i AM ME !
女性の働き方に関するジェンダー問題のインフォグラフィックス
- 田口 怜奈
- Keywords:ジェンダーバイアス,啓発広告,インフォグラフィックス
概要
これは何?
女性の働き方に関するジェンダー問題の啓発ポスター
背景と目的
近年SDGsが定められ、世界中で取り組もうとする影響もあり、ジェンダーに対する関心は昔に比べ高まっている。しかし2003年に目標として掲げられた女性管理職比率の30%未達成や、出産や育休による離職率が未だに高いことなど、女性が活躍できる社会を実現するため解決すべき問題が多くある。これらの原因にジェンダー問題に関わりたくない、と関心を寄せない層がいることが関係していると感じた。このような層に対し、なぜジェンダー問題が世界中で注目されているか、解決していないのかイラストと実際の調査データを使用したグラフを記載した啓発ポスターを作成することで、ジェンダー問題の具体的な現状に気づくきっかけを作る。
コンセプト
職場におけるジェンダー問題の現状を、ビジュアルとデータを用いたグラフで視覚化する。
研究名の"i AM ME !"は、個人の能力で評価されるのではなく「女性なんだから」や「女性は」など全体の固定概念で一括りにされる現状から抜け出し、女性一人ひとりが自分らしく活躍できる社会を目指すというメッセージを込めている。
成果物の仕様
1テーマにつき1ポスター(A1)> 全6枚
取り上げる問題
- 1. 組織における女性の割合が少ない問題
- 企業における管理職の割合
- 政治の場における議員の割合
- 2. 正規雇用が少ない問題
- 短期アルバイトの割合
- パートの割合
- 3. 家庭における役割分担問題
- 家事にかかる時間
- 育児に関わる時間
- 4. 性別による役割の固定化とそれによる賃金格差問題
- 正社員の割合
- 非正規雇用の割合
- 5. 職場におけるハラスメント問題
- 企業内の割合
- 政治内の割合
- ハラスメントの内訳
- 6. 出産における育休、退職問題
- 就業形態の割合
- 離職した理由の割合
成果物
- 「家庭を主に担うのは女性」「女性は母性がある」「女性ならではの感性」など昔からの女性へのイメージや固定概念に当てはめ、個人として評価せず一括りにしている現状を、個性の出ないピクトグラムを使用することで表現した。
- 女性のイメージを彷彿とさせる赤色が印象的になるよう、イラストとグラフの女性に関する情報以外はトーンを落としてまとまりのある画面に仕上げた。
- 共通のキャッチコピーである「ワタシたちの問題」には、ジェンダー問題を女性だけの問題にしない。個人の個性や能力に焦点を当てることで固定概念から抜け出し、一人ひとりが活躍できる社会をみんなで目指したい、という意味を込めた。
(後期中間までのイメージ)
ラフ
制作ツール
- Procreate
- Adobe Illustrator
プロジェクトの期間
2023.04.14 - 2023.12.22
まとめ
イラストとグラフの情報の整理されたポスターを制作することができた。完成したポスターに対しイメージが分かりやすく内容が伝わってきた、というコメントと内容が難しくよく分からなかったという両方の意見を貰うことができた。
展示までにビジュアルやグラフなどブラッシュアップを続け、より良いものに仕上げたい。
>フィードバックを受けて
- イラストだけでは何のポスターかわからないものがある。
- シンプルな画面は良いが、興味を持った人を誘導する情報が少ない。→説明文の追加やQRコード
- グラフが間違っているものがある。
調査
現状調査
- 1. 組織における女性の割合が少ない問題
- 世界「女性管理職比率」ランキング…先進国で圧倒的最下位
- 結婚・出産といったライフイベントを経験する前の社員において、管理職登用に対する漠然とした 不安感があり、女性社員が男性社員に比べて管理職への登用に対して消極的になってしまう(鉄鋼業)
- 一部の業務において、ワークとライフとの両立が難しいことから、家庭を主に担う女性が昇進に躊躇し がちになる(サービス業)
- 2. 正規雇用が少ない問題
- 3. 家庭における役割分担問題
- 4. 男女における賃金、仕事格差問題
- 5. 職場におけるハラスメント問題
- 令和2年度厚生労働省公表:職場のハラスメントに関する実態調査
- [[内閣府実施アンケート:女性として差別されたりハラスメント
を受けたりすることがある(29.6%)>https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/ikenkoukan/80/pdf/4.pdf]] - Job総研による『2023年 ハラスメント実態調査』を実施 被害7割が”上司”のパワハラ 企業の防止対策不十分の声顕著
- 職場のハラスメントに関する実態調査 報告書
- 6. 出産における育休、退職問題
- 2.出産・育児等を機に離職した仕事について
- 第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況
- 令和4年度厚労省 雇用均等基本調査
- 男性の育休取得率17%、平均46日
プロジェクト管理
スケジュール
ToDo
-テーマ決め
-どの分野に注目した内容にするか
-現状調査
- デザイン案出し
- 試作
- ブラッシュアップ
NotToDo
2023.12.08
最終発表2週目
2023.12.1
最終発表1週目
イラスト完成品
2023.11.24
イラスト製作
ポスター試作 下記の構図通りグラフをメインにした結果内容が分からなくなった。
2023.11.17
ポスターの構図検討
- ビジュアルは小さく、グラフがメインになるような構図
- 注釈でどこから得た資料か明記する
2023.11.10
ビジュアル制作
2023.10.27
ビジュアル制作
2023.10.20
中間発表
・ビジュアルがメインになっている。数字やグラフ配置の検討が必要。
・決定していないキャッチコピー、説明の制作を進める。
2023.10.13
ラフ制作
「家庭を主に担うのは女性」「女性は母性がある」「女性ならではの感性」など昔からの女性というイメージや固定概念に当てはめ、個人として評価せず一括りにしている現状を女性のピクトグラムを使用して表現するビジュアルに決定。下に出典元が明確なグラフを置き、実際起こっている問題の数値を表す。
2023.10.06
データ収集、取り上げる内容の検討、ラフ制作
→顔の見えない女性を使用したビジュアルで個人の能力ではなく"女性"の能力として評価している様子を表現
する
インフォグラフィックを作るときに心がける4つのポイント
2023.09.29
インフォグラフィックスの使用決定、ラフの作成、研究タイトルの変更検討
2023.09.22
データ収集、ビジュアルの検討
- メディアや周囲の女性の扱いを自分の中に蓄積してきたことで、これが一般的で当たり前なんだと認識、全ての女性に当てはめてしまう。固定概念の形成(例:女性らしくない、女性なのに、女性なんだから)
- これまでの男性中心社会が女性にサポート的役割やサービスを求めてきた結果(例:コールセンター、ビールの売り子、エレベーターガールなど)
- 女性は結婚し、出産すると育児に専念するため退職する、そのため管理職を任せられないという考え方は今も根付いている。そのため低賃金の事務職やパートに女性が多い。経済格差が埋まらない
2023.09.15
ジェンダー問題に関わりたくないと関心を寄せない層に対し、親しみやすさを重視したビジュアルでアプローチを試みていたが、見られても内容を受け取られないのではないか→実際に何がどれほど問題になっているか、データや割合を全面に出したビジュアルにすることで解決の必要性に気づくのでは
2023.07.14
イラストの広告→見るだけで終わってしまうのではないかという懸念
見るだけで終わられず、見たあとに自分ごとに置き換えられる ことを大切にしたい
→イラストと実写を組み合わせたアイデアで作成
イラストの親しみやすさ×実写の現実さ 身近で自分ごとに考えられるのではないか
2023.07.07
メインビジュアルの更新
概要集制作
タイトル検討
:It's me!(性別を感じさせない,明るい)
:○○でもいいかも!(こういうのもありだよねという投げかけ)
:全部、僕(アイデンティティも好きなものも全て自分の1部だ)
→I AM ME ! 主語を男性的か女性的どちらかに決めてしまわない
2023.06.30
ポスターラフ作成
現状調査により40代以降の男性をメインターゲットにすることに決定
課題→物語を選ぶ予定から、物語→課題から選び、
若い男子:金太郎
若い女子:かぐや姫
男性:浦島太郎
女性:鶴の恩返し
年配:桃太郎のおじいさんとおばあさん
その他:鬼(または各物語に出てくる動物など)
に決定した。
2023.06.23
キャラクターイラスト、ポスターラフ作成
中間発表で男性らしさの反対に女性らしさを描こうとしたが、女性らしさを対比にせず答えは多様であるべきだという意見を受け、色んなIFのパターンでアプローチができるよう考え直す。
2023.06.16
案1:お話の中の「こういう場面、実はジェンダーバイアスかも」
案2:元々のお話は~だけどこういうお話もいいよね、というIF展開
案3:登場人物やストーリーを現代版にしたもの
→テーマの課題を指摘するだけでなく、新しい考え方の例を提示できる案2で制作を行うことにした
2023.06.09
中間発表3週目
2023.06.02
中間発表2週目
2023.05.26
中間発表1週目
2023.05.19
先行事例の調査
- グラフィックを使用した広告
- ジェンダーへの取り組み
- 主婦の家事分担について
- 啓発ポスター
2023.05.12
- 今日考えたこと
- アウトプットで魅力を伝える
私側が作る過程は楽しいが、見る側にどのように魅力を伝えるか - 物事を多方面から見ることを視覚的に表現する
- アウトプットで魅力を伝える
2023.04.28
- 今日考えたこと
家事は妻がするものだ 韓国は悪い…など根強い固定概念で新しい考え方を受け入れない人(自分の父親)
→時と場合によって物事を柔軟に考える 多方面から物事を見る見方が広がればいいのにな〜と思う
他人の立場で物事を考えられたら、行動してみたり、新たな解決方法が生れたりして もっと社会は良くなると思うから
意識下にない人たちは問題提起すら意識しないかもしれない、
ポスター、広告、訴える動画、講演会 自ら行ったり見たりすることもしない可能性もある
↓
では意識下にない、自分ごとだと思っていない、問題意識を持たない人にメッセージを伝えるためにデザインができることは何か
2023.04.21
プロダクトを通して問題提起や気づきを与える 例
- SEA you againプロジェクト
- KMNR VOILLD
問題解決を根本的に考えるために、本当に解決すべき課題がどこにあるのか
2023.04.14
卒業研究テーマアイデア
- 自己分析×フォトコラージュ
就職活動の中で自己分析や、自分の魅力を探すことの難しさを体感した。
フォトコラージュを使用した若者向けで、自己分析ができるツール - 不安、感情、思い出、言葉、音楽など目に見えないものを、形にする
キーワード
- 食べ物を感じさせる配色
- 逆ミニチュア化
- 物事を多方面から捉える
- 日常の中のひらめき