infohazard|information hazard.
情報災害(Infohazard)という言葉は、日本ではまだ聞き馴染みのない言葉で、普通に検索すると「災害情報」として地震、台風、河川の氾濫といった内容の記事がヒットしますが、ここでお話しする情報災害とは「情報環境において、情報関連テクノロジーや、それに関わる人間という生物が引き起こす様々な災害」を意味しています。
自然環境において様々な災害が「想定外」におこるのと同様、私たちの身の回りにある情報関連テクノロジーや、それに関わる私たち自身が、予期せぬ災害を引き起こすことがあり、今日、その量は加速度的に増え続けています。
21世紀、すべての人が情報発信できるという大きな情報環境の変化が起こりました。著作権侵害はもちろん、個人情報の流出、誹謗中傷、画像の悪用、盗撮など様々な社会問題が話題となっています。
かつて情報発信は、放送事業者や出版社など、免許・資格など法的な縛りや、大人のモラルによってある程度制御可能な状態にありましたが、インターネットの登場は、それをすべての人たちに可能なものとしました。
物理的な兵器だけでなく、情報通信機器も、様々な破壊行為の道具になるわけで*1、現代社会はそれを子供にも持たせている・・というのが実態です。自動車の運転には免許が必要なのに、パソコン・スマホの操作は免許不要という事実は、技術の進歩に社会の問題意識が追いついていない証拠です。車の自動運転やドローンの操縦に関しては、法が後追いしていますが、情報環境というバーチャルな環境における災害については、人々の意識は追いついていないのです。
ちなみに、誹謗中傷、盗撮、個人情報の流出といった問題は、「芸能人とそれを追いかける記者」の間に昔からあったもので、今に始まった話ではありません。彼らは皆、一定の覚悟を決めてその仕事に臨んでいたわけです。
情報発信という行為がすべての人の自由になった1990年代後半以降、一般の人々には「ネットに晒される」覚悟も備わっていなければ、発信することへの責任感も備わっていません。この新たな情報環境に適応するには、すべての人が「芸能人並みのメンタルと対応力」を持つとともに、逆の立場から言えば「放送事業者並みの情報発信リテラシー」と「記者並みの記事に対する責任感」を持つという覚悟が必要になるのです。人間という生物種にとって環境変化への適応は短期間でできるものではありません。多くの人が「適応障害」になっているというのが現状ではないでしょうか。
すべての人に情報発信の自由が与えられたということ、その情報環境の変化は、実はとんでもなく大きな社会構造の変化なのです。
改正プロバイダー責任制限法、ストーカー規制法など、法的な仕組みづくりが進んでいますが、自然災害を法律で防げないのと同様、情報環境の変化に伴う「情報災害」も法律で防げるものではありません(わずかに抑止効果がある程度)。
電話の発明が「誘拐」という犯罪を生んだように、新たなメディアは常に新たな問題を生みます。自然環境の変化はゆっくりですが、情報環境はわずか100年程度で目まぐるしく変化を続けていて、世代交代という時間スケールでおこる生物としての進化では適応することはできません。
情報環境の変化に適応するには、変化の本質を的確に捉え、その知見を共有するための情報デザインと、それに対処するためのリテラシー教育が必要です。
(書きかけです)
2011 年 哲学者ニック・ボストロムは、情報災害を以下のように定義しました。
情報災害とは、危害を引き起こす可能性がある、 または一部のエージェントが危害を引き起こす可能性がある (真の) 情報の流布から生じるリスク An information hazard, or infohazard, is "a risk that arises from the dissemination of (true) information that may cause harm or enable some agent to cause harm". Nick Bostrom in 2011,
ボストロムによれば、それは以下のように分類されます。
出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Information_hazard
(書きかけです)
(書きかけです)