3DCG演習/2023?|2023.06.29 -
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3DCG(3Dimensional Computer Graphics)とは、幅・高さ・奥行きという3つの軸(次元)を持つ仮想の空間上に、仮想の被写体・照明・カメラを配置して、計算によってカメラから見えるイメージを作り出す技術です。その作業は、以下のように分類することができます。
3DCGのツールは数多くありますが、現場によって使用するものは様々で、特定の映画制作のためだけにオリジナルのソフトを開発することも稀ではありません。つまり、3DCGの世界では、「ソフトは何でもいい。そこにある道具でつくる」というぐらいの柔軟な対応力が必要です。
そこで重要になるのが、3DCGソフトウエアに特有の基本的な概念(用語)の理解です。これをしっかり把握しておけば、ソフトが変わっても対応できます。
2DCG(Photoshop や Illustrator)では、平面上の形と色がそのまま最終形となりますが、3DCGの場合は空間内に作った立体(被写体)に、照明をあて、カメラで撮影して、はじめて最終のイメージになります。さらにモデルを動かすとなると時間軸上での変化も設定する必要があります。
つまり、3DCGソフトでは、XYZ+Tという4つのパラメータを相手に物事を設定する必要があるため、複数のワークスペース、複数のメニュー、さらに大量のパラメータ設定パネルが登場することになります。思い通りに作品が作れるようになるには、それなりに時間がかかる・・との覚悟が必要です。
3DCGは「誰にでも簡単に」というものではありません。世の中には ペイント系やドロー系のツールを使う人はたくさんいますが、3DCGとなると、極端にスキルを持った人が少なくなります。逆に言えば「3DCGのスキルのある人は貴重」です。この機会に、是非そのきっかけをつかみましょう。
3次元のシーンには、複数の形状モデルが配置されます。3DCGソフトでは、個々のモデルの形状を編集する「モデリング」作業と、シーン上にモデルをレイアウトする「シーンメイキング」作業を、区別する必要があります。
3DCGでは、x, y, z の3つの座標データをセットにして、シーン内の物体の位置や、個々の物体の形状がデータ化されます。
3次元の座標系には、右手系と左手系がありますが、3DCGソフトの大半は右手系を採用しています。また、上下方法を Y軸とするか Z軸とするかの違いもあります。以下、Blender の場合の座標系です。
3DCGで扱うモデルには、様々なデータ構造をもったものがありますが、基本はポリゴンメッシュ(多角形の集合)です。以下のデータが構造化されて記録されています。
3DCGソフトウエアは「対話型」のツールで、主に3つボタンマウスを使って作業しますが、粘土をこねるような直感的な操作(最近ではある程度可能)ではなく、論理的な思考で形をつくるスキルが求められます。以下のような操作が基本となります。
立体的な凹凸が必要のない部分(建物のファサード、壁のポスター、コックピットのメーターなど)は、通常テクスチュアマッピング(画像を貼る)やバンプマッピング(擬似的な凹凸の陰影づけ)といった手法を用います。たとえば、ゲームの画面に出てくる建物などは、極端に言えば「ただの直方体に、壁面の写真を貼って、遠目に建物のように見せているだけ」です。
すべてを0から作る必要はありません。効率的な作品制作のためには、Web上に公開された様々なデータの存在を知って、それを有効活用しましょう。
リアルタイムに動く3Dのゲームに慣れたみなさんは、レンダリングというプロセスがなぜ必要なのか疑問に思われるかもしれませんが、3DCGソフトウエアが描き出す画像は、光の反射や屈折など物理的なモデルでシミュレーションされるもので、これには膨大な計算時間を要します。
静止画一枚で数分から数時間かかることもあるので、アニメーションのような大量の画像を描画する必要のあるプロジェクトでは、レンダリングに要する時間も作業日程を計画する上で無視できないものとなることを知っておきましょう。
シーンを描画するプログラム(レンダリングエンジン)には、作業(プレビュー)用の高速のものと、最終レンダリングに適した高品質のものがあって、作業時とレンダリング時ではこれを使い分けるのが普通です。
作業時のプレビューには、以下のようなモードがあります。
3DCGでは、被写体(モデル)・照明・カメラの3つを、仮想空間にレイアウトした上で、最終的にはカメラから見た世界を「作品」とします。したがってモデリングがよくできていても、「撮影」がダメだとすべて台無しです。モデリングだけでなく、照明とカメラのコントロールにも配慮が必要です。
逆に、カメラに映らない部分や照明が当たらない部分は作る必要がありません。モデリング自体を楽しみたいという場合は別ですが、映画や舞台と同様に最終的にカメラに写らない部分は(制作効率の観点から)省略されることがあります。
カメラのポジション・アングル・画角等が、最終的な作品の演出に大きく寄与します。以下のような設定項目があります。
照明は、まずその種類から決めることになります。点光源、面光源、スポットライト、太陽光など、照明の種類によって演出上の差が生まれます。またそれぞれに以下のような設定項目があります。
その他、物体そのものに「発光」属性を持たせて周囲を照らしたり、シーンをとりまく環境をHDRI(High Dynamic Range Images)と呼ばれる画像データでシミュレーションする方法もあります。
2DCGでは、最初に作品のサイズ(画素数や用紙サイズ)を決めてから制作にかかりますが、3DCGの最終アウトプットは計算によって作り出されるので、レンダリング(描画)の指示を出す際に、そのサイズ(画素数)を設定することができます。ポスターのような静止画の場合はそれに耐える画素数で、また映像作品が前提であれば、1920x1080(FullHD)などを設定します。
Blenderは物体の形作りから色・質感の設定、さらにアニメーションやゲームの作成も可能な、統合型のソフトウエアです。もともとはオランダのNaN社がインハウス用に開発していたものですが、多くの有志の支援により、現在はオープンソースのフリーウェア(ライセンスGPL)として、Blender Foundationのサイトからダウンロードして使用することができます。全世界にユーザと開発者がいる非常に優秀なツールです。
当演習では、自身のPCにもソフトウエアをインストールすることを前提としています。Blender のダウンロード・インストール・環境のカスタマイズについて、以下のページで解説します。