研究」の版間の差分
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2019年11月8日 (金) 14:46時点における版
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- 西村佳子 / 九州大学大学院芸術工学府芸術工学専攻
- Nishimura Keiko/ Kyushu University ← 氏名 / 所属 の英語表記
- Keywords: Graphic Design , Visual Design ← キーワード(斜体)
- Abstract
- Lorem Ipsum is simply dummy text of the printing and typesetting industry. Lorem Ipsum has been the industry's standard dummy text ever since the 1500s, when an unknown printer took a galley of type and scrambled it to make a type specimen book. It has survived not only five centuries, but also the leap into electronic typesetting, remaining essentially unchanged.
目的と背景
ある商品が開発される時、一般的には、まず商品コンセプトが決定され、次にネーミングを検討し、最後にロゴがデザインされる。こうしたデザインプロセスにおいては、コンセプト作りが最も重要とされるが、生活者の立場からは、ロゴがその商品との直接的な接触を媒介する重要なタッチポイントであるために、コンセプトからロゴへと至る作業プロセスも蔑ろにはできない。 このプロセスで重要なのは、ネーミングとロゴの関係であるが、これまで理論的な視点からの検討が十分なされてきたとは言い難い。実際、ネーミングの考案とロゴの作成の関係は厳密な分担作業によるものでは必ずしもなく、デザイン作業中であってもコンセプトに立ち返り何度もネーミングとデザイン表現を考え直す事や、また戦略的なビジュアル表現にするために、逆に文字の形から遡ってネーミングの着想することもあり、相互的な作業である。 そこで、本研究は、ネーミングとロゴ作成の相互関係に着目し、その関係を体系的に見直すことで、効果的なネーミングとロゴデザインを遂行できる発想支援ツールの提案を試みる。支援ツールとして想定しているのは、ロゴの要素を「意味」「音」「形」の3点に集約し、そのうち「音」と「形」の2つを起点にアイデアの入り口を見つけたり、幅を広げるたりするうえで助けとなるツールである。 ただし、本研究では、実証性を担保するために、現場における発想法としての適用可能性を考慮しつつも、具体的な枠組みとしてデザイン教育への応用に限定する。実際に、ロゴとネーミングの創出作業を観察するために、学生を対象に実験として課題を課し、その結果を踏まえて支援ツールの検討を行う。 また、対象となるロゴも、食品に限定することにした。これは、◎◎◎◎との判断からである。
ロゴにおける三要素とロゴデザインへの反映
ロゴは「意味」「音」「形」の3つの要素から捉えられる。このうち「意味」はコンセプトに密接し最も重要な要素である。商品情報や商品イメージといったコンセプトが決められた後このコンセプトに基づいてネーミングからロゴのデザイン作業に入るため、ロゴの3要素のうちの「音」と「形」は「意味」に根付いた発想から得られるものであると考えられる。そこで、本研究ではコンセプトが決定した後の段階で、そのコンセプトのもとネーミングとデザイン表現を行う際とし「音」と「形」の2つの要素に焦点を当てることとする。
次に、「音」と「形」それぞれの観点から現状のロゴについて調査を行った。その結果、それぞれに力点を置いたロゴデザインが確認できた。以下、それについて略述する。
2.1.音からのネーミング発想例
グリコのお菓子のネーミングには、POCKY, PRITZ, CaplicoなどP音が使われている。これらはネーミングに含まれるP音が食べるときのポリっという音を思い起こさせ、名前を印象付けるというネーミング戦略がある。[1]
2.2.音がロゴデザインに影響した例 LAWSONの自社スイーツであるザクシューのネーミングとそのロゴデザインは、食べた時のザクザクという食感を表したものになっている。日清食品のカップヌードルのロゴは、ヌードルを英語で発音する際にドをほとんど発音しないことからカタカナのドを小さく表記したものになっている。
2.3.モノの形を重視したロゴデザイン例 ジャパンフリトレーのドリトスのロゴは、商品の外形である三角形を文字の一部に使い、さらに三角形で文字の周りを囲んでいる。
2.4.文字の形を重視したネーミング及びロゴデザイン例 明治のザバスのロゴは頭文字のSを反転させ、左右対称のデザインになっている。これは、左右対称のデザインと3文字の濁音を含む音が印象に残るという戦略からネーミング及びロゴデザインが決まったものである。[2]
実験
制作されたロゴを観察すると、力点の違いが確認できたが、そうした発想の幅を確保することが、ロゴ制作にとって重要である。そこで、発想の幅を広げたり、発想の入り口となるきっかけを与えるうえで、音と形それぞれの観点を個別に与え、またその順序を入れ替えたりすることがどのように効果的なのか、検証することにした。 実験参加者は、芸術工学部3年生39名(男性17名女性22名、20代)である。39名を4人のグループ(1グループのみ3人)に分けて課題1〜3の計3回実施した。課題1のみ35名(男性14名女性21名、20代)で1グループ少ない。 課題は食品に限定し、課題1にプリン、課題2にせんべい、課題3に炭酸飲料を選んだ。課題1と2は発想の最初の条件については、半分のグループは音から、残りのグループは形からと指定し、課題3は条件の指定はせず自由に考えてもらった。課題設定は以下の通りである。
課題1.プリン:濃厚でなめらかな舌ざわりが特徴。1個298円。
課題2.せんべい:飽きのこないあっさり塩味で子供から大人まで楽しめる軽い食感が特徴。1パック188円(個包装2枚×10袋入り)。
課題3.炭酸飲料:商品設定、発想方法ともに自由。
それぞれのグループの作品について考えた要素として「意味」「音」「形」の項目ごとにまとめた。これらの要素は参加者の観察から「意味」には「商品情報」と「商品イメージ」の2項目、「音」には「商品特性音」と「言葉のイメージ音」の2項目、「形」には「モノの形態」と「文字の形態」の2項目に分類している。
各課題の結果を以下に挙げる。ネーミング発想段階とロゴのデザイン段階においてそれぞれ参加者が重視して考えた項目に○を付けている。各課題全てのグループが商品イメージに基づきネーミング発想からロゴのデザインを行っているためイメージの欄は全て○を付けている。また、デザイン段階においては全てのグループが文字の形態を重視しているため、デザイン段階の文字の形態の欄は全て○を付けている。
結論と展望
本研究では、デザイン教育の場面において、音と形の視点を明確に設定し、その順番を変えることで、ロゴとネーミング発想の間を往還できる方法の有効性を探った。その結果、支援ツールとしての有効性を確認することができた。 しかし、カード形式のようなツールとして具体化するために、さらに詳細な検証が必要である。デザインを学ぶ学生(デザイン能力自覚レベル初心者〜中級)数名に被験者を限定し、発想のプロセスのより詳細な分析を今後の課題としておきたい。
まとめ
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脚注
- ↑ [1]
[1]飯田朝子,『ネーミングがモノを言う』,中央大学出版部, 2012.10.10, p.26-27
[2]ザバス-【ザバスロゴについて】(2012年10月26日)より(最終検索日:2019年11月7日)
https://ja-jp.facebook.com/meiji.savas//
画像引用元サイト
・江崎グリコ公式ホームページ https://www.glico.com/jp/ (最終検索日:2019年11月6日) ・ローソン研究所『ザクザクの新感覚が楽しい「ザクシュー」。』 https://www.lawson.co.jp/lab/uchicafe/art/1387581_4787.html (最終検索日:2019年11月6日) ・日清食品グループ公式ホームページ「カップヌードル」 https://www.nissin.com/jp/products/brands/cupnoodle/ (最終検索日:2019年11月7日) ・ジャパンフリトレー株式会社公式ホームページ「ドリトス」 http://www.fritolay.co.jp/ourbrands/doritos/ (最終検索日:2019年11月6日) ・株式会社明治公式ホームページ『プロテインブランド「ザバス」』 https://www.meiji.co.jp/sports/savas/ (最終検索日:2019年11月6日)