Blender
Blenderは統合型の3DCGソフトウエアです。もともとはオランダのNaN社がインハウス用に開発していたものですが、多くの有志の支援により、現在はオープンソースのフリーソフトウェア(ライセンスGPL)として、Blender Foundationのサイトからダウンロードして使用することができます。全世界にユーザと開発者がいる非常に優秀なツールです。
モデリング・レンダリング・アニメーションはもちろん、物理シミュレーションや、モーショントラッキング、映像編集も可能です。ヨーロッパの美術学校等では以前から利用されていましたが、機能が充実した近年ではプロダクションでも利用するところが増えています。
ダウンロードとインストール
Blenderのダウンロード
以下から最新の安定版をダウンロードして下さい。自動的に利用中のOSに合ったものが選ばれます。ユーザーアカウント登録等は不要です。
インストール
ダウンロードしたものを解凍してインストーラを実行するだけです(Macの場合はアプリケーションフォルダに投入するだけです)。Ver.3.0は 550MB ほどディスク領域を使用します。
Blender関連リンク
- 公式マニュアル:https://docs.blender.org/manual/ja/latest/
- ショートカット・チートシート > 検索でいろいろ見つかります(以下)。
GoogleImage:blender shortcut cheat sheet - Web上のチュートリアルサイト、解説本も多数出版されています。
動作環境とインターフェイス
Blenderは、Linux・Windows・Mac OSX、すべてのOSに対応しています。高速なグラフィックボード等が必須というわけではなく、非力なハードウエアでもそれなりに動きます。
メニューの日本語化について
初期状態では、メニュー等すべて英語になっていますが、環境設定から日本語化することも可能です(右図)。
3DCGの専門用語の大半は英単語をカタカナにするだけなので、基本的には、英語メニューのまま使い慣れることをお薦めしますが、はじめのうちは、以下のように Tooltips のみ日本語にしておくとよいかもしれません。
- 1) Edit > Preferences
- 2) Interface のパネルを開く
- 3) Translation > Languageの部分で「Japanese(日本語)」を選択
- 4) Tooltips にのみチェック
インターフェイスについて
操作に関しては、片手をキーボード・もう一方の手をマウスというスタイルで最も効率的に作業できるように設計されています。キーボードについてはテンキーの使用が前提。またマウスについては3ボタンマウスの利用が前提です。
3DCGツールは一般に操作が複雑で、動作モードの切り替えやメニュー選択操作も膨大な数になります。これをすべてマウス操作で行うと効率が悪いため、キーボードショートカットの利用で、操作効率が飛躍的に向上するように設計されています。キーボード上の各キーには何らかの役割が割り振られているため、キーの役割を知らずに不用意に触ると、予期せぬ動作が生じて元に戻せなくなることがあるので、注意が必要です。
大半のキー操作は、以下のように Alt(Option)+ で逆の操作(元に戻す)ことができます。
- [h]:hide の意味で、選択したオブジェクトが非表示になります。
- [Alt(Option)] + [h]:hide したものを元に戻します(表示します)。
テンキーがない方(ノートパソコンの方)へ
テンキーの無いノートPCでは、ビューの切り替え [7][1][3][0] などが効率的に行えません。アルファベットキーボード最上段の数字はデフォルトでは他の機能に使用されるのですが、利用頻度を考えると、これをビューの切り替え用に変更する方が効率的です。
- 1) Edit > Preferences
- 2) Input のパネルを開く
- 3) Emulate Numpad を有効化
参考:Preferences での設定内容は、以下のディレクトリに userpref.blend というファイル名で保存されています。
Library/Application Support/Blender/[Ver.No.]/config/
Macユーザの方へ
Blenderに限らず、3DCGのソフトウエアでは右クリックはもちろん、マウスの中ボタンも多用します。MacOS自体は3ボタンに対応していますので、市販のごく一般的な「左右+中スクロールボタン」のマウスをUSB接続するとともに、以下の設定を行えば、3ボタン操作が可能です。
- 1) 市販の3つボタンマウスを接続
- 2) システム環境設定 > マウス
- 3) 左を「主ボタン」/ 右を「副ボタン」/ 中を「ボタン3」に割り当て
スタートアップファイルの設定について
Blenderで「ファイル>新規」とすると、初期作業画面が表示されますが、この初期画面(スタートアップファイル)はカスタマイズすることが可能です。
例えば、以下のような項目に関して初期的な設定を済ませたものを「デフォルト」として保存すれば、自分専用の初期画面にすることができます。
3D Viewport の初期設定
- エリア内の各エディターウインドウのレイアウトを自分好みに調整
- 初期モデル・カメラ・照明等の Object を自分好みに配置
レンダリングに関する初期設定
- プロパティーエディタの RenderProperties(カメラのアイコン)で、レンダリングエンジンを好みのものに設定。パネル一番上の Render Engine で・・
- Eevee:OpenGL を用いたリアルタイムレンダリングエンジン
- Cycles :レイトレーシングレンダリングエンジン(反射・透過も可能)
- Viewport の MaxSamples を 128(プレビューはこのぐらいでもOK)
- Render の MaxSamples を 1024(デフォルトの4096は待ち長いので・・)
- PC が GPUを積んでいる場合は、Device で GPU Compute を選択
ファイルの書き出しに関する初期設定
プロパティーパネルの OutputProperties(プリンタのアイコン)を開いて
- Format の部分で、よく用いる解像度を設定
- 例えば HDTV 1080i であれば X:1920px、Y:1080px です。
- %の部分は、最終出力の段階で 100% にすることを前提に、作業中は 50%にしておくと、確認作業の時間短縮が可能です。
- Frame Rate は 24fps と標準的なフィルムカメラ(映画)の設定になっていますが、日本で普通に動画を作る場合は NTSC ビデオ規格のフレームレート29.97 がよいかと思います。
- Output のディレクトリを書類やデスクトップなどのわかりやすい場所に
デフォルトでは、/tmp/ となっていますが、Macの場合、tmp ディレクトリはGUIでは隠しフォルダになっているので、知らず知らずのうちにゴミが溜まる可能性もあります。デフォルトの書き出し先は、自分で決めることをお勧めします。 - File Format の部分は、デフォルトは PNG になっています。動画のレンダリングを行う場合は、動画用のフォーマットを選択します。
デフォルト設定として保存
- 出来上がった初期状態を、デフォルトのスタートアップファイルとして保存。
File > Default > Save Startup File
設定内容は、以下に startup.blend として保存されます。Library/Application Support/Blender/[Ver.No.]/config/
- 白紙の状態(インストール直後の状態)に戻したい場合は、以下の操作。
File > Default > Load Factory Settings