色
色という心理現象は、光という物理現象によって引き起こされます。人の視覚がとらえることのできる光は、波長が380nm から760nm の範囲の電磁波です。(ちなみにその外の領域は、波長の短い方へ紫外・X・ガンマ‥、長い方へは赤外・無線通信の電磁波領域‥となります)。我々はその波長の違いを「色」という現象としてとらえており、波長の長い方から「赤橙黄緑青藍紫」というふうに対応づけることができます。もちろんこの 「色」は物理的に存在するものではなく、我々一人一人の頭の中で生じている心理現象であって、また「色名」も本来連続的に分布するものを言葉で区切ったも のにすぎないため、「赤と橙の境界は?」と問われてもその答えは定まりません。
「人」が見ている「色」をさらに詳しく理解するためには、錐体(Cone)と杆体(Rod)という2種の視細胞の存在を知る必要があります。それぞれの特 徴を簡単に言うと、錐体は感度は悪いが色彩を感じる能力があり、杆体は逆に高感度であるが明暗しか感じることができない、というものです。「人」の網膜上 には中心部(黄斑部とも言う。凝視点の像ができる部分で、視角で言うと10度以内)に錐体が多く分布し、一方周辺部には杆体が多く分布しています。我々が 「色」を感じて読み取ることができるのは、まなざしを向けている限られた範囲ということになります。
では、この錐体はどのようにして「色」を見分けるのでしょうか。
錐体には、R(611nm)・G(529nm)・B(462nm)に感受性のピークをもつ3種類の細胞があり、入射光の波長により生じるそれぞれの反応の 割合で、色を感じていると言われます。
画像を表示するディスプレイはRGBの3原色によってすべての色をつくっていますが、本来3種類の波長の光をまぜて単一の波長の光にするというのは物理的 には無理な話で、これはすなわち「我々の錐体がRGBの組み合わせで反応しているために、本来の単一の波長と、3種の波長のまざったものの区別ができな い」ということを逆に物語っているのです(この3原色説はすでに、ヤング(1801)・ヘルムホルツ(1860)によって提唱されていたものです)。
補講
人は光を発することができない(この点は視覚と聴覚の比較において重要)。
ただし、電磁波は出ている(気功師/キルリアン写真/気配)
さて、この心理現象としての「色」には、色彩嗜好・感情効果・対比効果・誘目性・演色性・色彩調和など、視覚情報のデザインの際に考慮すべき問題が多く存 在します。以下にそれらを簡単に列挙しておきましょう。
色彩嗜好
好まれる色は、感覚的、情緒的、経験的に好ましい色で、「明るい・健康的・上品・自然・新しい」など様々に形容されるものですが、その好みも性・年齢・時 代・民族などによって異なるものであり、その「人」個人の関わる文化の問題であるといえます。ただし総体的に紫系や暗濁色は敬遠されがちです。色と文化
日米では 赤橙黄緑青藍紫イギリスでは 6色
アフリカでは 4色
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感情効果
我々は色彩によって感情を刺激されるが、色彩と感情の対応関係は一般にいくつかのの軸で示される。すなわち、「暖色⇔寒色」・「動的色 ⇔静的色」・「重い色⇔軽い色」「強い色⇔弱い色」・「硬い色⇔柔らかい色」・「好きな色⇔嫌いな 色」・「心地よい色⇔不快な色」などです。しかしこれらの軸の上で、寒暖・静動・重い軽い以外はその色彩の位置付けに個人差が大きく標準的な関係付けは困難だといわれています。
対比・同化効果
色同士が影響しあってその差異が強調されて見えることを色の対比といい、逆に色同士が誘導によってまとまって見えることを色の同化といいます。一般に 「図」の色に注目した場合は対比が、「地」の色に注目した場合は同化がおこりやすいことがわかっています。人は「図」に注目するのが普通ですから、対比効果は特に顕著で、例えば、白に囲まれたグレーはより黒く見え、黒に囲まれたグレーは明るく見えるなど、周囲 の色の影響で「図」の色は実際の色からずれて見えているということに注意が必要です。
誘目性
より明度の高いもの、より彩度の高いものが人の目を引き付けやすく、色相に関しては青系よりも赤・黄系が有効です。しかし実際的には周囲の色との対比、特 に明度の対比効果が問題で、同じ黄色でも黒と組み合わされた場合が最も誘目性は高くなります。黄色と青というふうに色相の上での反対色も効果的だですが、赤と緑のように明度が近くなるとギラギラして見づらくなります(リープマン効果)。
視認性
対象の存在の認められやすさを意味する語で、明視性(形の認知)と可読性(文字や数字の認知)を含みます。例えば、・黒地に白の方が、黄色地に白よりもわかりやすい
・明度に差が無い場合でも、色相差や彩度差が大きければ読み易い など
識別性
識別性とは、区別のされやすさのことです。JIS規格に定められた「安全色彩」や「配管系の識別表示」は識別性を高めるための色彩の例です。CIE (国際照明委員会)が推奨する識別性の高い色の組合せは以下のとおり。
3色の場合…赤・緑・黄(または白)
4色の場合…赤・緑・黄・白
5色の場合…赤・緑・黄・白・青
演色性
特殊な照明(高速道路のトンネル内ネオンなど)を除けば、照明光は連続スペクトル(可視光の広い範囲の波長を連続的に含む)か、あるいは複数の線スペクト ルから成る光で、その分布のかたよりによって赤みや青みを帯びています。この照明の色みは、一般に色温度という概念で表わされるもので、例えば白熱球やろうそくなどは3000K 以下、太陽光は6500K、国内用テレビは9000K などとなります。
色温度
人間の視覚は、通常照明の色温度に対して自動的にホワイトバランスをとりなおし ているため、その赤さや青さをあまり感じていませんが、フィルムで撮影すると、その差は歴然とします。参考:照明の色温度の違いによる色かぶりの問題を解消するには、写真を撮る際 に、白い紙等を同時に写し込んでおくとよいでしょう。後からフォトレタッチツール等で、簡単にホワイトバランスを取り直すことが可能になります。
したがって色温度の異なる照明の下では同じ白でも異なるものとなり、当然物の見え方の印象などは変わってくることになります。
このような光源の性質を演色性と言い、様々な状況下で適切な色温度の照明を計画することが必要です。学習などの作業に向く照明と、食卓を照らす照明を使い わけるなど、日常的にも経験のあることでしょう。
参考
標準光源 A 2856K(白熱) C 6774K(北空昼光) D65 6504K(昼光)蛍光灯は 連続スペクトルではない
モニター 9000Kまで
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配色
色彩調和
複数の色面を組みあわせて画面を構成する場合、その配色が美しく調和して見えるかどうかが問題となります。このことについて一般的に次のような解決案が考 えられます。①色相について類似するものを配色する(近似色調和)
②同色相で明度・彩度の異なるもので配色する(同系色調和)
③色相に関して反対となる色で配色する(補色調和)
④彩度の高いもの同士は一般に色がぶつかりあうため、多くの色相を配色する場合は低い彩度のもので組み合わせる。
⑤高い彩度の色同士が隣接する場合には中間に無彩色を配置する
ただしこれはあくまで一般論であり、構成法や各色の面積比で様々な調和のさせかたが追及できるはずです。
ムーン&スペンサーの色彩調和理論
同一性の調和(同系色調和)類似性の調和(近似色昭和)
対照性の調和(反対色調和)
それぞれの中間に第1のあいまい、第2のあいまいをおき
色相・明度・彩度に各5段階の美的係数を定義
秩序:色相の美的係数+明度の美的係数+彩度の美的係数
複雑さ:色数+色相差のある組の数+明度差の・・+彩度差の・・
※すなわち色数が増えるほど分母大(難しくなる)
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