Information Design
情報デザインとは一般に、情報を正しく、わかりやすく、また美しく伝えるために行う様々な手立てのことを言います。様々な情報デバイスとネットワークの普及で、一個人による情報の公開・送信が可能になった現在、情報デザインは一部の専門家のためのものではなく、万人が必要とするスキルといえます。
情報デザインの対象は、グラフィックスやWeb、映像といった情報媒体だけではありません。私たちの日常には、様々なモノがあって、人とモノとの関係における違和感、勘違い、操作の失敗・・・といった問題も多くあります。ユーザがモノと関わる場面で生じる問題を発見し、それを「情報」のレベルで解決する・・これも情報デザイナーの仕事です。
さらに、見えないものを「情報化する」というプロセスも広義の情報デザインの重要な一面です。五感で捉えることのできない「何か」の情報化には、恣意的な「名づけ」と「構造化」が必要です。例えば「時計」は、人の感覚器官が直接捉えることのできない「時の流れ」を「時刻」と「時制構造」に「情報化」した道具です。これも画期的な「情報デザイン」の一例といえるでしょう。
鏡、カメラオブスクラ、方位磁石、温度計・・そうした道具も同様です。
情報デザイン(じょうほうデザイン、英: information design)は、 人間とモノや環境との関係性にかたちを与える方法論、 生活の中にあふれる無数の情報をわかりやすく提示する手法、 あるいは、それらの考え方。 2016.05.11時点
情報デザインとは、情報を、人が効率的かつ効果的に使えるような形で 準備する技と知識である。
情報デザインとは、ものと人、人と人との新しい関係を作ることだ。 本棚の整理から手帳、地図、時計、そして地域社会の活性化、… あらゆるものが、「情報デザイン」の対象である。
うれしい体験をつくることを「情報デザイン」と呼びます。・・・ 情報デザインは・・様々なプロセス・手法により社会のニーズを探り出し、 「人・モノ・環境の関係性」を人間中心的にデザインする行為なのである。
情報デザインのお手本。「89秒(オープニングの標準時間)」の歌詞を聴くだけで概要がわかるよう、目的、場所、キャラクター紹介・・見事に整理されています。Google:バビル2世 歌詞
気象庁の台風情報のページでは、台風が発生していない場合に、現在台風は発生していません というメッセージが表示されます。「情報が無い」ことを明示することは、情報を探す手間を省く、情報を求めておこる様々な混乱を防ぐ・・などのメリットがあります。
情報を遠隔・非同期的に複製されやすい状態にすること
生命の情報(DNA・RNA)からWeb上の情報まで、「情報体の気持ち」になって考えればわかることですが、あらゆる情報体は複製(シェア・拡散)されることを望んでいます。20世紀という時代は「複製するな!複製するなら金払え」という考え方が横行した時代でしたが、今、世の中の情報基盤にあるのは「コピーレフト」を前提としたオープンソースソース・ソフトウエアであり、その構成要素はデータとプログラム(プロパティとメソッド)をパックにした「編集に最適な」小さな「オブジェクト」です。また、それらは「文字」の最大の特徴である「遠隔・非同期」的なコミュニケーションによって生み出されています。
情報という言葉の登場は新しく、資本主義的な思考が常識となった時代であったがゆえに、物と同様に「囲い込まれて所有される商品」として扱われることに誰も違和感を感じなかった・・という歴史があります。
著作権(勝手に複製するな)という発想は、そうした社会の中で自然に生まれたものかと思いますが、しかし、排他的所有がしにくいものは、本質的に商品になりにくい。油画や彫刻、また書物など、物質(ハード)と切り離せない存在は、金銭的交換によって「物そのものとして移動」しますが、情報(ソフト)だけの存在は受け渡しを行なっても送信者の手元から消失することはありません。
インターネットの登場とともに、Copyleft という言葉が登場し、今や多くのソフトウエアが OpenSource として共有されています。情報は本来、複製・共有されなければ、その存在意義自体がなくなってしまうものだし、本質的には「商品」とは異なる「コモンズ」であると考える方が、未来の見通しが良くなるのではないでしょうか。
> ページを独立させました。InformationDesign/Architecture
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現代社会には情報が氾濫していて、送信者の意図どおりに受信者に情報が届かない、あるいは、非常に効率が悪いということが多々あります。ここでは、そうした情報洪水にどう対応するか、いくつかのキーワードを紹介します。
一般に情報というものは送信者の都合で配信されることが多いのですが、情報マネジメントの観点からは受信者の立場で考えるということが重要です。受信者には、その所属、関係する会議、プロジェクトなど、複数のプロフィールがあります。送信者は、受信者のプロフィールに合わせた最適な「情報マーケット」に接続する必要があります。
受信者は複数の「情報マーケット」を訪れます。そこで有効になるのが「情報の玄関」である「ポータルサイト」です。まず「市場」を整理し、その窓口となる「ポータルサイト」を再編することで、受信者にとって最適な情報環境が実現できます。
プッシュとは、送信者が情報が強制的に送る(受信者は情報を受動的に受け取る)形態で、メール・FAX送信などがこれにあたります。一方、プルとは、受信者が必要なときに情報を能動的に受け取りにいく形態で、Webサイト、共有フォルダ、掲示板を見に行くなどの行為がこれにあたります。
一般に、受信者にとっては、プッシュされた方がいい情報と、プルで対応する方がいい情報は異なっているはずですが、送信者都合で何でもプッシュされることが多いのが実態で、業務効率を下げる原因となっています。プッシュとプルの整理が必要です。
「実体渡し」とは、書類のポスティングやメール添付ファイルのように、データそのものを相手に渡すことを意味します。一方「アドレス渡し」とは、「データの所在」を相手に伝えることを意味します。例えば、以下のような方法が「アドレス渡し」です。
書類等の情報は常にバージョンアップするので、過去に渡された「実体」は確実に古くなります。一方アドレス渡しの場合、リンク先の情報は常に最新を保つことができます。
見える化はトヨタ生産方式で有名になった概念で、要は情報の可視化と共有のことですが、それは現場の自律的な問題解決を促し、継続的な品質向上に寄与します。情報マネジメントにおける「見える化」には、以下3つがあるといわれます。
閲覧数などを基礎データとして情報の有用度・活用度を明示することで、受信者にとって有益な情報は何なのかがわかります。表示文字の大きさが話題性の高さを示すタグクラウドなどは、これにあたります。
情報が氾濫する大きな要因のひとつが、賞味期限切れ情報の存在です。賞味期限を見える化し、例えば1年以上利用されていない情報は自動的に非表示にするなどの対策を講じると、情報マーケットを新鮮に保つことができます。
情報の流通には送信者・受信者ともに膨大なコストがかかっています。例えば、メールに資料を添付して関係者100人に一斉送信した場合、100人がこれを読んで確認するために3分間を使うと、延べ5時間、時間当たり2000円としても1万円の人件費がかかったことになります。人的資源がどれだけ費やされているかを見える化することも必要なのです。