「ご遺族の手続きに関する行政サービスのデザイン研究」の版間の差分

提供: JSSD5th2022
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; 森山真歩 / 九州大学大学院 芸術工学府
 
; 森山真歩 / 九州大学大学院 芸術工学府

2022年10月18日 (火) 14:31時点における版

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森山真歩 / 九州大学大学院 芸術工学府
Maho Moriyama / Kyushu University 


Keywords: Product Design, Visual Design ← キーワード(斜体)


Abstract
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背景と目的

家族の死後、遺族が行うべき手続きは多岐にわたる。亡くなったという感情面での整理もままならず、必要な手続きに追われるという葛藤が生じている現状がある。重要な課題であるだけではなく、行政によるサポートや、DX化が進む現在にもかかわらずデザインの視点から見た遺族のための行政サービスの研究は見られない。本研究では、遺族サポート窓口で行われている行政サービスを中心に、デザインの視点から、ご遺族が行う手続きを行うプロセスの課題を調査する。また、現在提供されているサービスとの比較、考察を行い、新たに提供できるサービスを提案することを目的とする。

研究の方法

本研究は、福岡市役所の担当課や福岡市で初めてご遺族が行う手続きに関する行政サービスが導入された福岡市中央区役所を対象として研究を進める。具体的には、「ご遺族サポート窓口」を研究対象とする。 文献調査では、遺族の行う手続き全体を把握し、フィールド調査では現行のサービス内容についての調査を行う。

結果

 まず、親族が死亡後の流れについて整理を目的とした現状把握の調査を行った。死亡後の手続きには様々あり、該当者の保有している健康保険証の種類や受給している年金などによって異なる内容となるが、大まかな流れを図1に示す。本研究で取り扱うのは図1の行政機関への手続きである。

図1

行政機関への手続きとして該当するものは以下に示す。 ・年金受給停止の手続き(14日以内) ・介護保険視覚喪失届(14日以内) ・住民票の抹消届(14日以内) ・世帯主の変更届(14日以内) ・雇用保険受給者資格の返還 ・所得税準確定申告、納税 ・相続税の申告、納税 ・国民年金の死亡時一時金請求 ・埋葬料請求 ・葬祭料・家族葬祭料請求 ・葬祭費請求 ・高額医療費の申請 ・遺族年金の請求 上記の手続きのうち、該当するものを行う必要がある。特に14日以内に行う必要な手続き(年金受給停止の手続き、 介護保険視覚喪失届、住民票の抹消届、世帯主の変更届)に関しては、期限内に早急に行う必要がある。


 フィールド調査として、実際に手続きを行ったことのある方へのインタビュー調査と、福岡市中央区役所 ご遺族サポート窓口スタッフの方へのインタビュー調査、見学を行った。

 実際に親族が亡くなった際に死亡後の手続きを行った経験がある方4名にインタビュー調査を行った。 聞き取りを行った内容は、手続きを行う際似合った問題や、気持ちの問題についてである。 その内容を踏まえて、挙げられた問題点をまとめた。 ・手続きの手をつけ始めるところがわからない ・ネットにある情報が信じられるのかわからない ・様々ある制度に該当しているかどうかわからない ・葬儀屋がサポートをする場合が多い ・手続きのための予約が必要かどうかわからない 以上のような内容が挙げられた。


 福岡市中央区役所でご遺族サポート窓口の担当をされている職員の方へインタビュー調査、及び利用者の見学を行った。

 ご遺族サポート窓口で提供するサービス内容は基本、利用者が手続きを行う前段階のサポートである。実際の内容としては、 ①電話予約、お亡くなりになられた方の情報聞き取り(図2の記入) ②職員が必要な手続きの精査(図3の記入) ③来館日に必要な手続きをまとめた案内用紙(図3)を基に説明 以上の内容となっている。

利用者がこのサービスを知るきっかけで最も多かったのは葬儀社から配布される「ご遺族のための手続きガイド」(図4)の冊子である。  図4の冊子については、福岡市が発行しており、ご遺族が行う行政機関への手続きがまとめられている。また、そこに各区役所のご遺族サポート窓口への案内が記載されている冊子である。  実際に窓口を担当されている職員の方へのインタビューから挙げられる問題点として、 ・予約をせず来館される方が多い ・区役所内での手続き以外のことを聞かれる ・必要な持参品が揃っていないことがある ・タイミングによっては半日ほど時間を使うことになる などがあった。 また、他にも職員のためのマニュアルはないため担当職員が実際にした手続き経験をもとに案内を行っていること、担当職員が一人で窓口業務を行っていることも挙げられた。  次に、実際に窓口の利用者の見学を行った。 利用者の方は、葬儀社が配布した図4の冊子に書き込みをして自分たちで手続きをしようとしていたが、本当に正しいのかわからず飛び込みで来館していた。 利用者に対してこの冊子(図4)が大きな役割を果たしていることがわかった。 次に、調査でわかったことをジャーニーマップにまとめた。

文献調査、フィールド調査からわかった課題として、 ・手続きに関して知る機会が葬儀社からの案内以外にないこと ・亡くなった感情面の整理と同時に事務的な作業を行う負担が大きいこと ・実際に必要な手続きにかかる手間の見通しが立たないこと ・手続きに必要情報が散乱していること ・予約(事前の情報聞き取り)がないと結局来館後に時間がかかってしまうこと ・自分たちでの判断だけでは、第3者による確認がないと不安であるということ などが挙げられる。

考察

カスタマージャーニー.png

まとめ

・故人の情報が散乱していて、必要な物を精査するのが困難 ・手続きの多さから実際にかかる手間の見通しが立たない ・手続きを行う上で、見落としがないか第3者の確認が欲しい

脚注


参考文献・参考サイト

  • ◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
  • ◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
  • ◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院