オビラス
学生目線から講義内容を端的に伝える本の帯の作成
概要
これは何?
大学の講義内容を端的に紹介する本の帯の制作
背景と目的
- 背景
大学にはシラバスというものがあるが、文字情報が多く何が重要なのか上手く掴めなかったり、シラバスの内容と講義内容が異なる場合があったりと、どんな講義なのかが伝わりづらいことが多い。実際に、面白い講義なのに「難しそう」というだけで受講しない、興味があっても誰もどんな講義か分からず、結果受講しなかったというケースが多々見られる。
その現状を受けて、講義を紹介する帯があれば面白いと思ったことがきっかけである。
媒体を本の帯にした理由は、以下の3つである。
- 帯には『端的にわかりやすく伝わる』という強みがある
- 帯の「その本の魅力や詳細を紹介する」という役割が、講義を紹介するという目的にマッチしていると考えたため
- 帯という狭小スペースでのグラフィック表現への関心
- 目的
どんな講義なのかを書いた帯を作り講義内容を分かりやすく伝えつつ、帯の表現方法の研究をする。
コンセプト
- 実際に本に巻ける帯を作成
- 端的に伝わる文を作成する
成果物の仕様
制作ツール
Adobe Illustrator 2024
調査
現状調査
講義の帯を作っていくにあたり、「本の帯について」と「講義について」の2項目に注目しそれぞれ調査を行った。
- 帯について
- 帯の役割
購入者に向けてタイトルやあらすじだけでは伝わらないその本の魅力を、様々なコピーやデザインを使って一目で伝える役割を果たしている。
沢山ある本の中から手に取ってもらえるかは帯でかなり左右されることが多い。
最近では、帯から探す電子書籍なども登場している。
- 帯のデザイン
本によって異なるが、基本的には「メインキャッチコピー」「サブコピー」「囲み」の要素で構成されていることが多い。また、書かれてある要素は本によって異なっており、所持している本の中でも8カテゴリーに分けることができた。これらは複数の要素から成り立っており、全く同じようなものはない。
所持している本の帯と表紙/Googleドライブ
- 本のサイズとジャンルについて
講義によって本サイズを変更するにあたり、本のサイズごとに特徴をまとめた。
文庫サイズ(A6判(148mm×105mm)) 《小説・古典・詩集》 すでに単行本として発行されていた人気作品を、読みやすく持ち運びに便利なように小型サイズで再出版されているもの。 |
単行サイズ(B6判(128mm×182mm)または四六判(128mm×188mm)) 《小説・漫画・文芸書・実用書・専門書・児童書》 特定の作品や物語を完結または区切りの良い範囲でまとめて単独(初版)出版されているもの。*1 |
*1:週刊誌で連載された漫画を一冊の本に集約されるため単行本扱いになる
新書サイズ(新書判(105mm×173mm)) 《漫画・ノンフィクション・学術書・実用書・専門書・啓発書》 文庫本より少し大きめで手に取りやすく、一般向けに幅広いテーマを簡潔にまとめて出版されているもの。少年漫画等はこのサイズが多いかも。 |
- 講義について
講義ごとに『受講できる学科専攻・受講できる学年・単位区分』をまとめた。そこから更に、「受講できる専攻の合計値・帯にするときの作りやすさ」を割り出した。その結果、専門講義は 239 講義存在し、その内に6専攻以上が受講できる講義は24講だということが分かった。
- 作りやすい且つ受講済みのもの
- 作りやすいが未受講の中でも、内容が予想し難いもの
- A.B.C などと続いているものはどれか一つにする
という条件を踏まえて、帯を制作する講義の選定を行った。
- 作成する講義(計13)
- 意匠・商標法
- 映像芸術表現論
- コンピュータ基礎演習
- 色彩学
- 西洋美術史
- 塑造演習
- デザイン史
- 美術概論
- QUEST演習A
- 工芸デザイン基礎演習
- デッサン基礎演習
- サウンドデザイン演習
- 図学製図基礎演習
制作
- コピーと要素配置について
コピーは、「メインキャッチコピー」「サブコピー」を特に意識して制作。
メインコピーはできるだけ短く端的にまとめ、サブコピーは詳しく説明するために少し長めに書くようにする。そうすることで、画面内で抑揚をつけつつメインコピーをより目立たせることができると考える。また、視線の流れを意識した配置をすることで、どれを特に読んでもらいたいかをある程度誘導することが可能だと考える。
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作品データ/Googleドライブ
- 印刷について
印刷は外注を予定している。理由としては、帯によって用紙や加工をこだわりたいという想いと、実際に書店に並んでいる帯と並べた時に手作りだと見劣りすると感じたためである。
- デジタル化について
本研究では、作品を実物として制作することを目的としているが、それとは別にWEBサイトを制作してまとめている。理由としては、作品を制作した後の置き場がないためである。また、デジタル化することで、どこからでも簡単に閲覧できるため、手助けの幅が広がると考える。
- サイトマップ/ワイヤーフレーム
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- プロトタイプ
まとめ
本の帯とは訴求するうえでかなり重要な要素であり、その本自体もジャンルや用途によってサイズが異なっていることが調査により分かった。また、講義にも専門性によって各専攻ごとに受講する必要があるか否かがあることを改めて理解することができた。これらにより、私たちが何気なく使っている物事には、そのカタチである理由が必ず存在するということに目を向けることができたと考える。その他に、調査や実制作の中で、本の帯に一つとして同じものはなく本の数だけ適した訴求が行われていることが分かり、本の帯とは一種の小さい広告媒体であると考えることができる。今回の研究では13講義に限定して制作したが、これからさらに数を増やしていけば、講義ごとの違いをはっきり見ることができて更に面白いのではないかと感じている。