情報と感情から距離をとる空間体験
Perch:パーチ・止まり木
A place to rest your wings:羽を休める場所
現代社会では、スマートフォンやSNSの普及により、私たちは時間や場所に関係なく他者と接続され続けている。
その結果、常に情報や視線にさらされる状態が日常化し、個人が完全に“外部から切り離される時間”は極めて少なくなっている。
その中で、外見や価値観の比較(ルッキズム)、人間関係への不安、環境変化への適応ストレスなどが無意識に蓄積されていく。
たとえ一人で過ごしている時間であっても、思考や情報から完全に自由になることは難しく、心理的に休息できる環境は不足している。
本研究の目的は、鑑賞者が自らの意思で感情や現実から一時的に距離を取り、静かに滞在できる**心理的な止まり木(Perch)としての空間を設計・制作すること**である。
本作品における休息とは、問題の解決ではなく、問題から一度離れるための選択肢として定義される。
その効果の指標として以下を設定する:
鑑賞者が思考から解放される時間を持てること 感情整理の前段階として「離れる体験」が成立すること 日常の中で繰り返しアクセスされること(Webなど)
本作品のコンセプトは、「羽を休めるための、やわらかな空間設計」である。
言語化できない感覚や、日常に生まれる曖昧な感情を、植物や自然、有機的な形態として視覚化することで、内面の揺らぎを外在化する。
またキャラクターは、美的規範や評価から解放された“不完全な存在”として描かれ、比較や判断から距離を取った状態をつくる。
さらに本作品では、絵画・Web・触覚的要素を統合し、「見る」体験ではなく**そこに滞在する体験**として設計する。
ここで重要なのは、癒すことを目的としないという点である。
本作品は回復を強制するのではなく、**ただ存在していられる状態を許容する空間=Perch(止まり木)**を提示する。
本研究は複数のメディアを横断し、ひとつの空間体験として構築される。
以下参考:Pinterest
ご自由にお持ち帰りください:Feel free to take one. この空間で見つけた気持ちや、少しだけ軽くなった感覚を、 小さなお土産として持ち帰ってもらいたいため
Adobe Illustrator
プロジェクトの期間|2026.04.10 - 後期終了まで
現代におけるリラックス手段
音楽、映像、SNSなど多様に存在しているが、それらの多くは情報の消費や注意の分散にとどまり **自分の感情から距離を取るための空間**としては十分に機能していない。 その結果、休みたいのに、休み方がわからない・離れたいのに、完全には離れられないという状態が生まれている。
既存のコンテンツとの違い
既存のコンテンツは、“癒す”ことや“リラックス効果”を目的にしたものが多いと感じる。 本研究では、回復を強制するのではなく、“ただ存在していられる状態”を重視している点が特徴だと考える。
素朴で温かみのある碗から、艶やかな花器までさまざま。 近年は、焼締めの器に赤・銀の上絵具を施したものを何度も低火度で焼き上げる 「銀彩瓷(ぎんさいし)」という技法を使った作品を発表されている。
既存のヒーリングコンテンツは、自然風景や抽象的映像が中心であり、個人の曖昧な感情や揺らぎに寄り添い、そこに“滞在できる場所”として設計されたものは少ない。
Adobe Illustrator
4月・5月・6月・世界観の設計フェーズ
7月・8月・9月・作品制作フェーズ
10月・11月・12月・展示・WEB・仕上げ
本研究では定量的な数値よりも、主観的体験を重視する。
そのため、“何も考えずにいられたか”“少し心が軽くなったか”などの感想やアンケートを通して検証する
特定の年齢層に限定しているわけではない
SNSや情報接触によって疲労感を感じやすい現代の生活者を主な対象として想定している。
植物や自然物には、明確な意味を限定しすぎない曖昧さがあると感じている。
その曖昧さが、言語化しにくい感情や心理状態と結びつきやすいと考え、モチーフとして使用している。
完全に現実から離れることを目的にしているわけではなく、一度距離を取ることで、自分の状態を整理するための前段階として考えている。
そのため、“逃避”というより、“一時的な心理的休息”として定義している。
子供が描いたような・無造作をイメージ
1・2・3完成・残り1
絵画・休息・距離