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Blender/Introduction のバックアップ(No.3)


3DCGの概要

3-Dimensional Computer Graphics

3DCG とは、幅・高さ・奥行きという3つの軸(次元)を持つ仮想の空間上に、仮想の被写体・照明・カメラを配置して、数値計算によってカメラから見えるイメージを作り出す技術です。その作業は、以下のように分類できます。

はじめに

基本概念の理解が重要

3DCGのツールは数多くありますが、現場によって使用するものは様々で、特定の映画制作のためだけにオリジナルのソフトを開発することも稀ではありません。つまり 3DCGの世界では「ソフトは何でもいい。そこにある道具でつくる」というぐらいの柔軟な対応力が必要です。

そこで重要になるのが、3DCGソフトウエアに特有の基本的な概念(用語)の理解です。これをしっかり把握しておけば、ソフトが変わっても対応できます。

参考:Wikipedia:3次元コンピュータグラフィックス

専門用語(英単語)について

以下、Blender特有の用語もありますが、これらの英単語の意味がわかっていると、操作はグッと楽になると思います。

学習コストは 2DCGの数倍になります

2DCG(Photoshop や Illustrator)では、平面上の形と色がそのまま最終形となりますが、3DCGの場合は空間内に作った立体(被写体)に、照明をあて、カメラで撮影して、はじめて最終のイメージになります。さらにモデルを動かすとなると時間軸上での変化も設定する必要があります。

つまり、3DCGソフトでは、XYZ+Tという4つのパラメータを相手に物事を設定する必要があるため、複数のワークスペース、複数のメニュー、さらに大量のパラメータ設定パネルが登場することになります。思い通りに作品が作れるようになるには、それなりに時間がかかる・・との覚悟が必要です。

3DCGは「誰にでも簡単に」というものではありません。世の中には ペイント系やドロー系のツールを使う人はたくさんいますが、3DCGとなると、極端にスキルを持った人が少なくなります。逆に言えば「3DCGのスキルのある人は貴重」です。この機会に、是非そのきっかけをつかみましょう。

AIとの連携について

Blender と AI を連携させる アドオンの開発も進んでいます。ただ、呪文の調整に四苦八苦するぐらいなら、普通に使い方をコツコツ学ぶ方が楽しいのではないかとも思います。以下、話題になっているので紹介します。




モデリングについて

モデリングとシーンメイキングの違い

3次元のシーンには、複数の形状モデルが配置されます。3DCGソフトでは、個々のモデルの形状を編集する「モデリング」作業と、シーン上にモデルをレイアウトする「シーンメイキング」作業を、区別する必要があります。

グローバル座標とローカル座標について

3DCGでは、x, y, z の3つの座標データをセットにして、シーン内の物体の位置や、個々の物体の形状がデータ化されます。

座標系(右手系)について

3次元の座標系には、右手系と左手系がありますが、3DCGソフトの大半は右手系を採用しています。また、上下方法を Y軸とするか Z軸とするかの違いもあります。以下、Blender の場合の座標系です。

モデルのデータ構造

3DCGで扱うモデルには、様々なデータ構造をもったものがありますが、基本はポリゴンメッシュ(多角形の集合)です。以下のデータが構造化されて記録されています。

参考:Wikipedia:ポリゴンメッシュ

モデルは論理的思考でつくる

3DCGソフトウエアは「対話型」のツールで、主に3つボタンマウスを使って作業しますが、粘土をこねるような直感的な操作(最近ではある程度可能)ではなく、論理的な思考で形をつくるスキルが求められます。以下のような操作が基本となります。

ディテールの大半はテクスチュアマッピング

立体的な凹凸が必要のない部分(建物のファサード、壁のポスター、コックピットのメーターなど)は、通常テクスチュアマッピング(画像を貼る)やバンプマッピング(擬似的な凹凸の陰影づけ)といった手法を用います。たとえば、ゲームの画面に出てくる建物などは、極端に言えば「ただの直方体に、壁面の写真を貼って、遠目に建物のように見せているだけ」です。

様々なWeb上の資源が使えます

すべてを0から作る必要はありません。効率的な作品制作のためには、Web上に公開された様々なデータの存在を知って、それを有効活用しましょう。

レンダリングについて

リアルタイムに動く3Dのゲームに慣れたみなさんは、レンダリングというプロセスがなぜ必要なのか疑問に思われるかもしれませんが、3DCGソフトウエアが描き出す画像は、光の反射や屈折など物理的なモデルでシミュレーションされるもので、これには膨大な計算時間を要します。

静止画一枚で数分から数時間かかることもあるので、アニメーションのような大量の画像を描画する必要のあるプロジェクトでは、レンダリングに要する時間も作業日程を計画する上で無視できないものとなることを知っておきましょう。

シーンを描画するプログラム(レンダリングエンジン)には、作業(プレビュー)用の高速のものと、最終レンダリングに適した高品質のものがあって、作業時とレンダリング時ではこれを使い分けるのが普通です。

プレビューモードについて

作業時のプレビューには、以下のようなモードがあります。

カメラと照明

3DCGでは、被写体(モデル)・照明・カメラの3つを、仮想空間にレイアウトした上で、最終的にはカメラから見た世界を「作品」とします。したがってモデリングがよくできていても、「撮影」がダメだとすべて台無しです。モデリングだけでなく、照明とカメラのコントロールにも配慮が必要です。

逆に、カメラに映らない部分や照明が当たらない部分は作る必要がありません。モデリング自体を楽しみたいという場合は別ですが、映画や舞台と同様に最終的にカメラに写らない部分は(制作効率の観点から)省略されることがあります。

カメラのパラメータ

カメラのポジション・アングル・画角等が、最終的な作品の演出に大きく寄与します。以下のような設定項目があります。

照明のパラメータ

照明は、まずその種類から決めることになります。点光源、面光源、スポットライト、太陽光など、照明の種類によって演出上の差が生まれます。またそれぞれに以下のような設定項目があります。

その他、物体そのものに「発光」属性を持たせて周囲を照らしたり、シーンをとりまく環境をHDRI(High Dynamic Range Images)と呼ばれる画像データでシミュレーションする方法もあります。

レンダリングのサイズ

2DCGでは、最初に作品のサイズ(画素数や用紙サイズ)を決めてから制作にかかりますが、3DCGの最終アウトプットは計算によって作り出されるので、レンダリング(描画)の指示を出す際に、そのサイズ(画素数)を設定することができます。ポスターのような静止画の場合はそれに耐える画素数で、また映像作品が前提であれば、1920x1080(FullHD)などを設定します。