高齢者と中年の間にいる「軽高齢」
- 趙 懐邦 / 九州大学 芸術工学府
Keywords: Product Design, Ageing,Classification of the age
報告
人を年齢によって各段階に分け、更にその段階に沿って各グループに相応な権力を与え、義務を課すのはどの社会にとってもあたり前なことである。例えば日本厚生労働省「健康日本21(総論)」が国民の健康状態によって、ライフステージの年齢区分を六つの段階、つまり幼年期(0-4歳)、少年期(5~14歳)、青年期(15~24歳)、壮年期(24~44歳)、中年期(45~64歳)、高年期(65歳以上)1)に分けている。民間にも「幼年」「壮年」「初老」「熟年」「老年」など習慣によってできた言い方が広範囲に使われている。近年高齢化が進む、それに伴い「準高齢」(65~74歳)、「超高齢」(90歳以上)などのカテゴリも日本老年学会2)によって定義され、社会における年齢・加齢への認識が日々進歩している。 しかし、このような認識と分け方にも問題がある。一つは年齢に関しての差別が生み出せること。最も知らされているのはエイジズム、つまり高齢者の心身の能力に対する否定的な見方、例えば高齢者は「仕事が遅い」「固い」など。エイジズムと同様、各年齢段階に対する「こうすべきだ」「このような人たちである」みたいな偏見が生じる。もう一つは「加齢」に対する社会通念が固くなること。あるライフステージから次のライフステージに進むことは一朝一夕に完成するのではなく、一つの過程である。人は65歳誕生日の日に高齢者になるではなく、僅かな老化が日々重ね、最終的に高齢者と判断される。こう言う年齢によって人をはっきり分け方はもちろん数多くな統計から得た普遍的な結論だが、結果として「過程」が無視されたことが多い。 テーマで示している「軽高齢」はその時に無視される「過程」の一つである。この世に生まれたからの年月や体の調子など数字を基準にするではなく、確かに発生している「変化」から考え、デザインの方法論を築くのはポイントである。家族への義務を負いながら徐々に老化している人々たち自身、そして周りはどの様な変化が起こっている、どの様なジレンマがあることを探るによって、老化への対策がより完全になると思う。
文献
- 1)健康日本21(総論)|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/s0f.html
- 2) 日本老年医学会HPより高齢者の定義と区分に関する,日本老年医学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義ワーキンググループからの提言(概要)2017.1.5