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コンプレックスを題材にした作品制作
Keywords:Complex , illustration , SNS
プロジェクトの概要
研究背景・目的
・様々な事柄に対する価値観が改めて見直されるようになった現在だが、個人の容姿に関するコンプレックスに関しては、未だに隠すべきものとしての意識が強く感じられる。
・原因として考えられるのは、そのコンプレックスに基づく経験である。
・自分自身も、他人から容姿の一部を指摘されたことが原因で辛い思いをした。
・本来は理想の形として描かれるキャラクターやイラストにコンプレックスの要素を組み合わせ、今までとは別の角度からのアプローチをする。
・当事者や周囲の人々のコンプレックスに対する意識をより軽く出来るのではないかと考えた。
研究方法・調査
・最もコンプレックスを意識しやすいのは、主に思春期と呼ばれる10~20代の時期である。
・10~20 代の男女を対象に、コンプレックスについてのWEBアンケートを行った結果、211名からの回答が得られた。
・「現在、コンプレックスだと感じている事柄はありますか?」という質問にあると回答した人は全体の96%を占めた。
・また「(外見と内面)どちらに関するコンプレックスを強く感じますか?」という質問には、外見と答えた割合が 36.5%、 内面と答えた割合は 8%、どちらもと答えた割合は 55.5%と全体の半数を超える結果であった。
・コンプレックスの原因となった経験のほとんどが、思春期のうちに体験した出来事であった。
・他人に相談しづらい問題を、多感な時期に解決するのは難しいのではないかと感じた。
・解決しづらい為、思春期を経てもそういった記憶や経験に悩まされている人が多い。
制作
コンセプト
・キャラクターを必要以上に美化することはしない。
・不必要なものとしてのノイズやグリッチ、モザイク等の加工をあえて施す。
・魅力にはならないと排除されてきた要素を、個人のアイデンティティとして表現する。
・コンプレックスとされる部分は写実的に描き、必要以上に隠さなくて良いものとして印象づける。
制作物
(1)イラスト
・1 組 4 枚のグループを 5 組、計20枚を制作した。
・様々な角度からコンプレックスと向き合っていく狙いで、各グループでイラストの比率や雰囲気を変えた。
・パネル用イラスト(A1)
・WEB用イラスト(1200×1600px)
・ディスプレイ用イラスト(2400×1350px)
・グッズ用イラスト(300×300mm)
・シェイプトキャンバス 用イラスト(A2)
(2)ステッカー
・パネル用のイラストに加筆、調整することで制作した。
・日用品や雑貨などに貼ることの出来るサイズに編集している。
・全国のコンビニエンスストアで利用出来るネットワークプリントサービスを使用して頒布した。
・その他グッズはSUZURI(個人向けグッズ制作サービス)にて制作している。
(3)SNS
・作品を公開する場として、Twitter、instgram、tumblrの3つのサービスでアカウントを運用した。
・上記3つのサービスはターゲット層の利用者が多い。
・投稿をシェアすることができ、また他のユーザーとの交流が比較的行いやすいものを選んだ。
まとめ
・作品公開した際、「初めてニキビがあることをかわいいと思った」「髪型も肌も自分にそっくりで驚き、胸が高鳴った」「コンプレックスに対する意識が少し軽くなった」 など、予想以上にポジティブな反応のコメントを頂いた。
・制作中は自分でも無意識にコンプレックスとなる要素を排除して描き進めている事が多々あった。
・しかしそれらの要素を色濃く描いた作品の方が反応が良く、コンプレックスでも魅力になるという確信を得た。
・今後もコンプレックスを題材にした作品制作は継続していく。
・コンプレックスとされている要素をより魅力的に見せられる表現や、コンプレックスに対する潜在意識に訴えかけることの出来る方法を探していきたい。