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共同幻想 の変更点


#author("2021-07-03T12:07:38+09:00;2021-07-01T18:25:42+09:00","default:inoue.ko","inoue.ko")
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*共同幻想
生物としての認知機能を上書きしたバーチャルランタイムシステム
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多くの人は「世界には様々な事物が存在していて、人間がそのひとつひとつに名前を与えていった」と考えます。「神があらゆる事物に名を与えた」という宗教的な世界認識が前提にあればなおさらです。でも、様々な言語を研究した言語学者や、「未開」社会の暮らしを調査した文化人類学者が、そうではないことに気づきました。はじめに事物があってそれらに名前がつけられたのではなく、言葉の存在(差異)が環境や事物を区分けして、世界を立ち上がらせたのだと。「言葉は『ものの名前』ではない」。構造主義の祖といわれる言語学者ソシュールの言葉です。
 私たちが目の前の事物に見いだす意味や価値は、はじめからあったのではない。私たちが見ている世界は、言語(記号)によって切り分けられ、再構成された擬似的な現実 = ''共同幻想'' だというわけです。

 国家や社会は確固たる現実的基盤の上に立っているのではなく、
 多くの人の共同幻想で成り立っている
                           吉本隆明

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***共同幻想論|吉本隆明

共同幻想という言葉は、思想家、吉本隆明氏の「共同幻想論」(1968年)で提唱された概念。氏によれば人間の幻想には以下の三種類があります。
-自己幻想
--個人の内面に収まる幻想。芸術、個人レベルの神秘体験
--他者と共有されないもので、無制約に自由
-対幻想
--個人と他者との関係。家族・友人・恋人などとの関係。
--動物的な生殖行為や子育てから疎外された幻想
--二者関係では共同幻想が発生しない。社会的モラルから比較的自由な関係
-''共同幻想''
--個人と他者との公的な関係。
--国家・法律・企業・経済・株式・組合など
--宗教(教団があり、布教が行われる場合)
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***[[唯幻論]]|岸田秀

共同幻想は、かけ離れてしまった本来の現実と私的幻想との双方をいくらかずつ裏切った妥協の産物であり、本来の現実を裏切っている点において、決して現実への十分な適応には達し得ず、つねにいくらかの不適応を招かざるを得ず、私的幻想を裏切っている点において、各人の私的幻想をあますところなく吸収し、共同化するには決して至らない。共同幻想は、絶えずその双方からの挟み撃ちに会って動揺する。
 この不安定さを減らすためには、共同幻想に支えられている集団を絶えず空間的また時間的に拡大してゆかねばならない。
&small(国家論 p.47|ものぐさ精神分析); > [[&small(唯幻論);>唯幻論]]


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***本能の破綻
人間の本能は、共同幻想によって上書きされ、破綻しています。
それを物語る事例はいくらでもあります。

-自殺する = 生命維持という基本原理が破綻している
-同種のもの同士で殺し合う
&small(近縁のチンパンジーなどにもその傾向はみられますが・・);
-身体への攻撃よりも、言葉の攻撃の方か効果が大きい
&small(体があたっても「言葉で謝れば」済むが、「言葉で罵られる」と怒り狂う。);
-種族保存の目的以外の性行為・性倒錯
-インセストタブー(近親相姦の禁忌)が民族をこえて共通に存在する
-貨幣を価値あるものとみなして交換している
-大型動物であるにも関わらず、狭い土地に「定住」している
&small(大型動物は移動生活が常である);

などなど・・
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***非平衡開放系
共同幻想は文字どおり根拠基盤のない「幻想」ですから常に不安定なものです。それを安定させるには「動かし続ける」必要があります。生命現象と同じく動的に秩序を保つことが必要です。そのためには、あえて構造を破綻させ、バランスを崩す必要があります。

多くの人間社会は、秩序を組み換えるための仕組みを、別の方法で用意していました。「社会を同一状態に保たない」ための仕組み、それが祝祭であり、芸術です。このような方法で、既存の価値を転倒、あるいはゆさぶる行為は、社会の動的秩序を保つ最も平和的な方法といえます。
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***参考文献
-[[Google:吉本隆明 共同幻想]]
-[[Google:岸田秀 共同幻想]]
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***関連ページ
-[[構造主義>Structuralism]]
-[[言語>Language]]
-[[唯幻論]]
//-[[共同幻想]]
-[[存在と科学]]
-[[中心と周縁>CenterAndPeriphery]]
-[[中心と周縁]]
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