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芸術学部/教育ガイダンス のバックアップ(No.1)


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芸術学部 教育ガイダンス



ご入学おめでとうございます


芸術学部の5学科

はじめに学科と専攻の確認から・・

大学での学び

学問の場

大学とは学問の場であり、その究極の目的は「人間とは何か」を問うことです。あらゆる分野の学問がその研究対象を通して迫ろうとしているのは、「人間」であると言っても過言ではありません。


研究の場

大学は教育機関であると同時に研究機関です。学生と教員との関係は「教える人・教わる人」ではなく「共同研究者」であるという認識の方が健全です。「勉める・強いられる」ではなく、Study をする場であると考えて下さい。


自ら学ぶ

大学には「学習指導要領」や「標準(検定)教科書」のようなものはありません。教科書片手に「教えてもらう」という発想で授業に臨むと失敗します。講義の中で紹介されるのは、みなさんが自ら考えるための「きっかけ」に過ぎません。講義系の試験問題では「◯◯について述べなさい」といった一行問題も多く存在します。自ら学ぶという姿勢を身につけないと対応できません。

「教科書の内容を覚えてテストで良い点数を取る」というようなお勉強ではなく、自らの純粋な好奇心を学びのきっかけにして、疑問に思うこと、面白いと感じることを追求して下さい。

「授業についていけないかも」という心配をする人がいますが、安心してください。ついていく必要はありません。大学の期末試験では、「あなたの考えを自由に書けばいい(ただし論理的に)」、「ノート・テキスト持ち込み可」、「試験しません」・・など様々です。
 大人がつれていくところはろくなところではありません。あなたが先頭を切って歩けばいいんです。

多くの「概念モデル」を知ること

物事を考えるには「概念モデル」が役に立ちます。「中心と周縁」、「構造と機能」、「人、社会、自然」など、全体をいくつかに区分けるキーワードを図式的に理解することで、様々な現象を説明することが可能になります。概念モデルを知ると、世界はぐっとクリアに見えるようになります。


Question & Answer から Problem & Solution へ

Question と Problem。ともに日本語では「問題」です。問題を解くことに専念してきた多くの日本人は「問題は与えられるものである」という感覚に慣れてしまって「問題」そのものを疑うことをしないようですが、大学生が精力を注ぐべきは、検索で答えが出るような Question ではありません。人と社会が抱える Problem を見出し、これに対する Solution を提案することです。


学士

大学では「卒業式」とは言わず「学位授与式」と言います。皆さんは芸術学部に所属しますので、卒業時には「学士(芸術)」が与えられます。芸術学部はどこにでもあるものではありません。つまり「学士(芸術)」も貴重な存在となります。プライドを持ってがんばって下さい。



芸術学部の学び

芸術は人類の起源とともに

文字、数式、そして科学技術・・そのいずれも、芸術に比べるとその歴史は浅く、現代社会の常識も大半は産業革命以後のもの。たかだか200年の歴史です。

一方「芸術」は Homo Sapiens の誕生とともにあります。多岐に進化した人類の中で生き残ったのは「芸術」とともに生きた我々 Homo Sapiens のみ。「芸術」は我々の生存戦略と密接な関係があると考えられます。

その意味では、「人間( Homo Sapiens )とは何か」を考える重要なヒントが「芸術」にあるといっても過言ではありません。九州産業大学では「学問の頂点は芸術である」*1と位置付けて、みなさんの未来に期待しています。


AI+ロボットの時代だからこそ・・

工場における製造工程のみならず、現在ではコールセンターにおける顧客対応にも人工知能が使われるようになりました。自動運転、医療診断、記事の執筆、作曲、作画・・。知識や技術を身につけるだけであれば、人間よりもAI・ロボットの方が優秀・・となるのは時間の問題です。

人間とAIの違いはどこにあるのか、つまり、時代を超えて「人間とは何か?」という問いが、最も重要な問いなのです。

この国では現在「芸術」が学校教育の隅の方に追いやられています。でもこれからは違います。AIには感情や身体感覚にもとづく創造行為はできません。芸術学部を選択したみなさんは正解です。


人には理系も文系もありません

人を理系と文系に分ける教育は、産業革命が契機で、特に生産活動に従事する技術者(理系)教育が、各国の国策として採用されたことにその起源があります。しかし本来、人の個性は理系・文系といった枠で括れるものではありません。自分を枠で括らない・・芸術学部ではそんなスタンスが大切です。


社会の常識を疑ってください

他の動物との比較において人間の特徴のひとつは「自己家畜化」することです。

奴隷の最大の特徴は自分自身が奴隷であることに気づいていないこと

20世紀は工業の時代でした。現代社会は、その時代に適性の高かった体質の人間たちがマジョリティ(多数派)を形成しているといっても過言ではありません。大人たちの大半は、産業革命以後の工業社会の思考回路で動いていて、現代社会の「常識」も彼らの思考の産物です。

消費者 人材 成長 目標 評価 ・・・

一見、何の問題もない普通の言葉のように見えますが、例えば「消費者」という言葉の存在は、人間から「自分で作る楽しみ」を奪っています。ただ買うために働いている。そしてそのことに気づいている人は少数です。

言葉というものは存在を喚起すると同時に我々を洗脳します*2。普段何気なく使っている言葉を疑うことからはじめてみてください。
 

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Artist の優れた感受性によって、形骸化した社会の常識をゆさぶり、Designer の提案力で次の時代を見据えた新たな秩序(常識)を創造する。
芸術学部の英語名は、Faculty of Art & Design です。



価値は所与のものではない



人の価値も、モノ・コトの価値も、既存のものとしてそこに備わっているものではありません。すべては、その諸関係を再・編集することによって、新たな価値が産みだされるのです。






最後に


学んだことは誰にも奪われない・・・



21世紀、世界はネットでつながり、すでに地球上のすべての人類が情報を共有できる状況にあります。国家は「国益」のために争っていますが、私たちは音楽や映像を通して国境を越え、自由につながっています。よくいわれるように「芸術」は国境を越えて、すべての人たちに「知的な豊かさ」をもたらすのです。リベラルアーツの言葉どおり「Arts」は本来「学問」の概念なのです。大学で学ぶことは「Arts」を学ぶこと。「学問の頂点は芸術である」*3という言葉は、それを語っているのだと思っています。