失敗談や恥ずかしい体験をみんなで展示するデジタル博物館
メインビジュアル、あるいは
プロジェクトの最新の状態を視覚的に掲載
背景
現代のSNS文化は「成功や美しさだけを切り取って見せる場」へと偏りつつある。Instagram、X(旧Twitter)、TikTokといった主要プラットフォームでは、失敗や欠点を自発的にさらけ出す行為はしばしば炎上や嘲笑の対象となり、その結果として多くの人々は自己の「理想的な断片」だけを選択的に公開するようになった(参考:総務省『情報通信白書』2023年版)。このような同調圧力は、「失敗=晒してはならないもの」という価値観を助長し、他者と比較することで自己肯定感を下げる「SNS疲れ」や「セルフ・スティグマ(自己烙印)」の原因にもなっている。
しかし、人類の歴史や世界の文化を振り返ると、「失敗の共有」は本来コミュニティをつなぐ重要な機能を担ってきた。古代ギリシャの喜劇や日本の笑い話(落語・ことわざ・失敗談)は、自身の過ちを笑いに変えることで人々の心を軽くしてきたし、近年でもTEDカンファレンスの「My Biggest Mistake」シリーズや、海外掲示板Redditの「r/tifu(Today I F*cked Up)」など、失敗談を自虐的かつユーモラスに共有する文化はネット上にも存在している。
こうした背景を踏まえると、現代日本のSNS空間には「共感を生むための失敗共有文化」が欠落しており、それが生きづらさの一因となっているのではないかと考えられる。
目的
本研究の大きな目的は、人々の心を少しでもポジティブにしたいだ。
そして、「失敗経験を安心して共有できる匿名型プラットフォーム」を設計・実装し、その心理的効果と社会的価値を検証することである。
特に以下の2点を主な焦点とする。
①失敗談を閲覧・投稿することは、投稿者・閲覧者の自己肯定感や感情にどのような影響を与えるか?
(例:自分だけじゃないという安心感/笑いによるカタルシス/羞恥心の軽減)
②「嘲笑される失敗」ではなく「共感される失敗」を成立させるコミュニティデザインは可能か?
(例:コメント欄の仕様・評価システム・UI文言の設計)
「失敗は、笑い飛ばした瞬間に作品になる」
本プロジェクト「シクジリ博物館」は、失敗経験を「黒歴史」ではなく「展示物」として扱うことで、羞恥ではなく誇りとユーモアを伴った作品へ変換する試みである。
匿名で投稿できる展示室(カテゴリー別)
他人の失敗に共感・称賛・供養できるコメント機能
「自分もやった」「もっとやばいのある」などの連鎖的共感(ミーム化)
実際、X上で「コーヒーの瓶を床に落として粉をぶちまけた写真」に対し、同様の失敗画像が大量に返信として並んだ投稿を見たことが本企画の着想源となっている。そこでは笑いや温かさが自然に発生しており、「失敗は嘲笑されるものではなく、共有されることで関係性を生むものだ」という確信を得た。
Webサイト
WordPress
後期
① SNSでは「成功と綺麗な自分」しか見せられない同調圧力がある
② 失敗を共有・相談できる安心な場がない
③ 自分だけが「できていない」と思い込み、自己肯定感が下がる
④ 日本では「失敗=恥」「やり直しづらい」という文化的背景も強い