宇宙港のまちづくりデザインに関する研究

提供: JSSD5th2022
2022年10月20日 (木) 13:05時点における寺崎薫 (トーク | 投稿記録)による版 (研究の方法)
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ー 大分空港を事例として

寺崎薫 / 九州大学大学院 芸術工学府デザインストラテジー専攻 
TERAZAKI Kaoru / Kyushu University

Keywords: Product Design, Visual Design 


Abstract
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背景と目的

 今まで宇宙産業は政府主体で行われてきたが、2010年代以降米国を中心に宇宙産業を民間に大きく任せる方向に舵を切り始めた。現在世界の宇宙産業規模は約40兆円であるが、宇宙民営化の影響により2040年には約3倍の120兆円規模に成長すると予想されている。

 そのような中、2020年4月にヴァージン・オービットがANAホールディングスや大分県と提携したことが公表され、大分空港がアジア初の水平型宇宙港として活用される計画が明らかになった。大分県は、打ち上げ開始から5年間で約102億円の経済波及効果を見込んでいる。

 水平型宇宙港とは、種子島宇宙センターのようにロケットを垂直に発射する垂直型宇宙港とは異なり、ロケットを搭載した航空機が滑走路を飛び立ち、その後海上で分離しロケットの打ち上げを行うものを指す。水平型宇宙港は、大規模な射場が不要なことや、航空機を初速として利用できるためロケットを小型化でき低コスト化を図れるなどのメリットがある。日本は水平型宇宙港に適した立地であるため、今後他の地域でも宇宙港のまちづくりや新たな産業づくりが行われる可能性がある。

 そこで本研究では、水平型宇宙港を活かしたまちづくりの条件や要件を明らかにすることを目的とする。

研究の方法

①大分県の宇宙港のまちづくりの現状を調査

現在どのような組織がどのように宇宙港のまちづくりを取り組んでいるのかインタビュー調査し、関係図を制作する。水平型宇宙港のまちづくりにおいてどのような課題があるのかを明らかにする。

②垂直型宇宙港の事例と水平型宇宙港との比較

垂直型宇宙港(種子島宇宙センター、内之浦宇宙空間観測所)の事例と大分県の水平型宇宙港を比較することで、参考となる事項や異なる条件を抽出する。

③まちづくりの事例と垂直型宇宙港のまちづくりとの比較

全国で行われているまちづくりの事例と大分県の水平型宇宙港のまちづくりを比較することで、参考となる事項や異なる条件を抽出する。

①〜③の調査によって、大分空港を事例とした水平型宇宙港を活かしたまちづくりの条件や要件を明らかにする。

水平型宇宙港ができるまちの特徴

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大分県の宇宙港のまちづくりの現状

行政

 先端技術挑戦課宇宙開発振興班で、宇宙港の業務を行なっている堀氏にインタビュー調査を行った。現在の主な取り組みは、打ち上げを実現するための調整と、宇宙港のプロモーション活動だという。調整に関しては、日本において前例がないため法令の整備を行なっていることや、打ち上げに携わる民間の動きをどうサポートしていくかに注力しているということが分かった。県庁としては、宇宙港自体の実現や運営に注力するため、宇宙港を活かしたまちづくりは国東市や民間に取り組んでほしいということであった。

 続いて、国東市役所政策企画課で宇宙港に関する業務を一部行なっている宮園氏にお話を伺った。現在の主な取り組みは、市民に宇宙港が身近になるような活動だという。宇宙港のまちづくりに関する現在の課題を伺うと、①宇宙港自体は大分県が提携したもので国東市の立場が難しいこと②前例がない中で交通網も発展していない国東市でどのようなまちづくりのビジョンを描いていけばいいか分からないこと が課題であると分かった。 

民間

市民

考察

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今後の展望

研究の方法の①と②の調査を通して、水平型宇宙港のまちづくりの条件や要件が明らかになりつつある。今後は、③まちづくりの事例と水平型宇宙港を活かしたまちづくりを比較する の調査を進め、さらに条件や要件を精査していく。最後に、調査で明らかになった条件や要件から、水平型宇宙港を活かしたまちづくりのアイデアを考え、明らかにした条件や要件の検証を行う。

参考文献・参考サイト