炭鉱の町の復元

提供: JSSD5th2022
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三井田川鉱業所伊田竪坑バーチャルモデル


岸本雄哉/ 近畿大学 産業理工学部
鶴野幸子 /近畿大学 産業理工学部 

Keywords: 復元、バーチャル、炭鉱 ← キーワード(斜体)


背景,目的

図1.炭鉱住宅群
図2.炭鉱住宅
図3.櫓等
図4.火力発電所等
図5.体育館、浴場等

近畿大学福岡キャンパスは旧炭鉱地帯である筑豊地域に立地しており、ぼた山や煙突などの炭鉱遺産を間近に見ることができる場所にある。三井田川鉱業所伊田竪坑 は「筑豊炭田遺跡群」の一つで、国の産業革命の実態を物語る上で極めて重要であり、国の指定史跡にもなっている。しかしながら、閉山して50年以上が経過し、ごく一部は現存しているものの、実際の炭鉱を知る人たちも少なくなってきている。そこで本制作では、後生にこの貴重な炭鉱遺産の様子を伝えることを目的として三井田川鉱業所をバーチャルで復元を行う。完成後のデータは田川市石炭・歴史博物館に寄贈することになっている。

制作

制作に当たっては現存する資料を活用して、できる限り正確に再現することを制作方針とした。モデリング、レンダリングはblenderを使用しており、現在はアニメーションで見られるようにしている。図1は「炭住」と呼ばれる炭鉱労働者の住居群で、図2に示すように玄関の横にはコンクリートの“殻入れ”と呼ばれる大きな箱がある。この中に石炭を蒸し焼きにして、煙と臭気を取り除いたもの(殻)が入っておりプロパンガスの生活になるまで、家庭の燃料として使われていた。裏側には濡れ縁が配置され、住民間の交流しやすい設計となっていた。図3は竪坑櫓で地底から人や石炭等を運ぶためのケージを昇降させるためのもので、国の登録有形文化財となっている。図4は産出した石炭を使用した火力発電所や関連する工場である。図5は体育館、浴場等で過酷な炭鉱労働を癒やすと共に、体育館ではイベントも開催され居住者の交流の場となっていた。この他、第一・第二煙突、油倉庫、防火用水地、消防器具倉庫、門衛、伊田竪坑事務所等の復元を行っている。今後は当時の人々を配置し、最終的にはVRゴーグルを使用しで中を歩ける状態にする予定である。