JOMON
縄文文化に関するメモ
MEMO
- 縄文は4大文明よりも古く、1万年続くひとつの文明?圏である。
- 持続する文化(文明?)は「大きなもの」はつくらない。自然と共生し、集団間での贈与交換を行う(商品交換(等価交換)は好まない)。
- 狩猟採集民族は「目に見えないものに対する畏敬の念」を持ち、常に自然に対する感謝を忘れない。一方、現代の文明社会において、自然への感謝の気持ちを持ち続けている人がどれほどいるだろうか。水も空気もタダで手に入る。しかしそれは地球の生態系がバランスを保っていれば・・である。人間の都合で行う「除菌」の拡大は止めるべきだろう。
- 縄文時代、イヌは重要なパートナーであったと考えられる(縄文の遺跡にはヒトとイヌがともに埋葬された例あり)。ちなみに弥生時代には渡来人によってイヌを食べる文化がもたらされたが、日本では結果的にそれは定着しなかった。
- 縄文は集落の中心に墓をつくり、弥生は集落の外に墓をつくった。縄文の環状集落には中央に広場があり、そこに集団墓地が営まれるのが大きな特徴
- 母系社会 妻問婚は奈良・飛鳥以前は一般的。平安時代まで継承された。
- 神さま
- 氏神・ 鎮守の神・・ムラの神様 (田の神がいるのは鹿児島だけ・・?)
- 野神・・ノラの神様 滋賀県などで典型 樹木がそれにあてられている
- 山の神
- 世界に共通する原始信仰(自然信仰)
日本には「神社」のかたちをとってこれが残っているが、世界の宗教はいずれもこれを否定し、かわりに「言葉」でつづった「経典」をもった。
- 地母信仰 旧石器時代以降 ヴィーナス(土偶)
- 太陽信仰 新石器(1万5000年前〜)石柱、御柱(依代?)
山内丸山縄文遺跡には6本のクリの巨木
- 精霊崇拝
- 祖霊信仰
- 旧石器人も火を使った。しかしそれは「道具」としてである。縄文人は火を「神」として扱った。そこに大きな違いがある。火を道具として使った文明は滅んだ。一方「火とは何か」を考えたギリシア文明は永らえた。つまり、そこに哲学があったのだ。
- 建物が「ない」のが日本の神社の原型。本殿のない神社(三輪)は多い
- 日本の神道は「経典」という「文書情報」を持たない。
- 日本最古の道「山辺の道」は奈良盆地の東、三輪山の裾野を通っており、その三輪山には日本最古の神社「大神神社」がある。ちなみに弥生時代まで遡ると、奈良盆地は巨大な湖(大和湖)であった。
- 土地は自然からの借り物。田畑をつくって切り開く発想は、縄文の人々の考え方にしっくりとはこなかったのかもしれない。縄文の暮らしは、まず狩猟採集空間である「原」があって、やがて定住とともに居住圏である「村」ができた。「ノラ」の発生は弥生になってから。
- ヤマトとヒノモト
- ヤマト → 山と共に暮らす→地母神信仰→狩猟採集社会→ 縄文時代
- ヒノモト → 日照により稲が育つ→太陽信仰→農耕社会→ 弥生時代
- 実りの秋、日本は台風の通り道で、稲作はリスクが大きい。ひとつの作物に依存するより、多種多様な資源に依存することでリスクを分散する発想。
- 大麻は縄文以来、日本人にとって重要な植物。縄文土器の縄目は大麻の縄。縄文の衣服(麻)。麻のつく地名・人名。大麻神社(神道にも深い関係)。
- ムラ、ノラ、ハラ。ある空間を指す言葉が「ラ」なのか?「空(ソラ)」も。ゆるやかな管理境界の設定。これが借景という発想にも関係している。
- 日本のムラには 広場がない。 広場という言葉自体は古いが、日常化したのは 戦後になって。寺の境内、 神社の境内、それに加えて「村堺」が重要であった。
- ノラが村に含まれるようになったのは近世の検地・課税管理以降。
ノラには用水が必要で、それはみんなのもの。
ノラ犬、ノラ猫は、誰のものでもない・・という意味。
- 贈与交換:人が求めたのは物資ではなく、他者に認められること。
結果、物資は拡散し、争いは最小限のものとなっていた。
- アイヌには縄文の特徴が残る。またアメリカ先住民族についても「1万3000年前、ロシアからベーリングジア(ベーリング陸橋)を渡っていった」という従来説に対し、「1万4000年前、縄文系の人々が海岸(ケルプハイウエー)づたいに北米に入った」という可能性も提起されている。
- アイヌは、人間の能力を超えたものをカムイ(神)といった。山や川、雨、風、さらに、お椀(水を安定的にためることができる)やしゃもじ(熱いごはんをすくうことができる)も、人間を超えた能力を持ったカムイであると考えた。
アイヌのカムイの発音は、カムィ・・きわめて「カミ」に近いような・・
アイヌの文化は基本的に口承、文字はもたない。
人類史のなかの定住革命 西田正規
他の大型哺乳類と同様、霊長類も遊動生活をするのが基本。しかし人類は約1万年前(縄文時代)にそれを放棄した。私たち文明社会に生きる人間が常に感じている「居心地の悪さ」は「定住」にあるのか?
氷河期から後氷期へ、中緯度の温帯では、「大型の道具を使う漁労」、冬に備えて「秋の収穫物を蓄える」など、移動から定住を余儀なくされる諸事情が発生したと考えられる。「貯め込み」と「成長」は、文明の発達の大きな一撃であり、同時に破滅への第一歩である。
移動生活では
- 環境の汚染に悩まされることがない(逃げればいい)
- 疫病が流行れば、逃げればいい
- 墓地ができない・必要ない(その都度、しるしを付ける程度)
定住生活では
- 狭い空間に大型動物がひしめき合うためのルールが必要
- 排泄物の管理が最重要課題。 ゴミから逃げることができない。
- 息苦しさを爆発させるための、文化的しくみが必要(価値の逆転する祝祭)
- 不運を何者かのせいであるとして封じ込める必要がある(呪いと宗教)
※日本の政治を左右してきたのは、闇(怨霊)の力
- 手型動物と口型動物
- 口型魚類から手型哺乳類へ、口から手(前足)への優先度の移動は、
ほぼ、水中から陸上へ、そして樹上への生活環境の変化に対応する。
- 手型動物は四肢に比べて首が短い
- 手型動物は、手がよく見えるように口吻が短い
- 例:犬(口型)は、猫(手型)より口吻が長く、また泳ぎがうまい。
先住民族に学ぶ(月尾嘉男)
- 獲物が現れるのをじっと待ち続ける習慣がある我々にとって、重要なのは物事が達成されることであって、いつ達成されるかは問題ではない(イヌイットの環境大臣)。現代のプロジェクトは「締め切り」を重視しすぎる。本来、暮らしを豊かにするためのプロジェクトに「締め切り」など必要ない。「時間」が金に置き換えられてしまっているのが、そもそもの間違い。
- 多様性の維持(ペルー原住民の作物栽培)。
縄文と炭水化物
- そもそもホモサピエンスは炭水化物を主食とはしていなかった。
人間だけが太る、食欲が止まらない。つまりそれは、何かに依存症になっていることを意味する。炭水化物は「嗜好品」あるいは「コカイン」と同質なのだ。霊長類の食生活をお手本にして、依存物質を減らせば、人は肥満にはならない。
- 農耕と経済。炭水化物は人類破綻のスタートとともに登場した。
- 移動・狩猟採集の時代から、やがて定住・農耕社会へ・・と簡単に言うが、そもそも、その変化が生じるには、よほど大きなきっかけがあったにちがいない。
- 霊長類は巣を作って定住する動物ではない、犬猫のような巣をつくって子を育てる生き物は、排泄を一定の場所に定めるが、サルは寝床を定めずに垂れ流す。猫の排泄訓練は簡単だが、人間の子供はなかなかできない。我々人間も本来排泄を制御することが得意ではない。また定住に対して、本質的な息苦しさを感じているのかもしれない。
参考
- 過去7万年の植生分析を可能にしたのは、水月湖の湖底土(年縞)である