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情報災害 のバックアップ差分(No.3)


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*情報災害
infohazard|information hazard. 
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災害情報ではなく、情報災害です。
情報災害(Infohazard)という言葉は、日本ではまだ聞き馴染みのない言葉で、普通に検索すると「災害情報」として地震、台風、河川の氾濫といった内容の記事がヒットしますが、ここでお話しする情報災害とは「情報環境において、情報関連テクノロジーや、それに関わる人間という生物が引き起こす様々な災害」を意味しています。

自然環境において様々な災害が「想定外」におこるのと同様、私たちの身の回りにある情報関連テクノロジーや、それに関わる私たち自身が、予期せぬ災害を引き起こすことがあり、今日、その量は加速度的に増え続けています。
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情報災害とは、「危害を引き起こす可能性がある、または一部のエージェントが危害を引き起こす可能性がある情報の流布から生じるリスク」
2011 年 哲学者ニック・ボストロム
***今何が起きているのか
21世紀、すべての人が情報発信できるという大きな情報環境の変化が起こりました。著作権侵害はもちろん、個人情報の流出、誹謗中傷、画像の悪用、盗撮など様々な社会問題が話題となっています。

An information hazard, or infohazard, is "a risk that arises from the dissemination of (true) information that may cause harm or enable some agent to cause harm", as defined by philosopher Nick Bostrom in 2011, 
かつて情報発信は、放送事業者や出版社など、免許・資格など法的な縛りや、大人のモラルによってある程度制御可能な状態にありましたが、インターネットの登場は、それをすべての人たちに可能なものとしました。

物理的な兵器だけでなく、情報通信機器も、様々な破壊行為の道具になるわけで((スマホも含むコンピュータデバイスは戦争にも使える危険な道具であって、実際その輸出においては、外為法や米国輸出管理関連法規による規制の対象となるものがあります。))、現代社会はそれを子供にも持たせている・・というのが実態です。自動車の運転には免許が必要なのに、パソコン・スマホの操作は免許不要という事実は、技術の進歩に社会の問題意識が追いついていない証拠です。車の自動運転やドローンの操縦に関しては、法が後追いしていますが、情報環境というバーチャルな環境における災害については、人々の意識は追いついていないのです。

ちなみに、誹謗中傷、盗撮、個人情報の流出といった問題は、「芸能人とそれを追いかける記者」の間に昔からあったもので、今に始まった話ではありません。彼らは皆、一定の覚悟を決めてその仕事に臨んでいたわけです。

情報発信という行為がすべての人の自由になった1990年代後半以降、一般の人々には「ネットに晒される」覚悟も備わっていなければ、発信することへの責任感も備わっていません。この新たな情報環境に適応するには、すべての人が「芸能人並みのメンタルと対応力」を持つとともに、逆の立場から言えば「放送事業者並みの情報発信リテラシー」と「記者並みの記事に対する責任感」を持つという覚悟が必要になるのです。人間という生物種にとって環境変化への適応は短期間でできるものではありません。多くの人が「適応障害」になっているというのが現状ではないでしょうか。

すべての人に情報発信の自由が与えられたということ、その情報環境の変化は、実はとんでもなく大きな社会構造の変化なのです。

改正プロバイダー責任制限法、ストーカー規制法など、法的な仕組みづくりが進んでいますが、自然災害を法律で防げないのと同様、情報環境の変化に伴う「情報災害」も法律で防げるものではありません(わずかに抑止効果がある程度)。

電話の発明が「誘拐」という犯罪を生んだように、新たなメディアは常に新たな問題を生みます。自然環境の変化はゆっくりですが、情報環境はわずか100年程度で目まぐるしく変化を続けていて、世代交代という時間スケールでおこる生物としての進化では適応することはできません。

情報環境の変化に適応するには、変化の本質を的確に捉え、その知見を共有するための情報デザインと、それに対処するためのリテラシー教育が必要です。
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***情報災害の例
(書きかけです)

***分類
-戦争や犯罪の契機となる情報の流布(例:銃器や爆弾の設計図)

Bostrom proposes the following types of information hazards, among many other types
-必要な情報の取捨選択に人的・時間的コストを要する情報の氾濫
例:各所から届く大量の業務メール、迷惑メール
例:昭和の「三億円強奪事件」では、モンタージュ写真を公開したことによって、通報が大量に届いて、逆に捜査の負担になった・・

-サーバーを機能不全に陥れるアクセスの集中

-対象を直接攻撃して機能不全に陥れるような情報の流布(例:誹謗中傷)

-対象を間接的に機能不全に陥れるような情報の流布(例:爆破予告)

-対象を騙すことで結果的に災害を引き起こす情報の流布(例:フェイク)


//以上、この言葉に関する日本の参考情報がないので、筆者個人の見解です。
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***ニック・ボスとロムの定義
2011 年 哲学者ニック・ボストロムは、情報災害を以下のように定義しました。
 情報災害とは、危害を引き起こす可能性がある、
 または一部のエージェントが危害を引き起こす可能性がある
 (真の) 情報の流布から生じるリスク
 An information hazard, or infohazard, is 
 "a risk that arises from the dissemination of (true) information 
 that may cause harm or enable some agent to cause harm".
 Nick Bostrom in 2011, 


ボストロムによれば、それは以下のように分類されます。

-Data hazards: 
A piece of data that can be used to harm others, such as the DNA sequence of a lethal pathogen.
致命的な病原体のDNA配列など、他人に危害を加える可能性のあるデータ

-Idea hazards: 
General ideas that can harm others if fulfilled. One example is the idea of "using a fission reaction to create a bomb". Knowing this idea alone can be enough for a well-resourced team to develop a nuclear bomb.
実現すれば他人を傷つける可能性のある一般的な知見。その一例が「核分裂反応を利用して爆弾を作る」というものです。このような知見は、リソースの豊富なチームが核爆弾を開発するのに十分な情報になります。

-Knowing-too-much hazards:
Information that if known, can cause danger to the person who knows it. For example, in the 1600s, women who knew about the occult were at a higher risk of being accused of witchcraft.
知り過ぎた人が危険にさらされるという情報災害。例えば1600 年代、オカルトに詳しい女性は、魔女として告発されるリスクが高かった。

Wikipedia より引用:https://en.wikipedia.org/wiki/Information_hazard
出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Information_hazard

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***自然環境と情報環境
(書きかけです)
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***法律という名の・・・
-法律は爆発的な勢いで増え続けています。
-「それダメって知りませんでした」ということが普通にあり得る状況
(書きかけです)
//-法律は爆発的な勢いで増え続けています。
//-「それダメって知りませんでした」ということが普通にあり得る状況

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(書きかけです)
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**APPENDIX
***関連ページ
-[[情報環境]]
-[[情報理論>InformationTheory]]
-[[情報デザイン>InformationDesign]]
-[[多様性]]
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