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InformationDesign のバックアップ(No.1)


情報デザイン

InformationDesign/Links

情報デザインとは一般に、情報を正しく、わかりやすく、また美しく伝えるために行う様々な手立てのことを言います。様々な情報デバイスとネットワークの普及で、一個人による情報の公開・送信が可能になった現在、情報デザインは一部の専門家のためのものではなく、万人が必要とするスキルといえます。

情報デザインの対象は、グラフィックスやWeb、映像といった情報媒体だけではありません。私たちの日常には、様々なモノがあって、人とモノとの関係における違和感、勘違い、操作の失敗・・・といった問題も多くあります。ユーザがモノと関わる場面で生じる問題を発見し、それを「情報」のレベルで解決する・・これも情報デザイナーの仕事です。

さらに、見えないものを「情報化する」というプロセスも広義の情報デザインの重要な一面です。五感で捉えることのできない「何か」の情報化には、恣意的な「名づけ」と「構造化」が必要です。例えば「時計」は、人の感覚器官が直接捉えることのできない「時の流れ」を「時刻」と「時制構造」に「情報化」した道具です。これも画期的な「情報デザイン」の一例といえるでしょう。
鏡、カメラオブスクラ、方位磁石、温度計・・そうした道具も同様です。

情報デザイナーが考えるべきこと

情報は本質的に「商品」ではなく「コモンズ」

情報という言葉の登場は新しく、資本主義的な思考が常識となった時代であったがゆえに、物と同様に「囲い込まれて所有される商品」として扱われることに誰も違和感を感じなかった・・という歴史があります。

著作権(勝手に複製するな)という発想は、そうした社会の中で自然に生まれたものかと思いますが、しかし、排他的所有がしにくいものは、本質的に商品になりにくい。油画や彫刻、また書物など、物質(ハード)と切り離せない存在は、金銭的交換によって「物そのものとして移動」しますが、情報(ソフト)だけの存在は受け渡しを行なっても送信者の手元から消失することはありません。

インターネットの登場とともに、Copyleft という言葉が登場し、今や多くのソフトウエアが OpenSource として共有されています。情報は本来、複製・共有されなければ、その存在意義自体がなくなってしまうものだし、本質的には「商品」とは異なる「コモンズ」であると考える方が、未来の見通しが良くなるのではないでしょうか。

良い情報デザインとは? それを一言で言うと・・(私見)

情報を遠隔・非同期的に複製されやすい状態にすること

生命の情報(DNA・RNA)からWeb上の情報まで、「情報体の気持ち」になって考えればわかることですが、あらゆる情報体は複製(シェア・拡散)されることを望んでいます。20世紀という時代は「複製するな!複製するなら金払え」という考え方が横行した時代でしたが、今、世の中の情報基盤にあるのは「コピーレフト」を前提としたオープンソースソース・ソフトウエアであり、その構成要素はデータとプログラム(プロパティとメソッド)をパックにした「編集に最適な」小さな「オブジェクト」です。また、それらは「文字」の最大の特徴である「遠隔・非同期」的なコミュニケーションによって生み出されています。

CONTENTS




はじめに

情報デザインについての様々な説明

情報デザインのフィールド

情報×デザインの「てにをは」

情報デザインの 5W2H |企画

情報デザインの 5W2H |記事作成

付記:昭和のアニソン

情報デザインのお手本。「89秒(オープニングの標準時間)」の歌詞を聴くだけで概要がわかるよう、目的、場所、キャラクター紹介・・見事に整理されています。Google:バビル2世 歌詞

付記:「情報が無い」ことの明記も重要な情報

気象庁の台風情報のページでは、台風が発生していない場合に、現在台風は発生していません というメッセージが表示されます。「情報が無い」ことを明示することは、情報を探す手間を省く、情報を求めておこる様々な混乱を防ぐ・・などのメリットがあります。

情報アーキテクチャー

情報アーキテクチャーとは、情報の「構造」のことで、設計者としての「情報アーキテクト」は、知識やデータをユーザにとって「わかりやすい」、「探しやすい」ものとなるように構造化します。 

情報構造のパターン

ナビゲーション


5つの帽子掛け

情報の整理には一般に以下の5つの視点があります。
by リチャード・ソール・ワーマン




情報の管理

以下の対義語は、ほぼ同一の対立概念として理解することができます。

書棚とデータベース

書棚とDB.jpg

従来のように「書類をバインダーに綴じて棚に整理する」という発想ではなく、「書類に関連するカテゴリー名やタグを付けて保管しておけば、あとはシステムが自動的に引き出してくれる」、つまり「ツリー状の枠組みで物事を片付ける必要はく、情報にマーキングだけしておいて、あとは機械に探させればいい」という発想の転換をすることで、情報の管理は非常に楽になります。

カテゴリーとタグ

カテゴリーは、一般にツリー型の分類構造を持ちます。例えば、Webサイトのサイトマップ(ナビゲーションメニューに反映)は、一般にカテゴリーツリーの形で構成されます。

一方タグは、各情報に関連するワード「タグ」付けする・・というもので、ツリー状の分類とは無縁の存在です。例えば「犬の写真」には、「犬」と「写真」の2つのタグを付けておけば、閲覧者は「犬」からでも「写真」からでも目的のデータにたどり着くことができます。

参考:taxonomy
タクソノミー(taxonomy)とは、分類、分類学、分類法などの意味を持つ言葉ですが、IT分野では様々な情報やデータなどの分類方法を定義したものを意味します。CMSなどでは、ページや投稿をツリー状にカテゴリー分けしていく機能をタクソノミーといいます。

フォルダとインデックス

フォルダは上記の「カテゴリー」に相当するツリー状の階層構造を持つもので、インデックスは上記の「タグ」に相当します。CMS等の管理上の用語としては、同義と考えて差し支えありません。

ストックとフロー

ストックとは、長期にわたって何度も閲覧される情報のことで、マニュアル、参考資料、文書フォームなどがこれに該当します。一方、フローとは、短期間で価値がなくなる情報で、お知らせ、募集告知などがこれにあたります。

伽藍とバザール

ページを独立させました > TheCathedralAndTheBazaar

ツリーとセミラティス

ページを独立させました > Semi-lattice

WikiとBlog

CMSの2大スタイルである Wiki と Blog は「ストック(カテゴリー)」に重点を置くか「フロー(タグ)」に重点を置くかの違いで説明することができます。

付記1:分類について

複数の事物や現象を、一定の視点でグループに分けることを分類といいます。また、分類によってつくられたグループのことをカテゴリといいます。以下の2段階のプロセスがあります。

何らかの情報を収集してそれらをWebサイトや冊子に掲載する場合は、漫然と羅列するのではなく、いくつかのカテゴリに分けて、目次やメニュー上に可視化することが必要です。

現代人は「検索すればヒットする」感覚に慣れすぎているせいか、物事をカテゴリーに分け、整理しつつ保管するということを難しいと感じる方が多いようですが、身近な例では、部屋の模様替えや、机の引き出しや本棚を整理する際に無意識に行っている思考と同じです。

ちなみに、目の前に山積した物事を整理するには、はじめに「不要なもの」を「断捨離」することも必要です。


付記2:カテゴリーツリーについて

分類は「視点をどこに置くか」によって千差万別で「正しい分け方」が決まっているわけではありません。例えば、教室内の学生を2分する場合、正面から見れば「右と左」に分けるのが把握しやすく、側面から見れば「前と後ろ」に分ける方が把握しすくなります。

同様に、例えば A大学の学生をいくつかのグループに分けるには・・

など、分け方や階層の上下関係は様々に考えることができます。

ツリー状に整理格納する場合、階層が深くなるとデータの探索には時間がかかります。また、実際には一つのカテゴリーに振り分けられない情報というものも存在します。であれば、情報をカテゴリーツリー上のどこかに割り付けるのではなく、個々の情報の方にカテゴリー名を付与する(一般的には、いずれかひとつのカテゴリー名をつけるべきですが、場合によっては複数のカテゴリー名を付与することもできる)という、逆転の発想で情報を整理する方が、柔軟な情報管理が可能になります。

付記3:言葉はそれ自体がカテゴリー

私たちが普段使っている「花」や「机」といった言葉は、それ自体がカテゴリーです。「花」も「机」も、物理空間に存在する個体はすべて異なっているし、その色・カタチ・大きさなども連続的な分布をなしています。データサイエンスの言葉を使えば、私たちは大量の事物に対する「クラスタリング(特徴の違うグループを見出す)」を行って、クラスターごとに「ネーミング」を行うことで世界を認識していると言えます。物理世界に「所与のもの」があってそれに名前をつけているのではなく、言葉(ネーミング)によるカテゴリー化によって「存在が喚起されている」わけです。

使う言語が異なれば、世界の見え方が変わります。「分類の方法は多様にある」という話は、そのまま「文化は多様である」という話につながります。




情報洪水対策

現代社会には情報が氾濫していて、送信者の意図どおりに受信者に情報が届かない、あるいは、非常に効率が悪いということが多々あります。ここでは、そうした情報洪水にどう対応するか、いくつかのキーワードを紹介します。

情報マーケット

一般に情報というものは送信者の都合で配信されることが多いのですが、情報マネジメントの観点からは受信者の立場で考えるということが重要です。受信者には、その所属、関係する会議、プロジェクトなど、複数のプロフィールがあります。送信者は、受信者のプロフィールに合わせた最適な「情報マーケット」に接続する必要があります。

情報ポータル

受信者は複数の「情報マーケット」を訪れます。そこで有効になるのが「情報の玄関」である「ポータルサイト」です。まず「市場」を整理し、その窓口となる「ポータルサイト」を再編することで、受信者にとって最適な情報環境が実現できます。

Push と Pull

プッシュとは、送信者が情報が強制的に送る(受信者は情報を受動的に受け取る)形態で、メール・FAX送信などがこれにあたります。一方、プルとは、受信者が必要なときに情報を能動的に受け取りにいく形態で、Webサイト、共有フォルダ、掲示板を見に行くなどの行為がこれにあたります。

一般に、受信者にとっては、プッシュされた方がいい情報と、プルで対応する方がいい情報は異なっているはずですが、送信者都合で何でもプッシュされることが多いのが実態で、業務効率を下げる原因となっています。プッシュとプルの整理が必要です。

「実体渡し」から「アドレス渡し」へ

「実体渡し」とは、書類のポスティングやメール添付ファイルのように、データそのものを相手に渡すことを意味します。一方「アドレス渡し」とは、「データの所在」を相手に伝えることを意味します。例えば、以下のような方法が「アドレス渡し」です。

書類等の情報は常にバージョンアップするので、過去に渡された「実体」は確実に古くなります。一方アドレス渡しの場合、リンク先の情報は常に最新を保つことができます。

サーバーにあるものがマスター、手元のファイルはクローン(予備)

データを自分の手元で管理するのをやめて、サーバーに置いて共有する・・というふうに、根本的な発想の転換が情報の共有をスムーズにします。

補足1:紙の文化から卒業する

印刷することを前提としてワープロで文書を作る発想は、作業効率を悪くします。1ページに収めようと文章を調整する作業などは、「タテ成り行き」で構わない Webページでは不要な作業であり、時間の無駄です。

例えば、PDFは電子媒体と言われますが、「A4タテ」などという、印刷を前提とした仕様になっている点で紙媒体と変わらず、作業効率の悪さから言えば、従来の紙ベースの仕事と変わりません。早めに卒業しましょう。

補足2:機種依存文字は使わない / 漢字は第2水準まで

正しく共有できない情報は、生産効率を著しく下げるだけでなく、場合によっては大きな事故につながります。

情報の見える化

見える化はトヨタ生産方式で有名になった概念で、要は情報の可視化と共有のことですが、それは現場の自律的な問題解決を促し、継続的な品質向上に寄与します。情報マネジメントにおける「見える化」には、以下3つがあるといわれます。

有用度・活用度の見える化

閲覧数などを基礎データとして情報の有用度・活用度を明示することで、受信者にとって有益な情報は何なのかがわかります。表示文字の大きさが話題性の高さを示すタグクラウドなどは、これにあたります。

鮮度の見える化

情報が氾濫する大きな要因のひとつが、賞味期限切れ情報の存在です。賞味期限を見える化し、例えば1年以上利用されていない情報は自動的に非表示にするなどの対策を講じると、情報マーケットを新鮮に保つことができます。

コストの見える化

情報の流通には送信者・受信者ともに膨大なコストがかかっています。例えば、メールに資料を添付して関係者100人に一斉送信した場合、100人がこれを読んで確認するために3分間を使うと、延べ5時間、時間当たり2000円としても1万円の人件費がかかったことになります。人的資源がどれだけ費やされているかを見える化することも必要なのです。




APPENDIX

関連ページ

視覚情報

聴覚情報

モノにおける情報のデザイン

空間における情報のデザイン

その他

付記1:カテゴリーとタグについての補足

ブログなどでよく見かける情報の分類法あるいは、手がかりについて・・・

Category
カテゴリーとは、特定の観点で要素を分類した場合の分類名称です。一般にこれは階層構造を持ち、お互いにカブることはありません。

例えば、学生Aさんは、○○学部△△学科というカテゴリに所属しています。学生ごとに所属はひとつですから、学生(要素)は皆、学部・学科という階層的な分類によってきれいに仕分けられることになります。

さてここで問題です。一般にひとつの要素が、複数のカテゴリーに属することはない・・・と言われますが、学生Aさんは、□□サークルにも所属しています。学部・学科という観点ではなく、サークルという観点で学生を眺めると、学生(要素)は、「帰宅部」も含めたサークル枠できれにに仕分けることができる・・・つまり、学生Aさんは、○○学部△△学科のカテゴリーにも属するし、□□サークルにも所属する・・・ということになってしまいます。

で、結論、これは構いません。例えばWebページのように、複数のメニューセットを同時に持つことができるような情報形態の場合は、観点の異なる複数のカテゴリー区分が共存しても問題はありません。

この場合、重要なことは、学部・学科分類メニューとサークル分類メニューとをごちゃまぜにしないことです。芸術学部と野球部がメニューの上で横に並んではいけません。学部メニューの中に経済・経営・商・工・・・・が並び、またサークルメニューの中には、野球・サッカー・ラグビー・・・などが並ぶ。というぐあいに観点(メニューセット)別に整理されるべきでしょう。

WordPressというCMSでは、投稿記事(情報要素)が複数のカテゴリーに所属できるようになっています。あるカテゴリーセットが学部・学科で区分され、別のカテゴリーセットがサークルで区分されている・・・そのような2つの観点が共存しても構わないわけで、Aさんの記事は、○○学部△△学科の記事として、また□□サークルの記事としても、アプローチできるものになります。

TAG
タグとは、個々の情報要素にまつわるキーワード、あるいは目印のようなものと考えるといいでしょう。タグは「点」として存在するので、いくら集めても整理されることはないし、また階層構造もできません。

例えば、学生Aさんに付けるタグとしては、「(好きな食べ物)カレー」や「(趣味)バイク」、あるいは「(資格)色彩検定2級」は有効かもしれません。そもそも「好きな食べ物」や「趣味」などは、一人の人間に複数存在するもので、それで学生全体をきれいに仕分ける・・・ということはできません。このように、分類上の数が多すぎるもの、整理に適さないあいまいなもの・・などが、「タグ」にふさわしい・・ということになります。

「(好きな食べ物)カレー」や「(趣味)バイク」をキーとして、全学生の中から該当者を抽出する操作は、それなりに意味のあることです。グループができるきっかけになるかもしれません。つまり、「分類」は無理でも、当該キーワードに関わる要素を集めるということに意味が見いだせる場合には、そのキーワードをタグとして扱うとよいでしょう。

WordPressというCMSでは、投稿記事(情報要素)に複数のタグを付けることができるようになっていて、特定のタグをもつ記事を一挙に抽出できるようになっています。

以上、まとめると、以下のようになります。

付記2:ポートフォリオサイトのページ構成について

記事の分類方法.png

授業課題、プロジェクト、公募、自主制作・・様々ある作品を掲載する際、例えばイラスト / グラフィック / CG などのページ区分を考えてはみるものの、そもそも境界がはっきりしない・・。また、アナログとデジタルという分け方もあるし、制作年ごとに整理するという方法もある。・・と、カテゴリー分けについて悩むことが多いと思います。そんなときは、「分類しない」つまり「1作品1ページ」で作ってしまう・・という方法も検討する価値があると思います。