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共同幻想

共同幻想

生物としての認知機能を上書きしたバーチャルランタイムシステム

多くの人は「世界には様々な事物が存在していて、人間がそのひとつひとつに名前を与えていった」と考えます。「神があらゆる事物に名を与えた」という宗教的な世界認識が前提にあればなおさらです。でも、様々な言語を研究した言語学者や、「未開」社会の暮らしを調査した文化人類学者が、そうではないことに気づきました。はじめに事物があってそれらに名前がつけられたのではなく、言葉の存在(差異)が環境や事物を区分けして、世界を立ち上がらせたのだと。「言葉は『ものの名前』ではない」。構造主義の祖といわれる言語学者ソシュールの言葉です。
 私たちが目の前の事物に見いだす意味や価値は、はじめからあったのではない。私たちが見ている世界は、言語(記号)によって切り分けられ、再構成された擬似的な現実 = 共同幻想 だというわけです。

国家や社会は確固たる現実的基盤の上に立っているのではなく、
多くの人の共同幻想で成り立っている
                          吉本隆明


共同幻想論|吉本隆明

共同幻想という言葉は、思想家、吉本隆明氏の「共同幻想論」(1968年)で提唱された概念。氏によれば人間の幻想には以下の三種類があります。

唯幻論|岸田秀

共同幻想は、かけ離れてしまった本来の現実と私的幻想との双方をいくらかずつ裏切った妥協の産物であり、本来の現実を裏切っている点において、決して現実への十分な適応には達し得ず、つねにいくらかの不適応を招かざるを得ず、私的幻想を裏切っている点において、各人の私的幻想をあますところなく吸収し、共同化するには決して至らない。共同幻想は、絶えずその双方からの挟み撃ちに会って動揺する。
 この不安定さを減らすためには、共同幻想に支えられている集団を絶えず空間的また時間的に拡大してゆかねばならない。
国家論 p.47|ものぐさ精神分析 唯幻論


本能の破綻

人間の本能は、共同幻想によって上書きされ、破綻しています。
それを物語る事例はいくらでもあります。

などなど・・

動的平衡

共同幻想は文字どおり根拠基盤のない「幻想」ですから常に不安定なものです。それを安定させるには「動かし続ける」必要があります。生命現象と同じく「動的平衡」が必要です。そのためには、あえて構造を破綻させ、バランスを崩す必要があります。

多くの人間社会は、秩序を組み換えるための仕組みを、別の方法で用意していました。「社会を同一状態に保たない」ための仕組み、それが祝祭であり、芸術です。このような方法で、既存の価値を転倒、あるいはゆさぶる行為は、社会の動的平衡を保つ最も平和的な方法といえます。

参考文献

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DATA

Last-modified: 2020-08-27 (木) 19:23:20