Idea Workshop
アイデアは「編集」から生まれる
CONTENTS
はじめに
情報量について
情報の「量」は、以下2つの方法で計算することができます。
- 情報量 = ーlog 2P (bit) P:生起確率
- 情報量 = log 2N (bit) N:可能性の数
- P:生起確率 で考える情報量
- Pが小さい、つまり、めったに起こらないことが起こった → 情報量大
- Pが1に近い、つまり、ふつうに起こることが起こった → 情報量小
- 例)ニュースの情報量
- 小学生が司法試験に合格! → 情報量大
- 明日の最高気温も今日と同じでしょう → 情報量小
- N:可能性の数 で考える情報量
- Nが大きい、つまり、様々な候補の中の1つが知らされる → 情報量大
- Nが小さい、つまり、候補が限られる場合の1つ → 情報量小
- 例)人物あてクイズにおけるヒントの情報量
- 私は55歳です(候補は80通り) → 情報量大
- 私は男性です(候補は2通り) → 情報量小
- 厳密な議論を抜きにすれば、上記2つは結果的に同じことを意味します。
コインを投げたとき・・「表が出た」という「知らせ」がもたらす情報量は
- 可能性の数で考えれば log 2 2 = 1 (bit)
- 出現確率で考えれば - log 2 (1/2) = log 2 2 = 1 (bit)
情報量の具体的な計算
- 音域1オクターブのメロディーで1音が担う情報量は
- 7音階(POP) →8音 log 2 8 = 3 (bit)
- 5音階(演歌) →6音 log 2 6 = 2.585 (bit)
- 1文字が担う情報量は
- 英語(アルファベット):log 2 26 = 4.7
- 日本語(ひらがな):log 2 50 = 5.644
英語を日本語に訳すと文字数が少なくなるのは、日本語1文字が担う情報量の方が大きいから・・と説明できます。
- 2進数8桁 が担う情報量は、
0000 0000 〜 1111 1111 → 2x2x2x2x2x2x2x2 = 256 通り
log2256 (bit) = 8 (bit)
一般に、2進数N桁 の情報量は N (bit) になります。
情報量と「面白さ」
- 生起確率と情報量( ーlog2P (bit) P:生起確率 )
- 生起確率の低い現象が起こる:その「知らせ」は情報量大
- 生起確率の高い現象が起こる:その「知らせ」は情報量小
- 情報量と「面白さ」
- 情報量が小さすぎる:単調 退屈 おもしろくない
- 情報量が適度に大きい:なるほど! 面白い!(発達近接領域)
- 情報量が大きすぎる:複雑 難解 不快感
アイデアを生み出す「編集」 15
新しいアイデアは既存のモノ・コトの「編集」を契機に生まれます。人は単なる「消費者」ではありません。人は自分自身で「編集」できるものに「面白い!」を感じます。
逆転する 3
- 言葉の順序を入れ替える
地球 の 水 → 水 の 地球
- 配置、考え方を逆転する
縦を横に、倒れそうなものははじめから倒しておく
何を持つかではなく、何を持たないかを考える
組み合わせる 7
- 身近にあるものを組み合わせる > DIY
人は誰でもデザイナーである V.パパネック
異なる文脈(環境)に置く(見立てる) 5
IDEA WORKSHOP
常識から自由になること
私たちの思考回路には「常識」のバイアス(情報量が小さくなるようにまとめようとする傾向)がかかっているので、例えば、「ひらがな を ◯◯◯ 」という文における ◯◯◯ の部分には、「ひらがな を 書く」、「ひらがな を 覚える」、「ひらがな を 漢字に変換する」のような、常識的につながる言葉しか思い浮かばないようになっています。
ということは、意識的にこれを排除して、ありえない言葉を接続する、たとえば、「ひらがな を 洗う」のような異質な接続をすれば、今までにない発想が生まれる・・ということになります。
ひらがな| で…|に…|を…|は …|が…|も…|へ…|
Stay hungry, stay foolish Steve Jobs ( 1955 - 2011) at Stanford University
ワークシートの使い方
- 単語をつなぐ
- まずはシートの上方、左側の単語を決めます。
単語は直感的に浮かんだものを。
そして一旦決めたら変えないのがコツ。
- 次に、左側からは通常連想されないコトバを右側に埋めます。
- 接続詞をいろいろ変えながら、ピンときたところで、その接続詞を書き込んで下さい。
- 発想を広げる
- つながったコトバを何度も頭の中で連呼します。
- 左側の単語と代用可能な語を想起するなど、イメージを拡大してみます。
- こんな商品ができるかも? こんな小説が書けるかも? こんなゲームができるかも? と思いついたら、それをシートの下の枠に記入して下さい。
編集|タイプA 名詞と動詞
- 単語をつなぐ
ひとつの名詞に対して ありえない動詞 を接続してみる。
- ひらがな が 歩く
- ひらがな で 滑る
- ひらがな を 焼く
- Webを緑化する
- 猫 が 投げる > ディズニーのアニメーション
- 発想を広げる
2つの単語から思いつく、物語・構造物・商品・イベント・・を発想。
- ひらがなを主人公にした物語・アニメーション作品をつくる。
- ひらがなの形をした遊具(滑り台、ブランコ・・)をデザインする。
- ひらがなの形をしたパンを商品化する(アルファベットチョコの発想)。
編集|タイプB 名詞と名詞
- 単語をつなぐ
2つの名詞を 様々な「てにをは」 で接続してみる。
- コップ が ペット
- コップ で ペット
- コップ を ペット
- 発想を広げる
2つの単語の思いつく、物語・構造物・商品・イベント・・を発想。
- コップ が ペットのおもちゃになる・・コップ型のガム / かつてない食感?
- コップの中 で ペットを飼育する ・・蟻を飼う?
- コップ を ペットの頭に乗せる・・面白動画のヒント?
実践してみよう
単語をつなぐ
- まずはシートの上方、左側の単語を決めます。単語は直感的に浮かんだものを。そして一旦決めたら変えないで下さい。
- 次に、左側からは通常連想されないコトバを右側に埋めます。
- 接続詞をいろいろ変えながら、何かあるかも・・と感じたところで、その接続しを書き込んで下さい。。
発想を広げる
- つながったコトバを何度も頭の中で連呼します。
- 左側の単語と代用可能な語を想起するなどしてイメージを拡大します。
記号学では代用可能な語の体系を範列(Paradigms)といいます
- こんな商品ができるかも? こんな小説が書けるかも? こんなゲームができるかも? と思いついたら、それをシートの下の枠に記入して下さい。
参考:過去のWorkshopより
- いろはす で 奏でる
-
ペットボトル製のパーカッションで演奏会
- 画家 を 飼う
-
部屋に飾れる画家のミニチュアフィギア
-
ある日ひとりの画家が訪ねてきた。・・飼う事になった。
- 傘 が 予約する
-
雨が降る日に、持ち手が光って利用者に持参を促す
- 消しゴム が しゃべる
- ふでばこ で 寝る
-
筆箱的な収納スペースを持つベッド
-
筆箱、財布、スマホ・・日用品の絵柄がプリントされた寝袋
- 本 を 飲む
-
ペットボトルのラベルに小説をプリント
- 警察官 を 食べる
- 野菜 に 食べられる
-
野菜の形をモチーフとした掃除機、ゴミ箱、回収ボックス・・
価値は所与のものではない
存在は「言葉」によって喚起される
- 事物が先にあってそれに名前がついたのではなく、誰かが放った「言葉」が世界を切り分けて、存在を喚起したのです。
- 風、時間、「0」、神・・ 目に見えないものの存在を喚起したのは言葉です。
価値を生み出すのは「関係」である
- 「紙幣」自体はただの紙。そこに価値を生み出すのは「社会」です。
- 「綺麗な色」があるのではない。色の価値は他の色との関係で決まります。
- 「優れた人」がいるのではない。人間関係が人の価値を生み出すのです。
- つまり、どんなモノ・コトでも、その諸関係を再・編集することによって、新たな価値を産みだすことができるのです。
*所与のものではない:はじめから備わっているものではないという意味です。