はじめに

この実習では、3次元のコンピュータグラフィックスを扱います。
3DCGのツールは数多くありますが、現場によって使用するものは様々で、場合によっては、その映画制作のためだけにオリジナルのソフトが開発されて、そ れが使用されるということも希ではありません。つまり、3DCGの世界では、「ソフトは何でもいい。そこにある道具でつくる」というぐらいの柔軟な対応力 が必要です。
この実習を通して学んで欲しいことは、「ソフトの使い方」ではなく、「3DCGの基本的な概念と、CG特有の表現の可能性」についてです。

Blender

幸いなことに、現在はオープンソースのBlenderというツールがあります。 Blenderは統合型の3DCGソフトです。もともとはオランダのNaN社がインハウス用に開発していたものですが、多くの有志の支援により、現在は オープンソースのフリーウェア(ライセンスGPL)として、Blender Foundationのサイト(http://www.blender.org/)からダウンロードして使用することができます。全世界にユーザと開発者 がいる非常に優秀なツールです。必要なときにいつでも無料でダウンロードして利用できますから、自宅のPCにもインストールして、3Dの基本的な仕組みを 学ぶ手がかりとしてください。

3DCGソフトの客観的機能比較
3DCGソフトウエアの現状 (Wikipedia 日本)
3DCGソフトウエアの現状 (Wikipedia 英語圏)

「フリーソフトにはまともなものはつくれないのではないか?」と思っている方が多いと思いますが、単なる無料という意味のフリーソフトと、世界中の有志が 共同参画するオープンソースとは別のものとお考え下さい。私は個人的には、オープンソースだからこそ『使える』という感想を持っています。Blender のムービーギャラリーもご覧下さい。

実習室のMac環境では、Ver2.48を使用しています。Windows・MacOSX・Linuxすべて同様に動作します。自宅用にDLする場合はプラットフォームをよく確認して下さい。

Blenderダウンロード    
↑ここから落とせます。ページ右の方にサンプルもあります。


Blenderの動作環境

Linux・Windows・MacOSX、すべてのOSに対応しています。マウスは3ボタンが基本ですが、3ボタンをエミュレートする設定も可能です。 必須というわけではありません。また、テンキーの使用が前提になっているのですが、これも切り替えにより通常の数字キーで代用できます(ノートの場合 等)。

Blenderの機能と今後の可能性

ユーザ主導で世界規模で開発が進むオープンソースなので、機能的にはに十分です。ヨーロッパの美術学校等では、以前から利用されており、最近ではプロダクションでも利用するところが増えています。 モデリング・レンダリング・アニメーションはもちろん、ムービーのオーサリングやPythonスクリプトの使用による3Dゲームの制作まで可能です。
グローバルイルミネーションはもちろん、ソフトボディや流体シミュレーションなど、かつて高価なCGツールでしか利用できなかった技術もすでに内包されています。

国内のCG制作、ゲーム制作の現場では、3dsMax、Maya、SoftImageXSI、LightWaveなどが多いので、3DCGクリエータとし て就職を考えている方は、Blende独自の専門用語や詳細なメニューにはこだわらず、3DCGの一般的な概念をしっかり身につけるようにしてください。 ※3Dに一般的な話か、Blenderのみの話かは、説明の都度明示します。
逆に、デザイナー、イラストレータ志望の方が、プラスアルファの技術として表現の可能性を広げようと考えている場合は、このソフトを徹底的にマスターする ことをお勧めします。このソフトが適用しているGPLというライセンスは、いわばソフトウエアの自由な利用に関する永久保証のようなものです。ベンダーの 都合で状況が左右されるといった心配がないので、生涯を通して役に立つツールになると思います。

使用できるデータ形式

3Dデータ形式は以下の通りです。
Blender(.blend)(デフォルト) / 3D studio(.3ds) / CAD(.dxf) /
 VRML(.wrl) / Wavefront(.obj) / LightWave (.lwo) / DirectX(.x)  その他
かつては、.DXF .WRLといった標準的なもののみでしたが、近年のPythonのプラグインが充実して、非常に多くのファイル形式でインポート・エクスポートが可能にな りました。異なるソフトで作成した過去の資産を生かすことも可能ですし、イラストレータで作った2Dのベクトルデータを活用することも可能です。
3DCG用の素材データのリンクを別ページに用意しています。
Blenderで利用する場合は、DXF VRML は標準でインポートできます。
その他の形式のインポートには、Python をインストールしてください

レンダリング

レンダリングは以下の形式で可能です。
AVI(Microsoft)/QuickTime(Apple)、JPEG/PNG/BMP/TARGA その他
外部レンダリングツールとの連動により、さらに写実的なレンダリングが可能です。

YafRay  : オープンソースのレンダラで、Blenderから直接利用できます。
Indigo  :オープンソースではありませんが、フリーのレンダラです。
光を物理的に計算するためレンダリングに長い時間が必要で、
アニメーションというより静止画作品向けです。
WBS+にわかりやすい操作マニュアルが記載されています。

外部レンダラー

外部レンダリングツールとの連動により、さらに写実的なレンダリングが可能です。
YafRay  : オープンソースのレンダラで、Blenderから直接利用できます。
Indigo  :オープンソースではありませんが、フリーのレンダラです。
光を物理的に計算するためレンダリングに長い時間が必要で、
アニメーショ ンというより静止画作品向けです。
WBS+にもわかりやすい操作マニュアルが記載されています。

Blender Manual

マニュアルもオンラインで閲覧できます。
JBDPのマニュアルを参 照して下さい。
WBS+のマニュアルも非常にわかり易く参考になります。
マニュアル本も続々出版されています。
Blender Beginer's Bible 田崎進一著
はじめてのBlender  山崎聡著
3Dキャラクターアニメーション Blender  トニー・マレン著/長尾高弘訳

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基本的なアドバイス

まず・・

3Dは、「誰にでも簡単に」というものではありません。みんなはじめは苦労しています。世の中には、Photoshop Illustratorを使える人はたくさんいますが、3DCGとなると、極端に人口が少なくなります。逆に言えば、「使える人は貴重」です。ですから、 はじめの数回でメゲず、最後までがんばって下さい。

手でつくるアナログ作業と、CGによるデジタル作業とでは、根本的に発想を変える必要があります。粘土などでは形を思い通りにひっぱったり、つぶしたりし て形がつくれますが、CGの場合は2次元の画面から立体形状を操作しますから、手作業のように思うようにはいきません。・・初心者の大半がここで挫折して しまいます。
しかし、移動・回転・拡大縮小などは、簡単で、「論理的な手順で処理できる」形状編集は、手作業よりはるかに簡単です。

デジタルツールは「論理的思考」で形をつくることが得意な道具です。プリミティブの和・差・積でできる形を論理的に想像して手順を考えると短時間で効果的なモデリングができます。

見えないところはつくらない

映画や舞台と同じです。最終的にカメラに写らない部分まで細かくモデリングするのは無駄です。もちろん、モデリング自体を楽しみたいという場合は別ですが・・
また、実際の凹凸が必要のない部分は通常はテクスチュアマッピング(画像を貼る)やバンプマッピング(擬似的な凹凸の陰影づけ)を用いることで、詳細なモデリングは省略するのが普通です。
たとえば、ゲームの画面に出てくる建物などは、極端に言えば「ただの直方体に、壁面の写真を貼って、遠目に建物のように見せているだけ」です。

カメラと照明のコントロールが重要です

2Dのソフトでは、つくった形がイコール最終の形ですが、3Dの場合はつくった形に、照明をあてて、それをカメラで撮影して、はじめて最終のイメージになります。
したがって、いくらモデリングがよくできていても、「撮影」がダメだとすべて台無しです。
モデリングにばかり専念しているケースを良く見かけますが、照明とカメラにも配慮してください。3DCGの場合は、被写体と照明とカメラの3つすべてをうまくコントロールする必要があります。
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参考サイト

世の中には、3DCGについて参考になるサイトがたくさんあるので、とりあえずそちらへのリンクを貼っておきます。
余裕ができたら、授業に即したオリジナル原稿書きます。あしからずご了承下さい。

以下のサイトを是非参考にしてみてください。

・3DCGの基本概念等について、短時間で概略をつかむには、
 Wikipediaのページが参考になります。
・慶応義塾大学千代倉研究室のCG教科書も参考になります。
・本を買って学びたい方には、CG -ARTS協会から発行されている入門テキスト
 などがおすすめです。体系的に3DCGの世界を学びたい場合の標準テキストです。
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課題1

「日用品(定番)」 
ただし写真では撮れない架空のもので、現実の製品としてはあり得ないものを、リアルにつくってみてください。提出は.blendファイルと .JPG画像
参考:「Objetos Imposibles」 Jacques Carelman


課題2

「Atlier(私の仕事部屋)」 
家具・器物をモデリングするとともに、
壁や床、ポスター・書籍・描きかけの絵などを
テクスチュアマッピング、また、発光する照明器具も含めて下さい。
空間は物理的な制約から逸脱して構いませんが、
壁・床・机・椅子のサイズなどは実物を参考に
数値入力することをお勧めします。
いろいろ参考にして下さい。
家具などのフリー素材は、[ LINKS ] で紹介しています。


課題3

「Another World (Animation)」 
QVGA(320*240)以上で変則サイズでも可。
10fps以上・15秒以上・100MB以下。
最終提出ファイルは mpg, mov ,avi のいずれかの形式で、
音声の有無は自由。

カメラのウォークスルー、メ カニカルアニメーション、キャラクターアクション、
パーティクルエフェクトの応用など、アニメーションの形式は自由。
実写では難しい、3DCGならではの表現可能性を模索してください。
参考 : 「3D Animation

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