歴史文化街区における屋外看板の色彩規則に関する研究

提供: JSSD5th2022
2022年10月19日 (水) 13:01時点における顔蕾軒 (トーク | 投稿記録)による版 (今後の予定)
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ー中国・広州市永慶坊のお土産通りを例としてー


顔蕾軒 / 九州大学 統合新領域学府
YAN LEIXUAN / Graduate School of Integrated Frontier Sciences,Kyushu University

Keywords: Historical District, Souvenir Street,Outdoor Signboard, Color Regulations 


Abstract
Yongqing Block has been rebuilt since 2016 by government authorization to restore the appearance of the souvenir street. As it is in the early stage of revitalization of the historical district, the color regulations and management related to outdoor signboards in the street are still inadequate and many violations occur. This study will learn ways to improve the existing color regulations for outdoor signboards, using the good example of Japan as a model. Adjustment of outdoor signboards of stores that do not match the historical district.


背景と目的

 近年、中国では観光業の発展に伴い、一部で住宅用途が主であった歴史的市街地の歴史的建築物(旧住宅)をコンバージョンしたカフェ・飲食店・お土産店・雑貨店などの商業店舗が増え活況を示す。看板は店舗の情報を的確に、そしてスピーディーに伝達し、その地域のイメージアップや活 性化を計る一つの手法として着目された。

 しかし、広州市永慶坊のお土産店通りの看板設置者にとって、経済性あるいは個性化が優先されることも多く、商業転用に伴う建築物の改修や看板設置により外観の変容をとげることがある。商店主らはそれを経験的に知っており、商売に活かしているが、同時に遠方からも良く見えるよう色彩明るいすぎな看板を出すなど、景観上負の行為にも繋がっている。その上、ある看板の色は明るいすぎ、お土産店通りの雰囲気と一致しないため、規則を違反する問題がある。つまり、看板の色彩もお土産店通りの景観に影響をもたらす。

 本研究は以上のことを踏まえて、歴史的文化街区景観保全のための統一されたカラーシステムの重要性を明らかにし、お店の看板の色はどういた表現を行うことが相応しいか検討する。永慶坊のお土産店通りの景観環境を保全し、看板色デザインの指標を導くことを目標としている。この指標により、将来広州市のお土産店通り看板の色改善やデザインにに活用できると考えられる。

研究の方法

①文献調査から、既存看板類型の定義を分析し、中日の歴史文化街区に関する文献調査・屋外看板の色彩規則を読む。

②永慶坊へフィールドワークを実施し、お店管理者へヒアリング調査する。調査結果を踏まえて、屋外看板における色彩規則に対してお店管理者の認知度に関する現状を把握し、色彩規則を違反の原因を導く。日本の歴史文化街区へ現地調査を行う。現存看板の写真を撮る、看板において地域の特徴と周辺環境との調和性の状況を確認する。

③分析された結果を基に、歴史文化街区に於ける中国広州市永慶坊の屋外看板の色彩規則の提案。永慶坊の景観を向上させるため現存色彩提案を調整し、参考事例としてある問題あるの看板事例を調整デザイン案を設計する。

④調整前後の看板色彩の効果測定ために、オンラインで改修前後の効果について地域の方々と観光者へアンケートを実施する。更に、専門家へインタビューを行う。



文献調査

図1.規則を受ける屋外看板の種類

看板類型の定義

 屋外看板の種類をよりよく理解するために、中国と日本の屋外看板における規則を見られた。特に京の景観ガイドライン(広告物編)を参照した。 本研究では、主に店舗における「建物や工作に定着させて表示する屋外広告物」に着目している。
「建物等定着型屋外広告物」[1]
<類型>屋上屋外看板・突出型屋外看板(袖看板)・壁面平付け型屋外看板・さらし看板 等

中日屋外看板色彩規則の許可範囲分析

 中日色彩規則の許可範囲分析すれば、両方異なるところが得られると考えれる。




現地調査

調査概要

図2.永慶坊平面図メインルート

 永慶坊の現状と、規則実施のある街並みの店舗看板実現の間にある差を把握することを目的とする。2021年10月・12月の永慶坊のお土産通りへ二回目現地調査を実施した。

中国の広州市永慶坊へフィールドワーク

図3.永慶坊店舗種類の記録
サムネイルの作成エラー: 12.5メガピクセルよりも大きな寸法のファイル
図4.永慶坊袖看板の分布
  • 第1回目調査:

 フィールド調査の結果による平面図を書きるが、永慶坊の空間特性と店舗類型が明らかにした。第一回目の調査では、最も目立つ袖看板に中心を当て、その分布の場所と素材特性を個別に記録した。
日時:2021年10月5日 晴れ 
時間帯:14:00〜20:00
方法:メジャーとレーザー距離計で看板のサイズを測る、写真と動画撮影

図5.永慶坊看板データ
  • 第2回目調査:

 第1回目の調査の結果、歴史文化街区の統一感を保つためには、袖看板だけに注目するのは不十分である。歩いている際にさまざまな視覚的角度からお店の壁面付け看板を見ることができることをわかった。補足として、壁面付け看板を研究対象に添加し、カメラを使ってその素材や色を記録した。
日時:2021年12月1日 曇り
時間帯:16:30〜19:30
方法:カメラで写真を撮る

中国の広州市永慶坊の店舗管理者へヒアリング調査

対象:店舗管理者・スタッフ
時間:13:00〜17:30
方法:対面でインタビューする
質問内容:

  • 開店前に広州市屋外看板の規則説明会があるかどうか。
  • 店舗管理者はこの屋外看板規則を理解しているのであろうか。
  • 特に色彩規則を理解したことがあるか。
  • 看板のデザインはどのような理由で決めていますか。

日本の京都三年坂へフィールドワーク

京都の三年坂を参考対象地としてを選定し、京都に現地調査を行う。



結果

図6.色彩規則に関する調査結果

 まず、二つ色彩規則を比較すると、基本的な要件としては、いずれも周辺の建物との色の統一を求めるものである。異なるところは、京都は歴史遺産型第1と第2種類地域に対して地域の特別な要件を設定し、色彩の明度や彩度の使用ゾーンを設定しており、広州の色彩規則よりも詳細であることである。また、京都の地方都市計画局は地域観光の振興協会と連携して、いくつかの賞罰制度を設けており、一方では他店の参考となり、他方では店舗管理者の屋外看板の規則への意識を向上させることが可能だ。
 次は、ヒアリング調査によると、開店の前に屋外看板規則上の説明会を開催していない、37店舗の合計のみ13%の店舗が規則を認識し、そのうちの8%が屋外看板色彩規則を理解している。この通り、規則を知っている店舗管理者は少ないのである。さらに、看板製作の理由を探っていくと、多くの店舗がデザイン会社を起用して看板を製作していることがわかった。従って、この通りの人たちが色彩規則を知らないの原因も明らかにした。
 最後、屋外看板色彩規則上の制限と現場の状況を合わせると、永慶坊のお土産通りの規則違反は10店舗で27%を占める。京都では違反する店はほぼなく、祇園町周辺のコンビニエンスストアでも、街並みの統一感を出すために店舗壁面平付け型屋外看板の色彩を調整しているところがある。



考察

調査から、広州永慶坊がこれほど店舗看板色彩に対して違反率が高いのは、色彩規則を理解していないことが原因であることがわかった。京都の規則から、、ある程度店舗管理者も屋外看板の色彩規則を理解する刺激になることがわかった。さらに、デザイナーの立場からすると、

今後の予定

歴史文化街区にふさわしい色を見つけることを目標に、規則外に日本の重要伝統的建造物群保存地区が三年坂ような地域の景観を維持・保全できた理由や方法を深掘り、永慶坊の現状を改善するために参考になることをまとめ続けていく予定である。

脚注

  1. 京の景観ガイドライン広告物編 (2015) pp.1−2

参考文献・参考サイト

  • 京の景観ガイドライン広告物編 (2015) pp.2-4~2- 24
  • 庄怡, 山本早里 (2017) 歴史的街並みにおいて許容される屋外広告物の形と配色 日本色彩学会誌 41(3+): 64-67.
  • 市野達也 (2013) 重要伝統的建造物群保存地区のデザインコードに関する研究: 高岡市山町筋の歴史的風景と現代的風景 法政大学大学院紀要 デザイン工学研究科編 (2): 1-6.