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情報共有のための意識改革

情報共有のための意識改革


言葉・文字・貨幣・インターネット。人類の生存戦略は「モノを情報(複製可能なもの)に変換するとともに、お互いの信用を前提として、それを遠隔・非同期的に共有すること」にあったと言っても過言ではありません*1

水・空気・情報・・私たちが生き延びるために必要なものは、いずれも排他的な所有には馴染まない共有財産です。インターネットは世界規模での「情報」の共有を可能にしました。SNSによる誹謗中傷などの新たな問題を生んでいることも確かですが、それ以上に、政治・経済の枠組みを超えた社会の変革を可能にする「希望の仕組み」でもあります。

インターネットの活用を前提とした情報共有のための意識改革が必要です。


CONTENTS


はじめに

インターネットの登場によって、空間と時間の再編(遠隔・非同期)が可能となりました。産業革命以後の「常識」を0ベースで見直すことが必要です。

空間の再編

成長し続ける巨大空間や交通システム は、資源・エネルギーの掠奪を前提とする点で、元々サスティナブルではありません。ヒトやモノを動かすのではなく「情報」 を動かす・・。

時間の再編

遠隔・非同期の生活は「時計(鉄道とともに普及したもの)」に従う必要はありません。また、労働時間に応じた賃金、学習時間に応じた単位など「出来高が時間に比例する」という近現代の常識もそろそろ賞味期限が切れです*2




クラウドファーストで考える

サーバーにあるものがマスター、手元のファイルはクローン

データはローカルデバイス(自分の手元)ではなく、サーバーに一元管理して、みんなで共有するのが理想です。

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クラウドファーストで考えると、バックアップが自動的にできる(差分記録が残る)など、データを失うリスクが軽減されるとともに利便性も増します。「もし自分のパソコンが壊れたら・・」という不安からも解放されます。

「実体渡し」から「アドレス渡し」へ

情報伝達は、データの「実体渡し」ではなく、「アドレス渡し」を推奨します。例えば以下のように、データのある場所へと誘導するということです。アドレスは単なる文字列なので、通信負荷なく送受可能です。

・授業の資料一覧です。以下をご覧下さい。
 https://www.example.com/data01.html
・ 荷物は北浜305倉庫、B列45番BOX。開錠の暗証番号は2112です。

Push型からPull型へ

Pushとは、送信者が情報を強制的に送る(受信者は情報を受動的に受け取る)もので、電話・FAX・メールなどがこれにあたります。一方 Pull は、受信者が必要なときに情報を能動的に受け取りにいくもので、Webサイト、共有フォルダ、掲示板を見に行くなどの行為がこれにあたります。送信者都合による Push配信は情報氾濫を招きます。可能な限り Push から Pull への移行が賢明です。

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情報の管理法

私たちは情報を「図書館のように」カテゴリー・ツリーに整理する思考に慣れていますが、カテゴリーに収まらない情報の扱いや、検索効率の悪さなど、様々な問題があります。しかし、データベースの活用と、コンピュータによる検索を前提にすると、情報管理の発想を逆転させることができます。

書棚からDBへ

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従来のように「書類をバインダーに綴じて棚に整理する」という発想ではなく、「書類に関連するカテゴリー名やタグを付けて保管しておけば、あとはシステムが自動的に引き出してくれる」、つまり「片付ける必要はく、機械に探させればいい」という発想の転換をすることで、情報の管理は楽になります。

WordPressのようなCMSは、「記事」を含むあらゆる情報をデータベース化し、そこから必要な情報を「問い合わせ」によって表示するシステムと言えます。
https://opensquarejp.wordpress.com/


フォルダ(カテゴリー)とインデックス(タグ)

フォルダ(カテゴリー)は、一般にツリー型の分類構造を持ちます。例えば、Webサイトのサイトマップ(ナビゲーションメニューに反映)は、一般にカテゴリーツリーの形で構成されます。

インデックス(タグ)は、各情報に関連するワード「タグ」付けする・・というもので、ツリー状の分類とは無縁の存在です。例えば「犬の写真」には、「犬」と「写真」の2つのタグを付けておけば、閲覧者は「犬」からでも「写真」からでも目的のデータにたどり着くことができます。

ストックとフロー

ストックとは、長期にわたって何度も閲覧される情報のことで、マニュアル、参考資料、文書フォームなどがこれに該当します。一方、フローとは、短期間で価値がなくなる情報で、お知らせ、募集告知などがこれにあたります。

伽藍とバザール

ページを独立させました > TheCathedralAndTheBazaar

ツリーとセミラティス

ページを独立させました > Semi-lattice

WikiとBlog

CMSの2大スタイルである Wiki と Blog は「ストック(カテゴリー)」に重点を置くか「フロー(タグ)」に重点を置くかの違いで説明することができます。

インターネット時代の新・常識

Open|「複製」を容認する

「情報体の気持ち」になって考えればわかることですが、生命の情報(DNA・RNA)からWeb上の情報まで、あらゆる情報体は複製(シェア・拡散)されることを望んでいます。20世紀という時代は「複製するな!複製するなら金払え」という考え方が横行した時代でしたが、インターネット文化の背景には Small、Share、Open など、前時代とは真逆の思想があって、その基盤を支えるオープンソースの大半が従来の Copyright とは異 なる Copyleft という発想で共同開発され ています。それは「自由な複製と突然変異」 を推進する発想であり、情報の進化(多様化)を持続可能にする仕組みだと言えます。

Update|「書きかけ」を容認する

Wikipedia では「書きかけ項目」という表記をよく目にします。あらゆる情報はアップデートされることを前提に「書きかけ」であっても公開するのが賢明です(情報が無い場合は、「現在、情報はありません」という情報を出すべきです)。

特に危機的な状況下では、迅速な情報提供が求められます。COVID-19の感染拡大がはじまった2020年2月、クルーズ船から出された「情報が不足しています」という映像は記憶に新しいと思います。もちろん、混乱を招かないように配慮することは大前提ですが、情報を求めている人のために、全体は未完成でも、出せる情報から順次出していくことが求められます。

ただし「書きかけ」をメールで配信するのではかえって混乱します。あくまでも Pull型の情報共有システムの利用が前提です。

文書作成は「HTMLの考え方」を手本にする

文書というものは、以下のような「要素」に分解・整理することができます。一定のルールで文書を構造化すると、情報の抽出や再利用の効率が良くなります。

文書の標準フォーマットのひとつである HTML は、そうした個々の要素を「タグ」で囲むかたちで記述します。この感覚に慣れるには、Wikiの記法として知られる Markdown を体験するのがよいでしょう。これは世界標準の文書の構造化手法です。プレーンテキストファイル(拡張子 .md)として保存されるもので、ブラウザその他の様々なソフトウエアで表示させることができます。


紙媒体からの解放

例えば、PDFは電子媒体と言われますが、「A4タテ」などという、印刷を前提とした仕様になっている点で紙媒体と変わらず、作業効率の悪さから言えば、従来の紙ベースの仕事と変わりません。

印刷することを前提としてワープロで文書を作る発想は、作業効率を悪くします。1ページに収めようと文章を調整する作業などは、「タテ成り行き」で構わない Webページでは不要な作業です。

アナログとデジタルの最大の違いは、 デジタル情報が「居場所」を選ばないということです。文字は紙、音はテープ、 光はフィルムなどのように、情報が媒体(工業製品)に拘束されないことが、遠隔(場所からの解放)と非同期(時間からの解放)を可能にしているのです。「媒体に拘束されないようにする」ということを常に意識することが必要です。

ローカルデバイス(PC機器)からの解放

ローカルデバイス(個々の PC)への保存をやめて、クラウドで一元管理する。このとき窓口となるのがブラウザ(Chrome, Firefox等)です。ブラウザは、機種・OSに依存しない世界共通のプラットフォームで、画像処理、図形描画、音楽制作、そして AI関連のソフトウエア開発など、現在ほぼすべてのことがブラウザの中だけで完結できる時代です。

結果、必要なのはクラウドを利用するためのアカウント情報だけ・・ということになります。「ローカルデバイス(PC機器)からの解放」を意識すると、個人のパソコンを管理する煩わしさから解放されて、快適な人生が実現します。

ガラパゴスシステムからの解放

ICT 化の名の下に導入される 「ガラパゴスシステム」が前時代的なものであることにも気づくべきです。独自システムの活用に無駄な学習コストがか かるだけでなく、開発がクローズドであるがゆえに、臨機応変な改変もできません。

この国の ICT 化には、開発者(生産者) と利用者(消費者)という産業革命以後 の構図が今だに存在していますが、デジタル技術の特徴は、誰もが自由に活用できることにあります。そこには「生産者 vs 消費者」という構図はなく、すべての人に創造の機会が与えられています。情報システムも DIY できるのです。

重要なのは システムの導入ではなく、みんなの意識をデジタル仕様に変革することです。



APPENDIX

5つの帽子掛け

情報の整理には一般に以下の5つの視点があります。
by リチャード・ソール・ワーマン

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GUIDE

DATA


*1 人類最大の発明である「文字」は「遠隔・非同期」コミュニケーションツールです。
*2 「時給」換算できる仕事の多くは、すでに A.I. やロボットに代替されつつあります。
Last-modified: 2020-08-24 (月) 08:52:23