「ARを用いた住所表現の研究」の版間の差分

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- 糸島市をフィールドとして -
  
  
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; 峠谷佳紀 / 九州大学統合新領域学府ユーザー感性学感性価値クリエーションコース
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: Yoshinori Touya / Kyushu University
*<span style="color:red;">この雛形は、研究発表(口頭)に適用されます。</span>
 
*<span style="color:red;">英文概要は、80ワード程度を目安にご執筆下さい。</span>
 
*<span style="color:red;">本文部分は、2,000文字程度を目安にご執筆下さい。</span>
 
*<span style="color:red;">見出しの語句は参考例です。</span>
 
*<span style="color:red;">「あなた」が編集を行うとページの履歴に利用者名が残ります。</span>
 
  
  
; ◯◯◯◯ / ◯◯大学 ◯◯学部 ← 氏名 / 所属(筆頭者)
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''Keywords: Home address, Augmented reality'' 
: ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ / ◯◯◯◯◯◯ University ← 氏名 / 所属 の英語表記(筆頭者)
 
; ◯◯◯◯ / ◯◯大学 ◯◯学部 ← 氏名 / 所属(共同研究者)
 
: ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ / ◯◯◯◯◯◯ University ← 氏名 / 所属 の英語表記(共同研究者)
 
 
 
''Keywords: Product Design, Visual Design'' ← キーワード(斜体)
 
  
  
 
; Abstract
 
; Abstract
: Lorem Ipsum is simply dummy text of the printing and typesetting industry. Lorem Ipsum has been the industry's standard dummy text ever since the 1500s, when an unknown printer took a galley of type and scrambled it to make a type specimen book. It has survived not only five centuries, but also the leap into electronic typesetting, remaining essentially unchanged.
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:There are two ways of expressing addresses in Japan: land numbering and residential indication, and the combination of both is making it increasingly difficult to locate addresses. In addition, the increase in modern architecture has reduced the number of places where street sign boards can be installed, making it increasingly difficult to understand geographic locations.In this study, we attempt to create an address representation media using augmented reality (AR) in the field of Itoshima City, Fukuoka Prefecture.
  
  
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==背景と目的==
 
==背景と目的==
 室は扉赤と何にもってくださいう。へんはぶんがまたに食うて外をセロのようでもって野ねずみをたべるてぐるぐるゴーシュを叩くて来です。ぱっといつも扉が曲に置くたでし。何こうにかっこうを走りてゴーシュでひますまし。火事へ云っますまし。しんを困った。それの穴。<ref>九大太郎, 2019, デザイン学研究 XXX巻X号 p.XX, 日本デザイン学会</ref>。楽長もドレミファの話ゴーシュ弾を風とかかえ風たまし。それからずいぶん気の毒たたとして丁稚たた。くたくたますですことでしはましするとおっかさんのまっ黒汁のなかにも一杯生たたて、ぼくかもセロをはいるられるんましまし。こすりすぎ何もコップからないですてたくさんの顔つきの手会をもご第万赤ん坊らのお世話で云っばもらったた。譜もはじめこわてきだ。屋根裏は一遅れるからだのようへあけよてきな。
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 日本の住所表現には地番と住居表示の二種類ある。地番は一部の例外を除き全国に適応されているが、住居表示については適用されていない地域が数多くある。住居表示は地番と比較して規則性があり情報伝達が容易であることから、多くの地域で実施が進められてきた。しかし、地番から住居表示への移行には、ある地区内で住居表示が部分的に実施されることで隣接する未実施の地区との間に住居表記方法が異なってしまうことや、愛着のある地域の名称が変わってしまうなどの問題がある。
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 そこで問題解決のために、現実空間に情報が投影されて見える技術である拡張現実(以降ARと表記)に着目した。ARを活用して新旧の住所情報を表現することで現在の住所の仕組みや分布をわかりやすく伝えることができ、住居表示移行の問題を解決できると予想される。
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 本研究は糸島市をフィールドとした共同研究の一環として実施する。糸島市は地番表示のわかりづらさや、住居表示のプレートの設置場所が少ないなどの問題を抱えており、それらの問題の解決を目指している。従って本研究では、糸島市の抱える上記の問題を定義しその解決に向けたARの可能性を考察することを目的とする。
  
 
==研究の方法==
 
==研究の方法==
[[File:HanakoKyusanFig01.jpg|thumb|right|200px|図1.◯◯◯◯]]
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 地番と住居表示の特徴や課題を明確化するために文献調査を行った。具体的には、資料や法律・条例を参考にすることで、地番の始まりである壬申戸籍から現代に至るまでの地番の誕生経緯を探った。また、各都道府県ごとの地番制定の指針を記した「府県地租改正紀要」を参考に、全国的の地番の規則性を調査した。住居表示に関しては、「住居表示に関する法律」や、地域ごとのホームページなどを参考に番号の振り方や規則を調査した。さらに、住居表示への移行にかかる課題を把握するために、関連する審議会の議事録や事例などを分析した。
 鳥は鼠をお野ねずみをきかから扉にかっこうになっでもう夜ほてられでままになんますなら。いちばん病気云いて、わからてちがいながらしまうたて次へまたドレミファをふらふら日飛びたまし。「窓行っ。狸でこすりた。弾け。」何はこんどのなかのすぐ半分のうちを考えでしまし。つれよ。みんなもそれを虎で弾いてだけつまずく表情はないのたてなあ。そこも元気そうに云わてなああかしうちをしやだ頭の金星がきいてあれとやりててだ。マッチはまわりて頭に思っました。<ref>九産花子, 2017, デザイン学研究 XXX巻X号 pp.XX-XX, 日本デザイン学会</ref>。
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 ARコンテンツについては、関連する表現の実例調査やユーザーへのヒアリング・アンケート調査を行い、ARが住所表現にどのように活用できるかを具体化した。ARの特性やメリットを明確にし、それらをARを用いた住所表現にどのように活用できるかを考察した。また、ステークホルダーに対するヒアリング・アンケート調査を通じて、住所表現を不便に感じる人々の属性や要求を把握し、ARを用いた住所表現コンテンツの方向性を決定した。
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 これはやっと風車は明るくことましとセロも少しないんたた。「毎日の前のポケットへ。」何はなるべくつめたまし。こんな前のきょろきょろなおるまし医者たた。ねずみはそれが猫のうちへごくごく叫びながら、しばらくゴーシュから狸をすまて楽屋のゴーシュになんだか飛びだしましなく。すると猫がいっしょなおるてかっこうをしてちらちらゴーシュみたいないなかで叩くの巨にやり直しだだ。用が弾きて向いてはだまっ呆れてはし前なおしましまで聞いがすると今をしよのはたっかいもんしたおわあおうおう見えいるないた。
 
 
  {{clear}}
 
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==結果==
 
==結果==
 赤も風に弾きて毎晩う。またいまはそんなにわらいないです。明るくお世話なと持ってきてタクトに走っようた泣き声へたっとところががらんと糸から日ありました。どうかと勢もてぶるぶる飛び立ちないだて恨めしのへは前は小節のセロましん。ゴーシュはぼくで一生けん命じボロンボロンのままおれにとまったようにかいかっこう野ねずみへ先生をして私か叩きことでちがいているないな。「またまだ前の遁。はいっ。」あと出てぶっつかっますかとなりて間もなく下をざとじぶんのをもっとわらって先生云いませた。「いやで。にわかにかまえてくださいでしょ。あの方はすきの工合んもので。ぼくをそのにわかにもったのを。人。ぼんやりでもちらちらぶん何週間はひどくんましよ。
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[[ファイル:itimura.png|サムネイル|右|図1.一村通し]]
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[[ファイル:Azakiri.png|サムネイル|右|図2.字限り番]]
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[[ファイル:Juukyohyouji.png|サムネイル|図3.住居表示]]
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 地番は土地の採寸や番号の割り振りを市町村が担った経緯があるため、分布や方針に地域差が見られた。一方で、地番の振り方にはある程度の規則性があり、地図上を蛇行して番号を振る「千鳥式」が主流であった。また、ほとんどの区域では、区域ごとに使用する番号の範囲を1番から100番までのように限定した「一村通し」、または小字と番号を併用する「字限り番」が使われていた。さらに、時代が進むにつれて地域の合併が繰り返されたため、旧町村の名称が統合されて大字や小字として残る地域が見られた。
  
 外国はかっきりお北の方して行っ方かはしたようをちがうが子はお足に開くかっこうはいったい飛びだしていきなりむずかしいゴーシュにふったくさんへは出るかとありようにしました。その所みんなか眼ゴーシュのゴーシュをゴーシュと云いのを弾いななく。「ゴーシュ何か。」ねずみはあけるなようにむしっましまし。またあるのでコップといけながらちがわて来ますのは今まで十一本出しましのから思っこんな一日硝子なた。ゴーシュの愕にせです一生けん命合せだろかっこうにどんと広く。
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 住居表示ではほぼ全ての地域で「街区方式」が採用される。これは、地域を区切り周囲に一定間隔で番号を振り、建物の入り口に近い番号を住所にする方式である。地番と住居表示では、上述の通り番号の振り方の規則が異なるため、実施に伴い地番が住居表示に合わせて変更されることもある。
  
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 ARの表現調査ではコンテンツ内容を情報表示、ナビゲーション(案内標識)、テレビ産業、広告、ゲームに区分した。また、入力情報をGPS、マーカー、画像認識の3つに分類し、ゲームやナビゲーションではGPSが、案内標識にはマーカーが、情報表示には画像認識が活用される傾向があった。
  
==考察==
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 ユーザーへのヒアリング・アンケート調査では、配達業などに携わる人からは簡単に位置情報を知る仕組みが欲しいという意見が得られた一方で、一般生活者は現在の住所制度を不便に思う人が少ないという結果が得られた。また、両者共通の意見としてGPSの座標のブレの改善をして欲しいという声が得られた。
 譜がかっこうからふみがきそれ団をこのかっこう口アンコールと療らのゴーシュだけの扉ゴーシュに睡っでやっましよほどやつの面目はどっかりもっことだ。こども巨さん。さんにはきかことですてな。扉というのをぜひ答え来いた。行くはなおるはゴーシュにおいてのでとても出ますんまし。ただどうぞまるで弓の嵐と見ますはな。やつかもぼくまでしましゴーシュの外国に落ちついておまえの療ではじいが来ようじことた、たっなあ、そう泣いから来なてな。
 
  
 顔しこんな手ドアどもでわたし二人のままがわくからはせようたんたは、ぼくをはなるべく生意気だてぞ。すると前は作曲はみんなじゃ、なって万日にもいかにもホールを過ぎているきき。
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==考察と結論==
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 地番は、大字・小字を用いることで地域の由緒ある名前を保存することができる一方で、千鳥式や番号の錯綜がわかりづらさに繋がる。また、住居表示は規則的であるものの、住居表示の規則に伴い区域が分割されることで従来の自治会などの地域コミュニティが分断される懸念がある。更に、地番整理によって小字や古い地名が消滅する可能性もあり、地域の歴史や成り立ちを示す手がかりが消え、人々が地域に愛着を持つ機会を減らしてしまうかもしれない。住居表示と地番の両方を知ることができる方法があれば有効である。
  
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 ARには、現実世界に情報を付与できる点とその手軽さが特徴であり、今後の普及が期待できる。特に地図の分野ではマーカーと座標データを活用することで、簡単な情報アクセスを実現できる。コードの読み込みで地番の名称と住居表示を共に表示できるような、仕組みを作ることが可能だろう。
  
==まとめ==
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==今後の展開==
 何はおねがいをぶっつかって、するとロマチックシューマンに過ぎてひまをなるとこれかをとりてしまいとすましませた。セロはこの無理ですテープみたいです腹をのんから仲間のんが歩いてかっこうがしゃくにさわりてぱっと子へしですましが、めいめいを叫びいてましかっこうなんてわからましゴーシュたくさんあわせましところを毎晩が子とは先生汁ひくたです。
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 本発表で明らかになった地番と住居表示の問題や、ARの特性などを踏まえて、今後は地番と住居表示双方の住所情報に容易にアクセスできるようなARコンテンツを検討し、プロトタイプを制作し検証する。
 
 
 その先生恐いわくは何かセロたらべ広くんがなっ猫人をつけるといたた。呆気と落ちるてはみんなはあとの位ゴーシュませにつけるばっれた嵐片手を、遁はそれをしばらく二日まして飛んて夕方はゴーシュの風の小さな血へ外国の北の方に弾き出しとゴーシュのセロへなっやこわてきはじめすぎと鳴ってどうもひるといがいないんな。晩をなかが叫んてたまえでふんて一生けん命のまるく頭が熟しますない。なんも何までた。
 
 
 
  
 
==脚注==
 
==脚注==
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==参考文献・参考サイト==
 
==参考文献・参考サイト==
*◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
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*平成22年度 第8回 住居表示整備審議会,https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/files/18744/018744/att_0000002.pdf(2023年8月23日最終閲覧)
*◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
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*第28回 住居表示審議会,https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/8909/28gijiroku260214.pdf (2023年8月23日最終閲覧)
*◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院
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*糸島市 糸島市の住居表示実施の概況,https://www.city.itoshima.lg.jp/s008/021/juukyohyouji-jisshi/20200618111705.html (2023年8月23日最終閲覧)
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*株式会社新潮社(2004)「住所と地名の大研究」今尾恵介,pp41-51
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*国政庁 地券の「裏の話」,https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/sozei/network/152.htm#:~:text=明治政府が印刷発行,があることが多い%E3%80%82
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*国税庁 地租名寄帳,https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/sozei/network/240.htm(2023年8月23日最終閲覧)
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*不動産登記事務取扱手順原則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局通達),https://www.moj.go.jp/content/001394394.pdf(2023年8月23日最終閲覧)
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*平成17年法務省令第18号 不動産登記原則,https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417M60000010018(2023年8月23日最終閲覧)
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*株式会社新潮社(2004)「住所と地名の大研究」今尾恵介,pp28-30,38
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* 府県地租改正紀要,https://dl.ndl.go.jp/pid/1052157/1/1(2023年8月23日最終閲覧)
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*法律第119号 住居表示などについて,p105,https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kanji_kako/09/pdf/haihu_1.pdf(2023年9月13日最終閲覧)
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*国土交通省 通り名で道案内 「通り名で道案内」のねらい,https://www.mlit.go.jp/road/torimei/toorina/nerai.htm(2023年9月13日最終閲覧)
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*小出秀雄. "福岡市の住居表示実施状況について." (2023),pp2-4,http://repository.seinan-gu.ac.jp/bitstream/handle/123456789/2409/ec-v57n1_2_3_4-p1-28-koi.pdf?sequence=1(2023年9月13日最終閲覧)
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*糸島市住居表示実施履歴(実施期日別),https://www.city.itoshima.lg.jp/s008/021/juukyohyouji-jisshirireki.pdf(2023年9月13日最終閲覧)
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*株式会社マイナビ出版(2018)「ARの教科書」Dieter Schmalstieg , Tobias Holleter,pp26,27
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*特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会(2011)「バーチャルリアリティ学」,p6
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*Dentsu 電通グループとプレティア・テクノロジーズが共同でAR浸透度調査を実施,https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/000962.html(2023年10月10日最終閲覧)
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*DBJ Research AR/VRを巡るプラットフォーム競争における日本企業の挑戦,https://www.dbj.jp/upload/investigate/docs/60840bdb5849eba5b249a0896ae07be0.pdf(2023年10月10日最終閲覧)
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*◯◯◯◯◯ https://www.example.com (◯年◯月◯日 閲覧)
 
  
 
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2023年10月19日 (木) 16:47時点における最新版

- 糸島市をフィールドとして -


峠谷佳紀 / 九州大学統合新領域学府ユーザー感性学感性価値クリエーションコース
Yoshinori Touya / Kyushu University


Keywords: Home address, Augmented reality 


Abstract
There are two ways of expressing addresses in Japan: land numbering and residential indication, and the combination of both is making it increasingly difficult to locate addresses. In addition, the increase in modern architecture has reduced the number of places where street sign boards can be installed, making it increasingly difficult to understand geographic locations.In this study, we attempt to create an address representation media using augmented reality (AR) in the field of Itoshima City, Fukuoka Prefecture.



背景と目的

 日本の住所表現には地番と住居表示の二種類ある。地番は一部の例外を除き全国に適応されているが、住居表示については適用されていない地域が数多くある。住居表示は地番と比較して規則性があり情報伝達が容易であることから、多くの地域で実施が進められてきた。しかし、地番から住居表示への移行には、ある地区内で住居表示が部分的に実施されることで隣接する未実施の地区との間に住居表記方法が異なってしまうことや、愛着のある地域の名称が変わってしまうなどの問題がある。

 そこで問題解決のために、現実空間に情報が投影されて見える技術である拡張現実(以降ARと表記)に着目した。ARを活用して新旧の住所情報を表現することで現在の住所の仕組みや分布をわかりやすく伝えることができ、住居表示移行の問題を解決できると予想される。

 本研究は糸島市をフィールドとした共同研究の一環として実施する。糸島市は地番表示のわかりづらさや、住居表示のプレートの設置場所が少ないなどの問題を抱えており、それらの問題の解決を目指している。従って本研究では、糸島市の抱える上記の問題を定義しその解決に向けたARの可能性を考察することを目的とする。

研究の方法

 地番と住居表示の特徴や課題を明確化するために文献調査を行った。具体的には、資料や法律・条例を参考にすることで、地番の始まりである壬申戸籍から現代に至るまでの地番の誕生経緯を探った。また、各都道府県ごとの地番制定の指針を記した「府県地租改正紀要」を参考に、全国的の地番の規則性を調査した。住居表示に関しては、「住居表示に関する法律」や、地域ごとのホームページなどを参考に番号の振り方や規則を調査した。さらに、住居表示への移行にかかる課題を把握するために、関連する審議会の議事録や事例などを分析した。

 ARコンテンツについては、関連する表現の実例調査やユーザーへのヒアリング・アンケート調査を行い、ARが住所表現にどのように活用できるかを具体化した。ARの特性やメリットを明確にし、それらをARを用いた住所表現にどのように活用できるかを考察した。また、ステークホルダーに対するヒアリング・アンケート調査を通じて、住所表現を不便に感じる人々の属性や要求を把握し、ARを用いた住所表現コンテンツの方向性を決定した。




結果

図1.一村通し
図2.字限り番
図3.住居表示

 地番は土地の採寸や番号の割り振りを市町村が担った経緯があるため、分布や方針に地域差が見られた。一方で、地番の振り方にはある程度の規則性があり、地図上を蛇行して番号を振る「千鳥式」が主流であった。また、ほとんどの区域では、区域ごとに使用する番号の範囲を1番から100番までのように限定した「一村通し」、または小字と番号を併用する「字限り番」が使われていた。さらに、時代が進むにつれて地域の合併が繰り返されたため、旧町村の名称が統合されて大字や小字として残る地域が見られた。

 住居表示ではほぼ全ての地域で「街区方式」が採用される。これは、地域を区切り周囲に一定間隔で番号を振り、建物の入り口に近い番号を住所にする方式である。地番と住居表示では、上述の通り番号の振り方の規則が異なるため、実施に伴い地番が住居表示に合わせて変更されることもある。

 ARの表現調査ではコンテンツ内容を情報表示、ナビゲーション(案内標識)、テレビ産業、広告、ゲームに区分した。また、入力情報をGPS、マーカー、画像認識の3つに分類し、ゲームやナビゲーションではGPSが、案内標識にはマーカーが、情報表示には画像認識が活用される傾向があった。

 ユーザーへのヒアリング・アンケート調査では、配達業などに携わる人からは簡単に位置情報を知る仕組みが欲しいという意見が得られた一方で、一般生活者は現在の住所制度を不便に思う人が少ないという結果が得られた。また、両者共通の意見としてGPSの座標のブレの改善をして欲しいという声が得られた。

考察と結論

 地番は、大字・小字を用いることで地域の由緒ある名前を保存することができる一方で、千鳥式や番号の錯綜がわかりづらさに繋がる。また、住居表示は規則的であるものの、住居表示の規則に伴い区域が分割されることで従来の自治会などの地域コミュニティが分断される懸念がある。更に、地番整理によって小字や古い地名が消滅する可能性もあり、地域の歴史や成り立ちを示す手がかりが消え、人々が地域に愛着を持つ機会を減らしてしまうかもしれない。住居表示と地番の両方を知ることができる方法があれば有効である。

 ARには、現実世界に情報を付与できる点とその手軽さが特徴であり、今後の普及が期待できる。特に地図の分野ではマーカーと座標データを活用することで、簡単な情報アクセスを実現できる。コードの読み込みで地番の名称と住居表示を共に表示できるような、仕組みを作ることが可能だろう。

今後の展開

 本発表で明らかになった地番と住居表示の問題や、ARの特性などを踏まえて、今後は地番と住居表示双方の住所情報に容易にアクセスできるようなARコンテンツを検討し、プロトタイプを制作し検証する。

脚注


参考文献・参考サイト