絵画、彫刻、音楽、映像…、世の中にはたくさんの表現手段があります。
どれかひとつを選ぶとすれば何ですか? と聞かれたら、
「言葉」 と答えることにしています。
わずか17文字で綴られる「俳句」、手のひらに収まる「文庫本」。
そこには、「情報量」などという味気ない指標では測ることのできない
とても大きな力があると感じています。
科学・技術の方法や道具は、
- 安くてほとんどだれでも手に入れられ、
- 小さな規模で応用でき、
- 人間の創造力を発揮させるような、
ものでなくてはならない。E.F.Schumacher|1973
You are never too small to make a difference.
私たちは発展するために生まれてきたのではありません。幸せになるために、この地球にやってきたのです。
「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ(エピクロス)」。なんとかしなければならないのは、環境問題ではない。政治の問題であり、私たちのライフスタイルの問題です。環境のために戦うのであれば、幸福こそが環境の一番大事な要素だということをおぼえておかなくてはなりません。
Be not inhospitable to strangers lest they be angels in disguise.
見知らぬ人には親切にしなさい。彼らは変装した天使かもしれないから。
Shakespeare and Company Bookshop
37 Rue de la Bûcherie, 75005 Paris
Fall in love with the problem, not the solution.
解決策にではなく、問題に恋せよGoogle Innovators Academy 2019
人は誰でもデザイナーである。ほとんどどんなときでも、われわれのすることはすべてデザインだ。デザインは人間の活動の基礎だからである。ある行為を、望ましい予知できる目標へ向けて計画し、整えるということが、デザインのプロセスの本質である。
デザインチームの課題は、問題を解決することだけではなく、解決しなければならない諸問題を捜し出し、それをはっきりとつかまえることである。
多くの職業のうちには、インダストリアル・デザインよりも有害なものもあるにはあるが、その数は非常に少ない。たぶん、たったひとつの職業がいっそうといかがわしいものだといえよう。広告デザインがそれである。多くの人を説き伏せて、手元に金がありもしないのに、もっぱら人目をひきたいという理由から要りもしない品物を買ってしまうように誘惑する職業などというものは、恐らくいまの世の中にある職業のうちで最もいかがわしいものだといえるだろう。・・・
デザインは、人間の本当の要求にこたえるような道具となるのでなければならない。それは、革新的で高度に創造的な、そしてもろもろの分野を貫いたものとなるのでなければならない。それは、いっそう強く研究ををめざすものでなければならない。そしてわれわれは、デザインのまずい品物や構造物で地球そのものを汚すのをやめなければならない。
この本(「生きのびるためのデザイン」)は、特許権と著作権のいまのシステムには基本的な誤りがある、という見解で書かれている。・・・ 私の考えでは、アイデアはありあまるほどたくさんあり、そして安い。他人の苦しみで金をもうけようとするのは間違いだろう。・・・ この本に載せてあるデザインの作例は、パテントをとったことのないものばかりである。それどころか、われわれのやり方はまったく反対なのである。多くの場合、学生たちと私は、・・・正確な図面を描き、またそれを簡単につくれるような仕様書を書き、そうしてスケッチその他の必要なものをコピーした。もしどこかの企業からの問い合わせがあると、私の学生たちは説明書を全部ただで送るだろう。私自身も同じようにするように努めている。
V.Papanek|1971 → Google: Design for the Real World PDF
Doing more with less
Richard Buckminster Fuller|CRITICAL PATH 1980
One child, one teacher, one pen and one book can change the world.
Education is the only solution. Education First.
Write once, run anywhere.
Java, Sun Microsystems|1995
Less but better
Dieter Rams|1932〜
Less is more, more is less
Mies van der Rohe|1886~1969
When I find myself in times of trouble
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom, let it be.Lennon-McCartney|1970
UNIXの考え方:簡単なまとめ
1. スモール・イズ・ビューティフル
2. 一つのプログラムには一つのことをうまくやらせる
3. できるだけ早く試作する
4. 効率より移植性を優先する
5. 数値データはASCIIフラットファイルに保存する
6. ソフトウエアを梃子(てこ)として使う
7. シェルスクリプトによって梃子の効果と移植性を高める
8. 過度の対話的インターフェースを避ける
9. すべてのプログラムをフィルタとして設計するMike Gancarz|1996
Stay Hungry. Stay Foolish. And I have always wished that for myself. And now, as you graduate to begin anew, I wish that for you.
Design is not just what it looks like and feels like. Design is how it works.
デザインとは、単にどのように見えるか、どのように感じるかということではない。どう機能するかだ。
Steven Paul Jobs 1955-2011
世界を変えたいなら、アドバイスは聞くな
James Dyson カンブリア宮殿 インタビューより
同タイトルの論文・文献は多数。アメリカの細菌学者ルネディボス、デビッドブラウワー、ジャックエリュール、 バックミンスターフラー、ヘイゼルヘンダーソンなど、誰が最初に言ったのか諸説あるようですが… 要するにそれぐらい多くの人に共感された言葉だということです。
私自身も80年代学生時代に何度も講義で耳にしていたので、少なくともそれ以前から普及していた言葉だと思います。
Common sense is the collection of prejudices acquired by age 18.
常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう。
Albert Einstein 1879 - 1955
視(み)ること、それはもうなにかなのだ。
自分の魂の一部分あるいは全部がそれに乗り移ることなのだ。梶井基次郎|1972
生命とは動的平衡にある流れである。
秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。福岡伸一|2007
風とは予感である。たとえその予感が裏切られるとしても、
希望をもてるものは幸いなのだ。
日本住宅の空間性とは、風の幸を十分に受け入れるための処置であり、
日本の美の特徴である余白も、そうした風をとり入れるための、
つまり、目に見えない働きを予感させるための空白ではなかったろうか。多田道太郎|1978
親族を形成するのも、言葉を交わすのも、財貨を交換するのも、総じてコミュニケーションとは「価値あるもの」を創出するための営みです。ことの順序を間違えないでください。「価値あるもの」があらかじめ自存しており、所有者がしかるべき返礼を期待して他者にそれを贈与するのではありません。受け取ったものについて「返礼義務を感じる人」が出現したときにはじめて価値が生成するのです。「価値あるもの」を与えたり受け取ったりするわけではないのです。ひとりの人間が返礼義務を感じたことによって、受け取ったものが価値あるものとして事後的に立ち上がる。僕たちの住む世界はそのように構造化されています。
内田樹「街場のメディア論」|2010
関連するキーワード:構造主義、レヴィ・ストロース、マルセル・モース
他の大型哺乳類と同様、霊長類も遊動生活をするのが基本です。しかし人類は約1万年前(日本では、縄文時代にあたります)にそれを放棄しました。「定住」があたりまえ、という常識を覆せば、この息苦しい社会を変えるための、様々な可能性が見えてきます。
人類史のなかの定住革命|西田正規 1978
やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける。
世の中にある人、ことわざ繁きものなれば、心に思ふことを、
見るもの聞くものにつけて、言ひ出せるなり。花に鳴く鶯、水に住む蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、
いづれか歌をよまざりける。力をも入れずして天地を動かし、
目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、
男女の中をも和らげ、猛き武士の心をも慰むるは歌なり。紀貫之
山路を登りながら、こう考えた。
知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画ができる。人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。
やはり向こう三軒両隣にちらちらするただの人である。
ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。
あれば人でなしの国へ行くばかりだ。
人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。越すことのならぬ世が住みにくければ、
住みにくい所をどれほどか、くつろげて、
束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。
ここに詩人という天職できて、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世をのどかにし、
人の心を豊かにするがゆえに尊い。夏目漱石
情報デザインがとらえるべき「見えないもの」=情報とは、突き詰めていえば、「関係性」にほかならない。情報デザインは、物事の背後にある見えない関係を発見し、それを組み換えることなのである。
使い手の欲求にキメ細かく対応するデザインの究極は、使い手が自ら欲しいモノをデザインできる環境を提供することだろう。レゴはその究極の未来像をすでに私たちの前にしめしている。
人間がまわりの環境を感じるための情報のデザインという分野には非常に素晴らしい「先行事例」がある。それは風鈴だ。・・途中略・・風鈴が表現しているのは、音ではなく、むしろ「風が吹いている」という事実である。
渡辺保史|2001
我々は科学者や技術者ではないので、革新的なテクノロジーで消費エネルギーを抑えるような製品を作り出すことはできない。事業家でもないので、潤沢な資金を投資して再生可能エネルギーへの移行を実現することはできない。政治家でもないので、消費エネルギーを抑制するような社会制度を作ることもできない。しかし、我々の提案するアイデアを通じて、生活者一人ひとりの気持ちを少しずつ変化させることは可能だ。
永井一史|2012
「日本人はなぜ玄関で靴を脱ぐのか(世界的には稀有な慣習)、なぜ家の中に神棚や仏壇を祭るのか、なぜ座敷を庭に向けて大きく開放するのか・・・わたしはいろいろ考えた末、それにたいしてひとつの試論をもった。それは『日本の家は神さまのすまい』というものである。日本人は、その神さまの家に仮住まいをしているにすぎない。そう考えるとこういう奇癖も説明できるだろう、とおもったのである。」
上田篤|2013
人類がまだ自然のサイクルの中で生きていた縄文時代。決して便利ではないけれど、そこには非常に豊かな生活と持続可能な社会のモデルがあります。現代の家と、かつての家を見比べて、そもそも建築とは何か?ということに思い至れば、何を建てて、何を建てるべきではないか…という将来を見通す方針が得られるのではないかと思います。
人間に配慮したインターフェイスの条件
・必要最小限の指示や説明で済む
・操作と反応の関係が直感的に対応付け(マッピング)されている
・ユーザーのアクションには明確なフィードバックがある
・システムの現在の状態がわかる
つまり、ユーザーにとって、何をすべきかがわかること、そして今何が行われていて、どういう状態であるかがわかることが重要。ドナルド・A. ノーマン|1990
最も巧みな蜜蜂と最も無能な建築家の違いは、
建築家が設計図にもとづいて仕事をすることである。P.J.ウイルソン(佐藤俊訳)|1983
朝顔に釣瓶とられてもらい水 加賀千代女|元禄〜安永
古池や蛙飛こむ水のおと 松尾芭蕉|寛文〜元禄
夏草や兵どもが夢の跡
ひとつ家に遊女も寝たり萩と月
この道や行く人なしに秋の暮
行く春や鳥啼き魚の目は泪
閑かさや岩にしみ入る蝉の声
旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
俳句は作者の自己主張的な表現とは異なり、主体の存在感を消す「ひとりごと」のような言葉の織物です。映像の編集のように自我を解体して視点を跳躍させる・・芭蕉のカメラワークはカッコいいと思います。
ひとつの中に全体が調和していて美しい。
良いこととはそういうことなんだよ。小川洋子|2003
Le plus important est invisible.
本当に大切なものは目には見えないサン=テグジュペリ|1943
秩序をつくるにはふたつ方法がある。
ひとつはエネルギーを使う方法(アメリカ)、もうひとつは人を訓練する方法(かつての日本)。養老孟子|2008
身近な「モノ」のしくみを知ることは「モノ」を長持ちさせ、ゴミを減らします。「情報」をデザインすれば、人を「単なる消費者」から「モノと関わる生活者」に変えることができます。
バックパッキングとは ( 何を持っていくかではなく ) 何を持って行かないかという策略である。
シェリダン・アンダーソン|1982 (田淵義雄 著・翻訳)
時間は悔恨に発し、空間は屈辱に発する。
岸田秀|1977
すべての欲望が満たされ続ける(いくらでもやり直しができる)のであれば「時間」の概念は必要ない。われわれは、満たされなかった欲望を「過去」として引き離すために、欲望を満たすチャンスを失った時点としての現在との間に「時間」を構成したのである。一方、空間についてはどうか。全能の存在として自己=全宇宙を感じている幼児にとって、自他の区分すなわち「空間」の概念は必要ない。しかし、やがて思うようにならない自己ならざるものの存在に気付く。自己の領域を徐々に狭めていく過程(つまり大人になる過程)における屈辱が、自己ならざる「空間」の起源である。
最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である
チャールズ・ダーウィン(?)
IBMのCEO ルイス・ガースナー氏が「種の起源」の一節として引用した・・という話があるようですが、実際にダーウインの著作にはこのフレーズは無いようです。ダーウィンの考えでは、変化できるものというより、多産の結果、多くのバリエーションを生み出したのものが生き残る・・ということかと思いますが、このフレーズは確かに共感を得やすいフレーズに仕上がっているようです。
陽だまり、日向ぼっこ、ネコ、あくび、ほっこり、風が少し吹いて、午後。
あらゆる芸術はつねに音楽の状態にあこがれる
ウォルター・ペイター|1873
私たちが言葉に対して持っているいくつかの常識のなかには、実はとんでもない間違いがある・・その代表的なものが「言葉とは事物の名称のリストである」という考え方である。
丸山圭三郎
はじめにモノがあってそれに名前がついているのではない。言葉が連続する世界を切り分けているのです。典型的な例は虹の色数。虹は連続スペクトルですから、本来境界線はなく色数は無限に存在します。しかし、赤橙黄緑青藍紫という7つの言葉を使う我々は虹を7色に分け、英米では6色、ドイツでは5色に分ける。つまり色についてどんな言葉を持つかでそれが変わるのです。
また例えば、"nose"という単語は我々日本人がいう「鼻」とは違って、おでこのあたりまでを含みます。英語圏の人が描く漫画の顔が、日本人の描くものと異なるのは、もともと顔の見え方(分解のしかた)が違うからなのです。
言語は単純に置き換え翻訳できるものではありません。それは民族を規定するものであり、また「文化」そのものであるといえます。どんなに暮らしが欧米化しても、「日本語」を使う以上、私たちの深層には「日本文化」がしっかりと息づいています。
余談ですが、
Desinの語源はラテン語の designare = 印を付ける、区分して描く
また、Designate = 示す、指示する、任命する、名付ける、呼ぶ
つまり、Design には文化を想像する・・という意味もあるのです。
日本人は「宗教」を持たない…とよく言われます。
正月には神社、結婚式は教会、家には仏壇…。
確固たる信仰を持たない国民が、秩序とモラルを維持できたのはなぜなのか?
それは、世界の常識からみればとても不思議なことです。
日本人のモラルを支えているのは何か?
おそらくそれは、日本人の「美意識」、そしてその根底にある「日本語」ではないかと思います。
主語(私は)を使わない語り口、「もったいない」のような翻訳できない概念。日本語は、その文法においても語彙においても、私達の「考え方」を規定しています。
西洋音階(システム)が旋律やコード進行に一定の傾向をもたらすように、日本語は日本人の言葉のつなぎ方や思考パターンに一定の傾向を与えるのです。
日本の秩序とモラルを支えているのは、その日本語です。
だから、言葉を大切にしないと、この国の秩序は破綻してしまいます。
かつての美しい暮らしを取り戻すヒントは「日本語」の中にあるのです。
あなたの好きな言葉は何ですか?
ノートに書き写す、ツイートする、何でもかまいません。
言葉と言葉がきれいにつながると、脳内には快感物質が走ります。
つまり、言葉は人を幸せにします。