MOVIE
映画、テレビ、インターネットで配信される動画など、動画全般について・・・
CONTENTS
映画
映画略史
- 1894年 キネトスコープ エジソン(のぞきからくり)
- 1895年12月28日 シネマトグラフ リュミエール兄弟(映写と映画館)
- 1895 リュミエール 「工場の出口」 記録
- 1902 メリエス 「月世界旅行」 物語
- 1903 エドゥイン・S・ポーター「アメリカ消防士の生活」「大列車強盗」
- 1916 D.W.グリフィス 「イントレランス」 クローズアップと「編集」
- 1930年代~ トーキー
- 1960年代~ カラー化
- 2013年 富士フイルム 撮影・上映用映画フィルム生産終了
日本では
- 1903年 浅草の電気館が映画館の初め。
- 1961年 全国に7457館とピークを迎え・・
その後、TVの普及、家庭用VTR普及で激減。 - 1993年 全国えで1734館まで落ち込む。
2000年以降、館数ではなく、スクリーン数によるカウント - 2001年 2,585スクリーン
- 2019年 3,583スクリーン
- 2021年 3,648スクリーン(増加傾向)
参考:日本のスクリーン:http://www.eiren.org/toukei/screen.html
技術仕様
- 上映方式
- 35㎜:最も代表的な方法。35㎜フィルム幅は映画黎明期の頃から。
画面サイズはスタンダードサイズの 1:1.33。
Wikipedia:35mmフィルム - 70㎜:上記の倍の幅を持つフィルムを用いる撮影方法。1955〜
画面サイズは 1:2.2 のものが多い。
Wikipedia:70mmフィルム - シネマスコープ:フィルムは従来の35㎜を使用。
撮影の際にアナモフィック・レンズにより縦伸びの映像に圧縮
上映の際に同様にアナモフィック・レンズで左右伸長し元に戻す
画面サイズは 1:2.35 (20世紀FOXが1953年「聖衣」で採用) - ビスタビジョン:フィルムは従来の35㎜を使用。
特殊なカメラを用いて横方向に送り、2コマ分の領域に1コマを撮影
上映用には、従来どおり縦方向にプリントしたフィルムを用いる。
画面サイズは 1:1.5 - 1.85 - 2.0(パラマウント社が1954年に採用) - スーパー35方式:フィルムは従来の35㎜を使用。
撮影段階からTVサイズでの収録も考慮したのが本方式。
特殊な撮影機を用いてフィルムのサウンドトラック領域まで撮影
上映用には上下をカットしてシネマスコープ方式のマスターを作成
TV用には上下左右をカットしてマスターを作成 - IMAX(アイマックス):70㎜の3倍面積のフィルムを使用。
超大型スクリーンに映写し、音響もデジタル・マルチチャンネル。最新技術の粋を結集させた豪華仕様の方式である。 - 16㎜:35㎜の半分幅。一部の邦画、かつてのテレビドラマ・アニメ等
Wikipedia:16mmフィルム - 8㎜:16㎜の半分幅。1932年から発売。家庭用・教育用・産業用。
Wikipedia:8ミリ映画
- 35㎜:最も代表的な方法。35㎜フィルム幅は映画黎明期の頃から。
- 映写速度(Frames Per Second=fps)
- 秒間24コマ:一般の映画(トーキーは 24 コマ/秒が基本)
光の明滅に関する臨界融合頻数 30回/秒 >1コマに2回 or 3回シャッターを開けている - 秒間18コマ:スーパー8 とシングル 8
- 秒間16コマ:レギュラー(ダブル)8、無声映画時代のレート
- 秒間24コマ:一般の映画(トーキーは 24 コマ/秒が基本)
テレビ
テレビ略史
- 1936年 TV放送実用化 米
- 1953年 日本のTV放送開始 NHK
- 1960年 カラー放送
- 1964年 普及率83% (東京オリンピック)
参考:4大マスメディア:新聞 / TV / ラジオ / 雑誌 - 1989年 衛星放送開始
- 2000年 衛星デジタル放送開始(BSAT-1b のちにBSAT-2a)
- 2002年 CS スカイパーフェクTV!2 放送開始
- 2003年 地上デジタル放送開始
- 2006年 ワンセグ放送開始
- 2011年 アナログ放送終了(7月24日)
- 2018年 BS/110度CSを使った衛星放送で4K・8K放送スタート
現行のテレビについて
- 地デジ日本方式 ISDB-T Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial
ワンセグ放送は、このISDB-T方式による携帯端末向けの放送サービス。
アメリカではATSC方式、ヨーロッパではDVB-T方式。
- HDTV
- 地上デジタル 1440×1080i, 29.97fps
- BSデジタル 1920×1080i, 29.97fps
- UHDTV:Ultra-high-definition television
- 4K UHDTV 3840×2160p, 120fps(規格上の最大)
- 8K UHDTV 7680×4320p, 120fps(規格上の最大)
旧アナログテレビについて
- NTSC方式(日米) 525本(262.5×2 インターレース) 29.97fps
- 欧、アジア、アフリカはPAL、
- 仏、東欧、中東、アフリカ共産圏はSECAM 625本25fps
パッケージメディア
メディア略史
- 1956年 ビデオの実用化
- 1964年 家庭用オープンリール
- 1975・6年 1/2インチβとVHS
- 1985年 8ミリビデオ ソニー Hi-Fi音声 とPCM音声トラック
- 1995年 デジタルビデオ(DV) ソニー
- 1996年 DVD 4.7GB
- 2006年 Blu-ray Disk 1層25GB、2層で約50GB
- 以後、パッケージメディアは衰退 > サブスク(定額制ネット視聴)へ移行
Web動画
Web動画略史
- Vimeo 2004.11
- Google Video 2005.01 - 2011
- Dailymotion 2005.02
- GyaO! 2005
- YouTube 2005(YouTube Live 2011)
- ニコニコ動画 2006(ニコニコ生放送 2007)
- Ustream 2007.03 - 2016
- U-NEXT 2007
- Hulu 2011
- Netflix 2015
- Amazon Prime Video 2016
動画のフォーマット
- 画面のサイズ
デジタルデータとして扱われる動画のピクセル数と画面アスペクト比は事実上無限にあります。現在、流通している主な規格だけでも数十種類存在。
Google: Video Standards
- AVI
Windows用の標準コンテナ*1
- FLV(Flash Video)
Macromedia社が開発した「Flash」の技術を用いた動画形式で、主にインターネット上での動画配信に採用されています。閲覧のためにはブラウザに「Flash Player」というプラグインのインストールが必要。
- MP4(MPEG-4 AVC = H.264)
携帯電話から、ネット上の動画、HDTVまで幅広く利用されているコンテナフォーマット。MPEG4は携帯端末やアナログ電話回線のようなナローバンド向けに開発された仕様で、低ビットレートでも再生可能です。MPEG2と同レベルのデータを10分の1で転送することが可能です。
- MOV
AppleのQuickTimeで採用されている標準コンテナです。
- MPG
mpeg-1(1.5~1.8Mbps)またはmpeg-2(4~15Mbps)形式。DVDをはじめ標準テレビからHDTVまで、幅広く利用されています。
- OGG
オープンソースのコーデックとしてWikipediaにも投稿できるマルチメディアコンテナフォーマット。動画コーデックにはTheora、音声コーデックにはVorbisが用いられています。
WikimediaCommonsでは、動画資源がこの形式で公開されています。
- RM(RealMedia)
RealVideoやRealAudio用の標準コンテナ
- VOB
DVD-Videoにおいて、映像、音声、字幕、メニューなどの情報をひとつのオブジェクトにして格納することができるファイルフォーマットです。映像データはMPEG-2*2、音声データはリニアPCMやAC3など。これらに加えてチャプターメニューなどのデータがVOBファイルに格納されているといます。
- WebM
WebMはGoogleが2009年5月に発表したHTML5準拠のオープンソースのビデオプラットフォーム。現在、WebMに対応する主なWebブラウザは、Google Chrome、Firefox、Opera。
- WMV
Microsoft社が開発した動画ファイル。MPEG4系のエンコードを採用し、ローカル再生とストリーミング再生に両対応。ファイルサイズは非常に小さくできます(~500Kbps)。
WindowsのMedia Playerが標準対応で、Macで再生する場合「Flip4Mac」というソフトをインストールすることが必要です。
映像メディアの特質
映画・映像一般の特質
- 映画館は「他者の視線を浴びることなく、外部の世界を見ることができる(見られずに見ることができる)」人間にとって快適な視覚環境です。
- 映像の素材(ショット)はすべて「具体的」なものです。具体的な素材は、辞書に登録されて整理されることはなく、よって「単語(一般名詞)」として機能することはありません。映像では「犬」という一般名詞を表現することはできず、そこに示されるのは、常に「固有名詞」としての「具体的なその犬」です。
- 映像は言語のような二重分節(音素と形態素)構造を持ちません。
一般に、記号化される情報の大半は有限の「要素単位」(音楽でえば ド レ ミ)が存在しますが、映像にはそのような既存の要素は存在しません。
- 映像は編集によって「第3の意味」を生成します。
- 例えば、赤い帽子と、青い帽子のショットが接続されれば、赤と青の差異に鑑賞者の注目が集まります(鑑賞者はそこに意味を見出そうとする)。
- また男性のショットと女性のショットが接続されれば、誰でもこの二人の関係を想像する(この二人が無関係と感じる人はいない)。
- 映像は言語と同様の表現ができません。例えば・・
- 1)疑問文「あなたは誰ですか?」
- 2)否定文「これはピストルではない」
- 3)仮定文「もし私が鳥だったら」
- 4)過去形「それはかつてそこにあった」 映像は常に現在進行形
- 映像には、そもそも接続語がありません。「しかし」、「または」、「なぜなら」といった意味でショット間をつなぐのも不可能です。
TVメディアの特質(1950年代以降)
- TVは見るものを巻き込むメディアである(M.マクルーハン)
- HOT MEDIA : High Difinition Low Participation NewsP Radio
- COOL MEDIA : Low Difinition High Participation TV TEL)
- 写真は「過去」、TV は「現在」
- 映画はお金を払うが 一般の民間放送は無料で視聴できる
- TV は視聴者が席を外すことを前提に冗長度の高い編集が必要である
- 映画は暗い中で見るが、TVは明るいところで見る
- 映画のサウンドはダイナミックレンジが広い
- TV が囲炉裏にかわって居住空間の中心に(1960年代~)
- TV は伝統的な家庭の機能を破壊した
- TV と電話は一人暮らしを可能にした(1970年代~)
パッケージメディアの特質(1980年代以降)
- 巻き戻して見ることが可能になった(「聖なる一回生」「アウラ」の消滅)
- ビデオは「個」で見る。 → 共有体験の希薄化
- 映像 / 音声 / 字幕の組み合わせが選択可能となった。
- 映像はファイルとして取り扱われるようになった。
- 我々が日頃接するあらゆるコンテンツは、常にはじめから「複製品」となった。
- 我々は生(Live)を体験する機会が少ない。 音楽はLiveであったはず。
Web動画の特質(2000年代以降)
- Webブラウザ上で再生できる動画には、現在多くのフォーマットが存在。
- すべてが「ファイル」として扱われ、記録媒体を選ばない。
- YouTube等の動画サイトの登場により、一般の人も動画の発信者になった。
- 個人が発信者となることで、一部の人しか知らないような古い映像が、個人のVTRからアップされ、閲覧できるようになった。映像の発信は空間的なエリアだけでなく、時間的なエリアも広げている。
- 時と場所を選ばず、自由に見ることができる動画が無数にある。
- ニコニコ動画の生放送に代表されるように、視聴者が動画にコメントを投稿するかたちでの視聴者参加型の放送が実現している(これはテレビの生放送時の視聴者アンケートとは質が異なる)。
関連するキーワード
Signifiant / Signifie (能記 / 所記)|F.ソシュール
ソシュールによれば、言語とは、観念を表現する記号のシステムであり、身振り、文字、さまざまな象徴、道路標識や軍隊の信号など、意味を生み出す記号のシステムです。そして、それぞれの記号は他のすべての記号と「差異」と「対比の関係」によって結ばれながら「記号のシステム」を形成するといい、シニフィアンとシニフィエという2つの鍵概念を提唱しました。
- シニフィアン(signifiant)
- 能記。記号表現。意味するもの、表現するもの。
- 例:「鳩」という文字や、「ハト」という音声
- シニフィエ(signifier)
- 所記。記号内容。意味されるもの、表現されるもの。
- 例:鳩のイメージや、鳩という概念・その意味内容
Denotaion / Connotation(外示 / 伴示)|R.バルト
これはロラン・バルトによる概念区分で、簡単にいうと、デノテーションとは字義どおりの意味の伝達。コノテーションは、潜在的な、あるいは字義どおりの意味を超えたところにある意味の伝達のことです。
- デノテーション(denotation)
- 外示。言語記号の顕在的で明示的な意味
- 例:「ハト」→ 鳩
- コノテーション(conotation)
- 伴示。言語記号の潜在的な意味
- 例:「鳩」→ 平和
- 映像の Denotaion / Connotation
ショットの継続時間が短い場合、視聴者が捉える意味は外示的なものになります。逆に継続時間が長くなると、視聴者の意識には伴示的な連想が広がります。たとえば鳩が飛ぶシーンでは、パッと見せるだけだと「鳩がいた」という解釈で終わりますが、それを長時間見せていると「平和」のような抽象的・象徴的な解釈が発生します。
- 写真における Denotation がもたらすもの
写真はその「外示」の強さによって「判示」を隠蔽します。事件現場では時間は連続して流れています。そこから一瞬を切り取る・・その行為は、逆に言えば「都合の悪い部分はカットする」ということなのですが、視聴者は「写真がリアルである」ということによって、それが「事実の全体である」と理解します。報道写真には、カメラマンの意図が隠れています。「外示」の強さによって「伴示」が隠蔽される・・とはそういう意味です。
クレショフ効果
ソビエトの映画作家・映画理論家のレフ・クレショフが行った実験では、編集によってショットそのものには無い「第三の意味(R.バルト)」が生まれることが示されました。
- 1) スープ皿のクローズアップ + 男性の顔 → 空腹
- 2) 棺の中の遺体 + 男性の顔 → 悲しみ
- 3) ソファに横たわる女性 + 男性の顔 → 欲望
映像編集に関わるキーワード
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