#author("2024-03-11T14:50:14+09:00","default:inoue.ko","inoue.ko") #author("2024-03-11T14:50:53+09:00;2024-03-11T14:50:14+09:00","default:inoue.ko","inoue.ko") *Exposure Value [[Photography]] ~ 露出(EV:Exposure Value)とは簡単に言えば「光のあたる量」を意味します。「感度」自体も自由に設定できる自動露出のデジタルカメラでは、あまり意識することがないかもしれませんが、化学反応を用いるフィルムでは、フィルム感度に応じて露光量を適正に調整しなければ、きれいな像を得ることはできません。 ここでは「感度」が規定される''フィルム撮影を前提として''、適正な露出を実現するための、絞りとシャッタースピードの調整について概説します。 ちなみに、機械式の(あるいは露出計が壊れた)フィルムカメラで撮影を行いたい場合は、__[[スマホの露出計アプリ>Google:露出計 スマホアプリ]]__を使うと、以下に述べる EV値の計測と、適正な絞りとシャッタースピードの組み合わせの情報を得ることができます。 ~ ***EV値 EV(Exposure Value)値とは、明るさ(露出)を意味する数値で、撮影環境が明るいほど大きな値になります。具体的な設定例は以下のようになります。 |15|45|20|20|c |BGCOLOR(Black):COLOR(white):絞り値|BGCOLOR(Black):COLOR(white):状況|BGCOLOR(Black):COLOR(white):ISO400|BGCOLOR(Black):COLOR(white):ISO100|h |EV=16|快晴時の海・山| 1/1000 f16 |1/500 f11| |EV=15|快晴 "Sunny 16 rule"|1/500 f16| 1/125 f16 | |''EV=15''|快晴 "Sunny 16 rule"|1/500 f16| 1/125 f16 | |''EV=14''|晴れ 「晴れたらセンパチ」|1/1000 f8|1/250 f8| |''EV=13''|明るい曇り・雪景色|1/250 f11|1/250 f5.6| |EV=12|曇りの日陰| 1/250 f8 |1/125 f5.6| |''EV=11''|雨天|1/250 f5.6|1/60 f5.6| |EV=10|TVスタジオ| 1/125 f5.6 |1/30 f5.6| |''EV=9''|窓辺・スポット照明|1/60 f5.6|1/30 f4| |EV=8|夕暮れ屋外|1/30 f5.6|1/30 f2.8| |EV=7|昼間のオフィス&br;夜間の室内(蛍光灯)|1/30 f4|1/30 f2| |''EV=6''|マジックアワー&br;夜間の室内(電球)|1/30 f2.8| 1/30 f1.4| |EV=5|夜景(照明あり)|1/30 f2| 1/15 f1.4| 適正な露出で撮影するには、この値に応じてフィルムのISO感度を前提に、絞り・シャッタースピードを決めればよい・・ということになります(自動露出のカメラ(AEカメラ)では、これは自動的に設定されます)。 絞りには AV(Aperture Value)値、 シャッタースピードにはTV(Time Value)値、そしてISO感度には ISO値が定義されています(後述)。これらを使って、以下の関係式を満たすように調整します。 EV値 = AV値 + TV値 - ISO値 例えば、ISO感度100のフィルムで、曇りの日陰(EV = 12)の場合・・ EV12 = AV6(=F8)+ TV6(=1/60秒)- 0(ISO 100) ということで、F8 ・ 1/60 秒 という組み合わせで適正露出となります。 同様に、以下の設定でも可能です。 EV12 = AV7(=F11)+ TV7(=1/125秒)- 2(ISO 400) 以下、それぞれの値の対応表を掲載します。 ~ ***AV値|Aperture Value |50|50|c |BGCOLOR(Black):COLOR(white):絞り値|BGCOLOR(Black):COLOR(white):AV値|h |F1.0|AV0| |F1.4|AV1| |F2.0|AV2| |F2.8|AV3| |F4.0|AV4| |F5.6|AV5| |F8 |AV6| |F11 |AV7| |F16 |AV8| ~ ***TV値|Time Value |50|50|c |BGCOLOR(Black):COLOR(white):シャッタースピード|BGCOLOR(Black):COLOR(white):TV値|h |1秒|TV0| |1/2秒|TV1| |1/4秒|TV2| |1/8秒|TV3| |1/15秒|TV4| |1/30秒|TV5| |1/60秒|TV6| |1/125秒|TV7| |1/250秒|TV8| ~ ***ISO値 |50|50|c |BGCOLOR(Black):COLOR(white):ISO感度|BGCOLOR(Black):COLOR(white):ISO値|h |100|0| |200|1| |400|2| |800|3| |1600|4| |3200|5| ~ ***参考:フィルムカメラでの適正露出 例えば、ISO感度 100の場合、「晴の屋外(EV14)」は '' f 8 、1 / 250'' で適正です。適正露光量を保つには、絞りとシャッタースピードの関係を調整します。 -一段絞って f 11 なら シャッタースピード 1/125 で適正 -一段開けて f 5.6 なら シャッタースピード1/500 で適正 光源である太陽と地球の距離を考えれば、「晴天の屋外」は、世界中どこにいても空間を満たす光の量は同じ。EV=14 の環境では、 '' f 8 、1 / 250''で、設定を固定して撮影することができます。自動露出(AE)のフィルムカメラは、カメラをどこに向けるかで、露出設定を変えてしまうので、「逆光の場合は露出補正が必要」といった話になるのですが、基本的に、光の状態が同じであれば、カメラに入る光の量は、被写体の明るい部分は多く、暗い部分は少なく入る・・という単純な話なので、設定は固定で構わない・・ということになります。 快晴(EV=15)時の撮影について ''Sunny 16 rule'' という言葉があります。 快晴(EV=15)の条件下では「 f 16 、シャッターは 1/ISO 」 と覚えればいい・・という極めてシンプルなルールです。 ISO100のフィルムでは f 16、1/100(EV15 = AV8 + TV7 + 0) ISO400のフィルムでは f 16、1/400(EV15 = AV8 + TV9 - 2) //私の場合は(といっても趣味のレベルですが)以下のことだけ覚えていました。 // 晴天の屋外(EV=14)の撮影(ISO 100 のフィルム)では // f 8 、1 / 250 //カメラのAE(自動露出)に頼らなくでも、これを基準に調整するだけです。 //昭和の(趣味レベルの)写真撮影はとてもシンプルでした。 ちなみに、レンズ付きフィルムカメラ(使い捨てカメラとも言う)は、さまざまな光の状態に対応できるよう「曇天(EV=12)を平均」とみなして、絞り・シャッタースピードは固定・・となっています。 -FUJICOLOR 写ルンです シンプルエース(フィルム内蔵) 単焦点 f=32mm(1m~無限遠), f / 10 固定, 1/140 固定(ISO 400) -KODAK M35 フィルムカメラ 単焦点 f=31mm(1m~無限遠), f / 10 固定, 1/120 固定 ~ ~ ~