八重山蔵元絵師画稿集のアニメーション制作
八重山蔵元絵師画稿集の絵をアニメーションにしたもの
このプロジェクトを行おうと思った背景は私の祖父から「この絵を動かしたり出来ないか」と依頼されたことが始まりです。
また、この八重山蔵元絵師画稿集は琉球王国の貴重な絵画遺産であり、
その美術や文化を後世に伝える重要な資料です。
ですが、この資料の認知度は非常に低く、その美術や文化を後世に伝えることが
課題になっています。そこでこの作品をアニメーション化する事によって、
現代の視覚言語に合わせた新たな形で文化を伝えることが出来るのではないかと考えた。
このプロジェクトの目的は八重山蔵元絵師画稿集をアニメーション化することによって、琉球王国の貴重な絵画遺産を新たな形で表現し、視覚的な映像として視聴者に提供することです。アニメーションは視覚的な魅力やエンターテイメント性を持ち、この絵画が持つ情報や意図をより鮮明かつ効果的に伝えることを目的とする。
また、最終的に石垣市伝統工芸館に寄贈し実際に使ってもらうことを目標として制作を行う。
2023.04.14 - 2023.12.22
動画を制作する上での素材の切り取り、修正はある程度終えることができた。
これからの流れは切り取った絵にモーションを付け終える。
説明のナレーションを収録する。
テロップ入れやナレーションの挿入。
動画をまとめる。
動画内にナレーションのテロップを挿入した。
音声音読アプリにて音読時間の把握
また、本番での使用の検討
1ページ目(36s)
2ページ目(29s)
3ページ目(22s)
op
「アニメで学べる八重山諸島の歴史 地機の歴史編」
1
地機(じばた)は、日本の伝統的な織り機の一種で、特に琉球王国(現在の沖縄県)において古くから使用されてきました。
地機は非常にシンプルな構造をしており、地面に置かれることからこの名が付けられています。
織り手は地機の前に座り、足を使って地機の一部を操作します。地機は床面に腰を下ろして足をふんばり、腰に力を込め、大きな杼(ヒ)を持って機(ハタ)に通しながら織締めていく。明治時代に高機(タカバタ)が導入され、現在は使用されていない。
1_1「地機、これは日本の伝統的な織り機の一つで、特に琉球王国、現在の沖縄県において古くから愛用されてきました。そのシンプルな構造は、地面に設置されることからその名が付けられています。織り手は地機の前に座り、足を使って機の一部を操作しながら、腰に力を込めて大きな杼を機に通し、緻密に織り上げていきます。明治時代には高機の導入により、徐々に地機の使用は減少しましたが、その伝統的な技法は今もなお価値を持っています。」(36s)
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「地機、日本の伝統的な織り機の中でも特に琉球王国、今日の沖縄県において重要な役割を果たしてきた機器です。この織り機は、そのシンプルながらも効果的な構造で知られ、地面に直接置かれることからその名がつけられました。織り手は地機の前に座り、足で機の一部を操作しながら、力強く腰を使って織り進めます。この織り方は、力を要する作業を容易にし、精緻(せいち)な布を作ることを可能にします。
大きな杼(ひ)を使い、織り手は糸を機の中を通し、緻密な織り目を生み出します。この一連の動作は、ただの手技以上のものであり、織り手の技術と経験、そして彼らの芸術性を反映しています。明治時代に高機の導入によって地機の使用は減少しましたが、この伝統的な織り機は今なお、その独特な魅力と歴史的価値を持ち続けています。」(65s)
2
苧麻で上布を織りあげた後、海水に晒す。上布は、海の恵みを受けてさらに美しく変わります。それから海岸近くの布晒小屋(ヌノサラシコヤ)で真水で洗い干す。上布が乾燥すると布艶(ヌノツヤ)を出すため立て杵で布を打つ。それが終わると風呂敷に包み頭にのせて帰宅する。
2_1「苧麻で織り上げた上布は、次に海水に晒されます。このプロセスは、海の恵みを受けて布をさらに美しく変化させるための重要な工程です。その後、海岸近くの布晒小屋で真水で洗い、乾燥させます。乾いた布は立て杵で丁寧に打たれ、上布固有の艶を引き出します。この作業が終わると、布は風呂敷に包まれ、織り手の家へと戻っていきます。」(29s)
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「八重山地方の手仕事は、織り上げた上布を海水に晒すことから新たな命を吹き込みます。この伝統的な方法は、布を自然の恵みである海水に浸すことで、独特の風合いと強度を与えるのです。織り手は、一枚一枚の布を丁寧に海に持ち込み、太陽と海の力を借りて、布をさらに洗練されたものへと変化させます。
その後、織物は海岸近くの小屋、布晒小屋に運ばれます。ここで、真水を使って海水の塩分を丁寧に洗い流し、布を清潔かつ柔らかな状態に戻します。水と接することで、布はさらに柔軟性を増し、その真の美しさが引き出されるのです。
乾燥過程もまた、この伝統的な技法の重要な一部です。織り手は布を風通しの良い場所に広げ、自然の風と日差しを利用してゆっくりと乾燥させます。布が乾いたら、最後の工程として立て杵で布を打ちます。これは、布に必要な艶と柔らかさを与えるための重要なステップであり、織り手の熟練した技が光る瞬間です。この一連のプロセスを経ることで、上布はその最終形に到達し、風呂敷に包まれて織り手の家へと戻っていくのです。」(87s)
3
そこで出来上がったら最後の試練、検査小屋での厳しいチェックが待っています。村の検査小屋で、役人や検査役の女性の前で布を洗い直し、布に疵(キズ)がないか、糸の結び目はきちんと結ばれているかなどの検査を行っている風景。
3_1「完成した布にとって最後の試練は、検査小屋での厳しいチェックです。ここでは、役人や検査役の女性が、布に疵がないか、糸の結び目が正しく結ばれているかを念入りに検査します。この検査を通過することで、布は最終的な品質を保証され、市場に送り出されるのです。」(22s)
完成した布にとって最後の試練は、検査小屋での厳しいチェックです。
この場所は、単なる検査場所以上の意味を持ち、地域の織物技術の高い基準を保つための重要な役割を果たしています。織り手たちは、彼らの技術と努力が集約された布を、役人や検査役の女性たちに提出します。役人や検査役の女性が、布に疵がないか、糸の結び目が正しく結ばれているかを念入りに検査します。織り手たちの技術と労力が試される場であり、布の品質が八重山の織物としての名誉を体現するものであることを保証するためです。この検査を通過することで、布は最終的な品質を保証され、市場に送り出されるのです。
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「八重山地方の織物製造の最終段階として、完成した布は検査小屋での厳しい評価を受けます。この場所は、単なる検査場所以上の意味を持ち、地域の織物技術の高い基準を保つための重要な役割を果たしています。織り手たちは、彼らの技術と努力が集約された布を、役人や検査役の女性たちに提出します。
検査では、布の細部に至るまで厳密にチェックされます。織り手たちの技術と労力が試される場であり、布の品質が八重山の織物としての名誉を体現するものであることを保証するためです。検査役は、布の織り目が均一であるか、疵や不備がないか、そして糸の結び目が適切に処理されているかを慎重に観察します。これらの細かいチェックを通過することは、織り手にとって大きな誇りであり、彼らの技術が高い水準に達していることの証となります。
合格した布は、市場に出る準備が整ったものとして扱われます。この厳しい試練を経て、八重山地方の布はその最終形を迎え、地域外の人々にもその美しさと品質が伝わるのです。」(81s)
1:地機(ジバタ)で八重山上布を織る絵。地機は床面に腰を下ろして足をふんばり、腰に力を込め、大きな杼(ヒ)を持って機(ハタ)に通しながら織締めていく。明治時代に高機(タカバタ)が導入され、現在は使用されていない。
2;苧麻で上布を織りあげた後、海水に晒す。海岸近くの布晒小屋(ヌノサラシコヤ)で真水で洗い干す。布艶(ヌノツヤ)を出すため立て杵で布を打つ。終わると風呂敷に包み頭にのせて帰宅する。
3:村の検査小屋で、役人や検査役の女性の前で布を洗い直し、布に疵(キズ)がないか、糸の結び目はきちんと結ばれているかなどの検査を行っている風景。
前期では主に本制作のためのテストを行った。
また、動画の構成もまとめる事ができた。
後期では前期に行った素材分け作業があと2ページ分残っているのと
実際に絵を細かく動かして行くフェーズに入っていく為、
もう少し作業効率を上げる方法を模索しながら制作を進めていきたい。
ChatGPTを利用して作った台本が仮ではあるが完成した。
ページごとに絵に合った説明をナレーションで流す構成になった。
ChatGPTを利用して動画の構成、台本、ナレーションの作成(画像は会話の一部)
今週はChatGPTを利用して動画の構成などを考えたが、
AIに思うように伝える事が難しく思ったより苦戦している。
だが、自分ひとりで考えるより格段に良い台本ができていると思う。
6/17に申請した資料特別利用の許可が公式に出ました。
とりあえずキーフレームを3個打ちループ出来るように動かした。
今は動く事とYouTubeへの投稿テストの段階なのでこの程度に動かしている。
後期では細かい動きも追加したり、もっと動きを滑らかにしたい。
前回の中間発表で指摘された画稿集の著作権の問題に
対処すべく八重山博物館へ資料特別利用の申請を行った。
今週は分解した素材をAfter Effectsに読み込んで
動かすことを想定しながら各パーツにアンカーポイントを設定した。
来週は動かせたらいいなと思う。
今週は前回分解した作業の加筆作業などを行った。
元の絵に写っていない部分の線や右手、左足などを加筆した。
あくまで新しい物を加筆するのではなく見えなかったものを
見えるようにした程度の修正に抑えた。
今週はとりあえずパーツごとに大雑把に分解した。
だが、機械の部分や人の手など重なっている部分があり
動かした際に描かれていない部分が出てくる為、
次はそういった部分の加筆作業が必要になってくると思う。
今週は線画抽出や手作業を駆使して画像の背景を取り除くことが出来た。
次は動かすパーツごとの分ける作業と重なっている部分などの修正作業に入る。
祖父に選定をお願いした所、①地機の歴史パート②豊年祭の歴史パート③稲作の歴史パートの3種類、計10ページを選んで来たので、この中から特に推していた①地機の歴史パートの3枚のページを今回の研究に使用することにした。
大体この流れで計画を立てる
①鳥獣戯画のアニメーション化
②静止画を動かしているもの
「八重山蔵元絵師画稿集」という書物の絵をアニメーション化する。
「八重山蔵元絵師画稿集」とは、八重山蔵元(やえやまくらもと)と呼ばれる琉球王国時代の絵師たちの画稿(がこう)をまとめた書籍やコレクションのことを指します。
琉球王国は、現在の沖縄県に位置し、15世紀から19世紀にかけて存在していました。八重山蔵元は、その中でも特に絵画の技術が高く評価された絵師たちのグループであり、主に宮廷や貴族のために絵画を制作していました。
「八重山蔵元絵師画稿集」は、彼らの制作した絵画の模写や原画などをまとめたものであり、その技術や美術の特徴を学ぶための資料として活用されます。これらの絵画は、琉球王国の歴史や文化を知る上で貴重な情報源となっています。
「八重山蔵元絵師画稿集」は、美術愛好家や研究者、歴史学者などにとって貴重な資料とされており、琉球文化や絵画の研究において重要な役割を果たしています。